ちょっくら発売順を無視してこの雑誌を先に。
今日2月25日にメディアックスから創刊された4コマ誌。偶数月25日刊行,490円。『サクラミステリーデラックス』増刊として。版型はA5で,一般的な4コマ誌のB5とは異なる。メディアックス公式のVOL.1詳細ページには掲載陣一覧あり。
アンケートのページに”萌えポイント”なんて言葉がある辺り,いわゆる萌え系4コマ誌という意図で創刊されたみたい。てか表紙を見れば直感的にはそう感じるよねと。
で,買ってきてぱらぱらと読んだんですが……これ再録や続編が多すぎね? しかも商業・同人・Webと方々から。
把握した限りでは以下が再録や続編。収録漫画全24作品のうち,半分以上の16作品が再録or続編という状況(最初の2作品は同じメディアックスの他誌作品だからと差っぴいても14/22で過半数)。
- (ねこぷに) 篤村くあん「しましまセンちゃん」
- (ねこにまたたび) きくちよ「おわんとどんぶり」
- (もより) みなづきふたご「爆熱学園Ultra☆StriQ」
- (ぎゅっと) 野広実由「ぽんきゅ」
- (きらら) 新条るる「metal friends」(タイトル下に”Love me do different dimension”の文字)
- (同人) 怜「学園風紀ブルマー5」
- (同人) 七見水晶「安全!! 軽音天国」
- (同人) 結原りん「DGひらり」
- (同人) 絶牙「コエルぷらくてぃす!」
- (同人) 月舘るり「1/3。」
- (同人?商業?) 水谷フーカ「雪花」
- (Web) 千岡ななえ「お梅とお松」
- (Web) なで拓瀬「真空管少女たまちゃん」
- (Web) RegDig「MiSRES」
- (Web) 藤野定治「きょーりゅーくーん」
- (Web) 海月れおな「きゅーてぃーぶらざぁ」 (コメント欄るとさんthx!)
同人作品やWebコミック作品が見初められて商業誌に登場するのはよくある話ですが,これはさすがに多すぎだろうと。ちゃんと次号に第2話が載るのかと。いや描き貯めが十分にある作品ならまだしも,というかそういう作品が多そうだけど,「ぽんきゅ」はぎゅっと掲載分3話が全て載ってますよ? これで次号に第4話が載ったら俺は泣いて喜びますよ? いや論点はそこじゃなくて,そんな焼畑的な雑誌でいいのかと。もっと完全新作を載せるべきじゃないかと。いやメディアックスは萌え系の雑誌なんて刊行したことがなかった(はず)だからしょうがねえじゃねーか,局所的にしか流通されてこなかった作品も商業的に日の目を見られて万々歳じゃないか。つーかそんなこと考えてないで作品を楽しめよ作品を。でも俺は上記のうち3作品は読んだことあるのよね。じゃあ他の作品を読めよヴォケ。てかコスプレアイドルうわああああああああああああ!!!!!!!!
……とりあえず,編集部の創刊裏話コラムは読んでおいて損はないと思いました。つーかキワドイよこれ! ”パチモノ”を明言してるよ!
作品個別の感想は後で。
さて読み終わりましたよ (3月5日 22時0分)
- 櫻井善太「四葉家の妖精さん」
- 三人姉妹を心配する父から遣された小人さん。お手伝いのために家に住み込むことになりまして――。61ページと62ページは逆に読みましょう。ネームの多さと線の細さに三秒で投げ出しかけた俺をつなぎとめたのはその目でした。くりくり目・線目・丸目とコミカルな目で見せてくれる作品。この視覚的な分かりやすさはありだ……けど,やっぱセリフの多さと線の消えそうなまでの細さが気になる。
- 月館るり「1/3。」
- 同人誌からの再録。かしまし学生三人娘の日常。ぶりっ子テンションでつっぱしる女の子二人がにぎやかで楽しいと思うわけです。しかしクールなツッコミの秋葉原(あきばはら)さんも捨てがたいんだぜ! 月館氏は同人ではファンタジーなショートや4コマも描かれている方。スクエニ誌に来たらハマるんじゃないかなとか思ってる。
- 水谷フーカ「雪花」
- 司書房の単行本『夜盗姫』に収録された描き下ろし作品が再録。司書房って去年の秋に倒産してるんだけど,メディアックスが作品の権利を買い取ったのかな,それともこういう作品って自由に再販や再録ができるのかな。舞台は雪国。少年が村の近くで出会った少女は,笑顔によって熱を発する力の持ち主。彼女の力を狙ってやってきた軍から,少年は少女を守ろうとするが――。やべえ今号掲載作品でこれが一番心に響いちゃったよ。雪山自然のスケールのでかさを印象付けるカメラワーク,微妙な感情を伝えてくれるキャラの表情(特に少女の泣き笑い),春のおとずれを感じさせてくれるカラーページの美しさと三点セット。コミティア系男子も大満足間違いなし。
- 海野やよい「うちのよわむ父(よわむち)」
- お母さんに逃げられちゃったお父さん。でも寂しがらずに平然とした娘。そんな父子家庭の話。「お父さんは私がいないとダメなんだから」を地で行く娘のたくましさが魅力。例えるなら「ちぃちゃんのおしながき」のちぃちゃん。これ普通にファミリー誌に載ってても良くね?
- 千岡ななえ「お梅とお松」
- 作者サイト掲載のWebコミックが再録。父親が失踪してしまった姉妹。暮らしのため住み込み女中として屋敷で働くことになったが,現れたのは変な三人兄弟で――。姉妹&三兄弟のそれぞれ異なる非常識っぷりでにぎやかに見せてくれる。最強は涼しい顔して黒いお姉ちゃんで決まり。最近は芳文社誌にも「つぎはぎアップリケ」でちょこちょこ登場してる千岡氏。今後の活躍が楽しみ。
作品についてはここまで。ここからは雑誌そのものをDISりまくるぜ……!
この内容で480円は高すぎる。そして231ページ以降はほとんど要らない。具体的に言うと,あやしい科学実験コラム,コスプレアイドルの写真と漫画,昼ドラ愛憎劇のような雑誌の広告,エロサイトの広告。特に後者二つからは,今は亡き『COMICぎゅっと!』と同じ臭いが漂いまくってる。
編集者のコラム「平成残業伝」はかなり面白い。読みどころは二点あって,[1]きららの”パチモノ”として企画された本誌がなぜか通ってしまい,しかし編集部の”『萌え』濃度”の薄さなどがあって,最終的には”80年代のマイナーコミック雑誌”の影響を受けた雑誌になったこと,そして[2]Webコミック率の高さと新人輩出について。
編集者自身から[1]のようなぶっちゃけ話が聞けるのは面白いし,[2]は再録作品の多さに対する説明として機能している。ただ,[1][2]を同時に考慮すると「萌え濃度の薄さゆえに既存作品の再録に頼らざるを得ない誌面になってしまったのであって,[2]はそれを正当化する後付の理由に過ぎない」という考えに至ってしまうのではありますが。
この雑誌で出会えた作品を思うと次号も出て欲しいと思うのだけど,こういった作品以外での誌面構成,そして作品群についてもその質の平均を鑑みると,次号は大丈夫なのかしらと思わざるを得ない。いっそ雑誌の価値を徹底的に[2]に求めて「次号は今号から掲載陣を大幅に変更してお届けします!(もちろんほとんど再録)」と言って日の当たらない作品をバンバン日に当ててくれるってんなら他に類を見ない雑誌として私はすげえ楽しみにしちゃいますよ?
コメントの投稿