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内村かなめ『もっと!委員長(1)』/4コマKINGSぱれっとコミックス/一迅社

内村かなめ『もっと!委員長(1)』

放課後 校内の風紀の見回り

風紀委員「あっ また落書きされてますよ! また私たちのこと」

えみ「トイレに悪口って…陰湿をアピールしてるのかしら バカねー」

ちよ「こんなこっそりしなくても 直接言ってくれたらいいのに…♥

内村かなめ『もっと!委員長(1)』 p.43左「風紀委員のお仕事」

内村かなめもっと!委員長は,一迅社『まんが4コマKINGSぱれっと』連載の4コマ漫画。ある女子校の風紀委員長・松浦ちよは隠れマゾ気質。風紀を注意した生徒から罵声を浴びせられるのが彼女の快感。でも,大好きな幼なじみの風紀委員・本田えみは,彼女の本性を知ってていじめてくれないいじわる娘。「いじめて」「キモイ」なやりとりを交わす彼女たちに,ワイルドな不良でちよの想い人・ゆか,まっとうな風紀委員・なみ,ちよと友達になりたい生徒会長・とも子などなどが加わって,かしましき女子校生活を繰り広げる作品。

単行本のおまけ要素としては,巻頭にカラーでキャラ紹介4コマ,巻末に幼稚園編,カバー裏には作者のインコ4コマが収録されている。キャラ紹介はこの単行本から読み始める人にも,自分のようによくキャラ名を忘れる鳥頭にも嬉しい。

本編は,まず何と言っても委員長のちよ。風紀委員長としてきりっと決める一方,えみやゆかから罵声を浴びて恍惚の表情を浮かべる彼女は,この二面性だけで強力なキャラだ。さらに,こうした女の子同士のやりとりが,なぜかイチャイチャしているように見えてダイレクトに心地いい。セリフにハートマークが忍ばされた日には,そういう文脈を意識しちゃうのはしょうがないよね,と思う。喜怒哀楽の表情を可愛くコミカルに描く作者の画力もポイント。

さて,ちよのキャラの実現には,当然彼女だけでなく,彼女にちょっかいを出す存在(上述したえみやゆか)が必要だ。しかし固定されたいじり・いじられ関係は,ともすればキャラ間のパワーバランスが悪くなってしまう――いじられ側がいじり側にロックインされてしまう――ことがある。

だが,ちよは周囲のいじりをMで返す。荒い吐息と恍惚の表情で「キモイ」と言わしめる。その瞬間,いじり側の持つ非常識さが,ちよのMというより強い非常識さで上書きされて,両者の力関係が逆転する。こうして両者の関係性は偏ることなく,あっちへ傾きこっちへ傾きつつ結果としてバランスをとり,日常をつづることを可能にする。

関係性と言えば,キャラの想いのすれ違いも見どころ。人の上に立つよりも下であがく気持ちで頑張りたいの! と叫ぶちよに,さすがと感心するなみ,かなわないと唇をかむとも子。それがマゾ文脈で述べられていることにも気づかずに。そしてそんな三人を目にほくそ笑むえみ。誰一人として想いは重ならない。こうしたすれ違いも日常茶飯事的に描かれる。

パワーバランスのシーソーゲームと,すれ違い続ける想い。これらはキャラの日常を描く上で欠かせない要素だ。変わらないけどメリハリのある日常は,局所的にはキャラの関係性の変化によって,大域的にはその不変性によって実現される。両者が段落冒頭の二要素に対応していることは言うまでもないだろう。

ベーシックな作品でありながら,そのベーシックさが忠実に体現されており,加えて強力なキャラ性がアクセントになっている作品。読みの心地よさを求めるならば,まず読んでおいて損は無い作品だろう。百合ギャグ好きな人にもオススメしたい。

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