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音楽4コマがちょっとしたブームになっている

「音楽を題材とした漫画」と聞いて,あなたはどのような作品を思い浮かべるだろうか。

多くの人は,クラシックを題材にした二ノ宮知子「のだめカンタービレ」や,その先駆けであるとされるさそうあきら「神堂」,あるいはロックバンドを題材にしたハロルド作石「BECK」などを思い浮かべるのではないだろうか。

最近では「のだめカンタービレ」がブームだ。Yahoo!の特集ページでも,クラシック音楽の世界を知らない人にも、その魅力が伝わるような、楽曲の描写、コンサート風景、音大生同士のやり取りにいたるまで、丁寧に、時に笑いをもって描かれているとされ,漫画で音楽を描くことの可能性を十分に示した作品としてその存在を確かにしている。

さて,そんなブームに便乗してか,今年始めから最近にかけて,芳文社の4コマ誌に音楽を題材とした4コマ作品が登場してきている。学校の吹奏楽部や軽音楽部,あるいは音大を舞台にしたこれらの作品は,ストーリー漫画とはまた違った魅力を持っている。

今回はそれらの作品を紹介したいと思う。以下,初出順に作品を紹介し,最後に美術4コマと絡めて簡単にまとめる。

八木ゆかり「ハイ・ファイブ!」

芳文社『まんがホーム』2007年8月号 p.148 右4コマ目

芳文社『まんがホーム』連載。転校初日に憧れの吹奏楽部が廃部になってしまった少女。部のメンバーで新しく作られた音楽愛好会に入るも,ライバルの軽音愛好会(メンバー一人)と教頭先生(いつも背中にバラ)に邪魔されて自由な演奏はなかなかできず。彼女たちは自由を求めて立ち上がった――,という感じの話。

状況が状況だけに音楽的なシーンは少なく,むしろキャラたちの変人ぶりや,部員たちの連帯感や,ライバルとの対決姿勢といったところで見せてくれる作品。絵は丸く太い線で,かつすっきりとしていてとっつきやすい。ストーリー的には,これまでは淡々とした学校での日常のみだったが,最近では音楽愛好会が実質的な行動に移り出しており,これからが本番といったところ。

田川ちょこ「ひかるファンファーレ」

芳文社『まんがタイムジャンボ』2007年8月号 p.41 右3コマ目

芳文社『まんがタイムジャンボ』連載。トランペットに憧れて吹奏楽部に入部したけど,渡された楽器はチューバ!? そんなちんまい女子高生・ひかるの吹奏楽部での日常を描いた作品。

ひかるのチューバネタがメイン。花形でもなく,友達にはからかわれ,その重さで背も伸びない(?)チューバだけど,それでも前向きにチューバを演奏するひかるの姿が健気で好感が持てる。音楽的な要素だけでなく,ケータイやダイエットといった女子高生的な要素を持った友達が混じり,キュートでポップな絵でもってかしましい部活動を見せてくれる。個人的には,今回紹介した作品の中で一番の期待株。今後は演奏会などの高校らしいネタを期待したい。

かきふらい「けいおん!」

芳文社『まんがタイムきらら』2007年8月号 p.67 左3コマ目

芳文社『まんがタイムきらら』連載。ギターも弾いたことがない女の子が,ひょんなことから軽音楽部に入部してしまって,という話。部員は全員女の子。

引用したコマでこそ主人公がギターをしているが,実際にはあまり部活動をしていないという部活もの。ぶっちゃけ軽音部じゃなくてもいいんじゃないか? とも思えてしまうのはある意味きらららしいけど,せっかくなんだから音楽的ディテールでもって他の作品にはないものを見せて欲しいなあと切実に思う。

楯山ヒロコ「ハニーtheバンドガール」

芳文社『まんがタイムスペシャル』2007年9月号 p.97 左4コマ目

芳文社『まんがタイムスペシャル』連載。お嬢様音大でクラシックピアノを習いながら,ロックピアニストを目指してバンドに打ち込む少女の話。

音楽活動に打ち込む主人公のひたむきさ,おしとやかさとパンキッシュなキャラの二面性,そして彼女をとりまく人々との青春模様,それらの全てで見せてくれる。そんな彼女のかっこよさが,作者の細めの線と鋭い表情によってしっかり主張されている。作者は別作品で第1回まんがタイム新人4コマまんが大賞の奨励賞を受賞しているが,それだけのことはあると思わせてくれる,実力派かつ正統派な作品。今後の広がりが楽しみ。

都桜和「うらバン!~浦和泉高等学校吹奏楽部~」

芳文社『まんがタイムきららキャラット』2007年9月号 p.171 右4コマ目

芳文社『まんがタイムきららキャラット』に連続ゲスト掲載中。楽器経験無しだけど吹奏楽部に憧れる女の子。しかし説明会に行ってみたら,吹奏楽部員は先輩たった一人だった,という話。

元バスケ部で同じく楽器初心者なおバカな同級生,鼻でフルートの演奏ができるミステリアスな先輩,そして主人公の三人による部活動が,ころころ可愛いキャラ絵とともに面白おかしく描かれる。特に会話が楽しい。おバカ・不思議・真面目って黄金の三角形だと思う。連載化が待たれる作品。

追記(9月15日 20時46分)

2作品追加。

宙花こより「しあわせ音魔法」

芳文社『まんがタイムきらら』2007年10月号 p.80 右1コマ目

芳文社『まんがタイムきらら』短期連載中。作者は「そらはなこより」。前の学校の合唱コンクールの失敗で,歌うことに自信を無くしていた転校生の少女。彼女は新しい学校で,仲間たちと歌う楽しさを取り戻していく――,という感じの話。

音楽的ディテールよりも部員たちとの百合的な関係性で見せてくれそうな作品。主人公の転校生は早速変人さんな部員たちに絡まれてる。まだ始まったばかりの作品なので,今後どのような方向に転ぶか分からないけど,これは期待して良さそう。

小坂俊史「サイダースファンクラブ」

小坂俊史『サイダースファンクラブ(1)』/バンブーコミックス/竹書房 小坂俊史『サイダースファンクラブ(2)』/バンブーコミックス/竹書房

竹書房『まんがライフMOMO』に連載されていたが,現在は連載を終了している。単行本は全2巻。ブレイクを目指すもなかなか売れない女子スリーピースバンド・サイダースのへっぽこな音楽活動を描いた作品。

小坂テイストが色濃く出ている作品。「お前らもっと真面目にバンドせーや」と思ってしまうサイダースの非常識さ,そしてそれゆえの彼女たちの生き生きぶりが面白い。ライバルのバンドメンバーとの絡みがまた,彼女たちのへっぽこぶりをこれでもかと見せつけてくれる。最後の最後ではサイダースのかっこいいところを見せてくれるところがまたにくい。万人向けの良作。

まとめ

ストーリーの音楽漫画が音楽活動を通じたキャラクターたちのドラマを描いているのに対し,音楽4コマは音楽のあるキャラの日常を描くことに重きを置いているようである。4コマという定型の制約や,時間的・ページ的にドラマを描くにはまだ不十分ということもあろうが,逆に言えばそこに4コマらしさ――キャラを描き,日常を描く――があるように思う。

ところで,音楽と聞いて連想するのは,同じく芸術・創作活動である美術だろう。既に美術4コマにはその存在を確かに示す作品があり,例として蒼樹うめ「ひだまりスケッチ」,小箱とたん「スケッチブック」,きゆづきさとこ「GA 芸術科アートデザインクラス」が挙げられる。

これらの作品は,同じく美術を題材にしたヒット漫画,羽海野チカ「ハチミツとクローバー」より時期的に後発である点も音楽4コマと共通している。ここから「一般漫画でヒットした作品の題材は,その後4コマ作品でヒットする」という仮説を立てることもできそうである。

もちろん,これから音楽4コマの本当のブームが来るかどうかは分からないのだが,流れは確実にその姿を現しつつあるように感じる。今後が楽しみなジャンルである。

関連リンク

美術4コマに言及しているページへのリンクを。

ひだまりスケッチは、掲載誌まんがタイムきらら系列にいくつかある、ほかの美術科、あるいは創作系四コマ漫画の最初のアニメ化例としても興味深い。

Stack-Style: 『ひだまりスケッチ』に見る美術部アニメの可能性

美術4コマ作品はクオリティが高い作品が多いのか それは漫画を描く作家が美術の知識が高かったり美術関係の経験がある事があったり関心が高いお得意のカテゴリであるはずで、これをテーマにする以上作品の美に対する拘りが生まれ、自然に作品のクオリティに繋がっていると思います。

4コマ紹介所: 4コマ雑談第015回

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#68: 音楽4コマがちょっとしたブームになっている(よつぎりポテトより)

  • dominoの編集後記
  • 2007年09月04日
  • 08時27分
なるほど、4コマもアーティスティックな表現の一つとすれば「音楽」や「美術」と親和性が高いのも当然だよなぁ。その一方で半歩それた話。表現という点で「音楽」に近いジャンルの一つに「お笑い」ってのがあるのかなぁと思ってます。なんと言いましょうかライブ感や空気感 ... 全文を読む

コメント

#230: Re: 音楽4コマがちょっとしたブームになっている

関連リンク紹介ありがとうございます。
音楽を主題にした4コマは結構あったんですね。
ハイ・ファイブ!ぐらいしか知りませんでした。
紹介されている作品だと
ハニーtheバンドガール
うらバン!~浦和泉高等学校吹奏楽部~
はちょっと気になりますね。今度調べてみよう。
私は音楽を主題とした4コマだと
完結作品ですが小坂俊史氏サイダースファンクラブ
しか知りませんが
あの作品が一番音楽4コマらしくて好きな作品でした。
これに続くような良い音楽4コマ作品が出てくる事に
期待です。

#231: Re: 音楽4コマがちょっとしたブームになっている

  • すいーとポテト
  • (URL)
  • 2007年09月04日
  • 01時04分
  • 編集
Noaさん,コメントありがとうございます。と同時に,重要なご指摘をありがとうございます>サイダースファンクラブ。作品は最近のものから抜けがないように調べたつもりでしたが,その作品を忘れてました……。

「サイダース~」は音楽4コマであると同時に,小坂テイストが色濃く出ている作品ですよね。「お前らもっと真面目にバンドせーや」というサイダースの非常識感,それゆえの生き生きさ,みたいな。最後にはちゃんとかっこいいサイダースを見せてくれたところも良かったです。

#238: Re: 音楽4コマがちょっとしたブームになっている

  • すいーとポテト
  • (URL)
  • 2007年09月15日
  • 20時50分
  • 編集
作品リストに宙花こより「しあわせ音魔法」と小坂俊史「サイダースファンクラブ」を追加しました。

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