芳文社『コミックエール!』VOL.1

芳文社から創刊された男のコ向けの少女まんが誌。キャラットの増刊扱いだけど,4コマではなくストーリー中心。

【ゲスト】須田さぎりラブイーブン
結ばれたばかりの学生カップル。そんな彼らの気も知らず,校内の”恋愛”の平等を徹底させますと,風紀委員長がスーパーマシンで恋愛の持ち込み検査を始めてしまった。二人の恋の行方は? という感じの話。設定の奇抜さは置いといて,委員長の想いの伏線や,最後に二人が恋心を確認しあうシーンなど,キュンとしどころはもっと丁寧に描いて欲しかった。残念で仕方が無い。
【新連載】天乃咲哉御伽楼館~Märchenturmgebäude~
美しい人形を揃える双子の姉妹の人形店。この店でお金の代わりに頂くのは,訪れた若き娘の”想い”の詰まった物。そしてこの店にまたひとり,バレエの夢を諦めかけていた娘が訪れた,という話。不思議な人形を通じて主人公が夢を取り戻す少女ファンタジー。努力と挫折の過去,そして再起から成功への道のりが丁寧にまとめられているだけでなく,その美麗なキャラクターたちにも惹かれる。予想外の正統派作品。
【新連載】秋★枝純真ミラクル100%
芸能事務所にやってきた新人の女の子は,おっとりして頼りなげで,世の男が好みそうなタイプ。そんな彼女の姿を見た女所長は,男性関係のやさぐれもあって,眠れるS属性を開放してしまい……,という感じの話。思惑が外れる所長の姿が,純粋な新人の姿も相まって妙に滑稽。きっと新人は今後も奇跡を連発してくれるんだろう。ただ,このままだと所長がただの悪い人になってしまいそうなのが惜しいなあ……。
【新連載】統月剛まよえるグラビーノ
探求の試練のため,天から堕天地(グラベルテ)へと降り立った聖天族(フューゼル)と堕天人(グラビーノ)の姉妹の話。これに限らず固有名詞が多い……。先の3つは「地上」「天使」「堕天使」と脳内置換だ。不思議と波長が合う作品。でもどこに気に入ったのかがつかみ切れていない。とりあえず,今のままだと女の子ばかりなので,強くてかっこいい男の子が出てきて欲しいと思った。
【ゲスト】神堂あらしまいどる
真面目な高校生男子にお熱な小学生女子。彼の裏の顔は,街で一番人気のアイドルだった,という話。変キャラたちによるドタバタ展開は神堂氏らしいノリで楽しかった。ただ,二人のラブコメ要素が少なかったのは,仮にも「少女漫画誌」を標する雑誌の作品としては残念だった。
【ゲスト】むんこ「月~moon~
「らいか・デイズ」番外編ショート。ああ……,確かに「月」だね……。
【新連載】かたぎりあつこすいーとりぼん!
メル友の女の子はやさぐれ家出魔女少女? そんな彼女とひょんなことから一緒に暮らすことになった女の子の話。この方は普段は4コマでしか見たことがないのでストーリーは新鮮。魔法少女と現実主義の融合……なのかな? 顔見せ程度にしか話が進んでないからよく分からない。ただ,主人公は女の子じゃないと「分かり合う」という構図は出来ないよね,とは思った。
【新連載】ろくこ「リトル・リトル」
今号ぐっと来た三本指その1。庭でひとりお茶を飲む病弱そうなお嬢様。彼女の元に,どこからか狐の耳と尻尾を持った少女が迷い込んできた,という話。全編サイレント。言葉なんて俗なものは狐っ娘を愛でるのには必要ないのですよ。可愛いで閉ざされた世界の心地良さと言ったらない。お布団シーンの柔らかさと温かさには脳が溶けそう。全然知らなかった作者だけに今号一番の発掘。
【新連載】仙石寛子「背伸びして情熱」
ぐっと来た三本指その2。4コマ。男子生徒と女教師の恋模様。起伏と起承転結を極力排除した4コマで,生徒のモノローグと二人の会話の様子が淡々と描かれる。小池田マヤ氏の手法がより純化された,とでも言えばいいのか。儚げなテーマが儚げな絵と見事にマッチしている。先生の困った表情とか,もうね,何とも。ホーム4月号の「桜姫」も素晴らしかったし,この方はもっと評価されるべきだと思う。
【新連載】シギサワカヤ溺れるようにできている。
ぐっと来た三本指その3。って,掲載も連続してるじゃん。遠距離恋愛の幼馴染カップル。でも彼はどうして私が好きなのか分からない,と不安を募らせる彼女。彼は私にとって特別,だから私も彼にとって特別になりたい――,そんな恋模様。普通の少女漫画でもよく見られるテーマだけど,この方が描くとどこか醒めてて少女っぽくない。瞳が大きくないからなのか,それとも女性キャラクターが既に「少女」でないからなのか。過去シーンでは黒の背景に乗せた言葉のひとつひとつが重く痛く伝わる。それでも最後に希望を見せてまとめるところに,『箱舟の行方』とは違った良心があるように思う。
そういえばコミティアで入手した同人誌『ヴァーチャル・レッド』シリーズをまだ読んでいない。早く何とかしないと……。
【ゲスト】土家千明「さくらんぼほーむ」
4コマ。第1回まんがタイム新人4コマまんが大賞最終選考ノミネート作品。忙しい母,母代わりの姉,姉を慕う妹,そんな3人家族。妹の喜怒哀楽の表情がコミカルで楽しい。ファミリー辺りに登場してもいいかも。

「男性向け少女漫画」と聞くと,私の場合,新井葉月氏や山名沢湖氏のような「乙女ちっく」なものを想像するのだけど,雑誌の雰囲気はそれと全く違ってた。いずれにせよ,波長が合う作品が少なかったのが残念で仕方が無い。公式ブログアンケートで主張してくれようか。

まだ言いたいことは色々あるけど,それは近日中に別エントリにてまとめる予定。

次号は8月発売予定。予告新連載陣では黒渕かしこ氏と小石川ふに氏に期待。

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コメント

#212: 更新お疲れ様です!

  • フタバ
  • (URL)
  • 2007年06月03日
  • 17時57分
  • 編集
私もエール創刊買いました。
(書店おいてなくてアニメイトで取り寄せてもらい、
昨日ついに購入、しかし発行部数が少なすぎるヽ(`Д´)ノ)。

正直、50%は記念に、25%はらいか外伝に、
最後の25%が最近気になっている仙石先生のために購入しました。
(桜姫の様な虚無感を体験したくてw)

そんなわけで、『moon』と『背伸びして情熱』はかなり満足できました。

あと、個人的にツボに嵌まったのは山本ルンルン先生とか、
コダマナオコ先生とか、宮原るり先生とか、結構個性的で面白い作家さんが多いと思いました。

でも、連載作品全体を通して、ストーリー構成を
ギチギチに詰め込んだ感じがして、ちと残念でした。

創刊号なのでしょうがないか、と思いつつ二号になればもっと面白くなるに違いない!

と思ったら・・・

次回発売が八月ですと!?待ちきれるのか!?
少々絶望感が漂いました...Orz

#213:

  • すいーとポテト
  • (URL)
  • 2007年06月03日
  • 23時35分
  • 編集
個人的には,仙石寛子氏は今年一番期待の新人だと思ってます。エールでは連載らしいので,今後もとても楽しみですね。
季刊なのは,創刊したばかりですし,前例がそれなりにあるとはいえ「男性向け少女漫画」という比較的未知のジャンルですから,月刊のように短い周期で出すのは引けたのかもしれません。
2号はもっと面白く,と期待したいですね……。アンケートでこんな人を呼んで欲しいってのは書いてみようと思います。とりあえずフォワードからあの2人を!

#214: わたしも、

  • フタバ
  • (URL)
  • 2007年06月04日
  • 19時51分
  • 編集
アンケート出してみました。
お気に入り作家は千石、むんこ、山本先生の三名で、
そして、今後登場して欲しい作家に、
荒井チェリー、阿部川キネコ、魔夜峰央(!?)三先生を押しときましたw
ちょっと破天荒すぎたかもしれません。

フォワード系は、ひねくれものなので大井昌和、ヒロユキ両先生は外しました。
(多分、この二人は誰かがリクエストするに違いないので)

しかし、荒井先生はキララ系のどこでもいいので、『きみぼく』の外伝、
もしくは本編を早く描いてほしいと思い、エールでの連載リクエストを希望しておきました。


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