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怖がりと怖いもの知らず・極端なキャラによるドタバタなコメディ - 吉村佳『どろんきゅー(1)』

吉村佳『どろんきゅー(1)』

果歩は怖がりなのにオバケに好かれてしまう霊感少女。友人のアキは果歩の怖がっている姿を見るのが大好き。そんな二人のドタバタコメディ4コマ。芳文社『まんがタイムスペシャル』連載。

二人の掛け合いの面白さとオバケのおどろおどろしさが光る作品である。写真には写り込まれ、トイレや寝室は覗かれ、通学路では追いかけられ、街ではナンパされる。年がら年中・四六時中、オバケにつきまとわれて涙目になってしまう果歩の姿が哀しくも可笑しい。怖がる果歩をケータイのカメラに収めつつ、彼女にあえてオバケの存在を知らしめてさらに怖がらせるアキも笑いを誘う。二人の日常を彩る(?)オバケたちは赤黒い血にまみれてリアルに描かれており、二人を描く可愛い絵柄とのコントラストが映えている。

そんな二人の掛け合いの面白さを支えているのは、言わば二人のパワーバランスである。二人の関係はともすれば、怖がらせるアキが怖がる果歩を追い詰めるような歪なものに陥ってしまいそうに見えがちである。そこを、作者は二人を穏やかに調停するのではなく、むしろ二人のキャラを徹底的に振り切ることによって、その関係のバランスを絶妙に保っている。すなわち、果歩をとにかく怖がりな天然霊感少女に、アキを何に対しても怖いもの知らずにすることによって、二人の関係性に嫌らしさを持ち込むことなく、可笑しさを巧みに見せているのである。

吉村佳『どろんきゅー(1)』 p.42 右3・4コマ目

(図:吉村佳『どろんきゅー(1)』 p.42 右3・4コマ目)

例えば、プリクラの一本(上図)を見てみよう。自身のプリクラに大勢の幽霊が映り込んだことを嘆く果歩と、その姿を笑顔でケータイに収めるアキ。ここには、アキのことを怒る余裕がないほどに怖がりな果歩のキャラと、その言動を軽いノリで楽しむサディスティックなアキのキャラがよくあらわれている。キャラを中途半端に――果歩がアキの言動に冷静に怒ったり、アキが果歩に救いの手を差し伸べたり――することは決してない。果歩はどこまでも幽霊を怖がり、アキは幽霊に対しても友人に対しても怖いもの知らずである。こうした徹底的なキャラ付けによって、作者は二人の関係がこのまま確固としてあり続ける安心感を読者に与え、同時に二人のキャラの差異によって可笑しさを生み出しているのである。

怖がりと怖いもの知らず・極端なキャラによるドタバタなコメディ。作者初単行本作品にして、キャラ付けのセンスがキラリと光っている。雑誌連載ではビジュアル面も日々進化しており、二人はよりコミカルに、オバケはよりおどろおどろしくなっている。キャラとビジュアルの両方を獲得しつつある作者がいかなる作品を生み出していくのか。引き続き注目していくべき作品、そして作者である。

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