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かつての輝きはもはや見る影もなく、ただ残るのは編集部への失望のみ - 角川書店『4コマなのエース』2013年9月号

この雑誌は名前から「4コマ」を取り除いた方がいい。今月号掲載の21作品のうち、自由コマ割りパートを含まない純粋な4コマ作品は7作品と、3分の1しかない。特に目を覆いたくなるのが、4コマ形式と自由コマ割り形式が同じ作品中に無秩序に用いられている様だ。4コマとは定型詩のようなものである。定型による制約は律動や技巧といった別の価値を生み出す。その価値を雑誌総体として最大限に生かしたものこそが4コマ誌と呼ばれるべきであろう。そして、4コマという定型を崩して別の形式と併用するならば、また別の価値が示されるべきである。しかし、この雑誌においては明快な価値が示されているようには見えない。せいぜい、キャラが4コマという狭いコマに囚われることなく描かることによってビジュアル性が向上している、というくらいである。

ここにおいて、なのエースと『まんがタイムきらら』系列誌との、特に『~ミラク』との差異が如実にあらわれる。ミラクは4コマという形式を崩しつつも、そこに読者の読みを誘導する巧みな表現技法を取り入れることによって、4コマ性とビジュアル性を高度に融合・昇華させた作品が生まれた。また、ミラク以外のきらら系列誌でも、4コマの枠を一切取り外しながらも4コマとして読むことができる新奇な作品が登場した。こうした価値を持った作品は、4コマという表現を専門としながら、いわゆる「萌え4コマ」のような新しい価値を求めてきた芳文社だからこそ成し得た技だと言えよう。面白い4コマ誌を出せるかどうかは、出版社の規模とは全く関係ないのである。

なのエースの林編集はかつて4コマトークイベントに出演し、萌え系や日常系における4コマ表現について高尚な言及をされていた。そのなのエースが、今やこの体たらくである。オリジナル新作4コマが粒ぞろいだった創刊時の輝きは、もはや見る影もない。林編集の件の言葉がなければ、私もなのエースのことをただ打ち捨てて忘れていくだけだっただろう。今はただ編集部への失望しかないし、今のまま滅んでいくならば雑誌総体に対する未練は一切ない。(遺される個々の作品のいくつかについては救われてほしいとは思う。)

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