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コミカルでオシャレな骨董品擬人化――和錆『アンティック』

和錆『アンティック』

杏音(あんね)は骨董品が大好きな少女。ある日、彼女は家の蔵で、中から声のする箱を見つける。声に導かれて箱を開け、中に入っていた懐中時計のゼンマイを巻くと、懐中時計から精霊・オロが現れる。話を聞くに、オロは懐中時計がどこか壊れていて記憶喪失だという。こうして、オロを直すため、杏音とオロの一緒の暮らしが始まった――。一迅社『まんが4コマKINGSぱれっと』連載終了作品。

ファンタジックでハートウォーミング、そしてキュートでコミカルな作品。精霊という非現実的存在が杏音を始めとした人間たちに自然に受け入れられている日常は穏やかで温かい。女の子たちは、リボンやフリルなどの要素はもちろんのこと、服からアクセサリに至るまでのコーディネートがオシャレで可愛らしい。古風な言葉遣いなのに子供っぽいオロ、破天荒な友達、可愛いものや服に目がない姉とその知人の骨董屋女店主などなど、ひとクセある周囲の精霊や人との杏音の日常はドタバタで楽しく、キャラたちのシンプルで喜怒哀楽に富んだ表情が可笑しい。これらの点において、本作は比較的ストレートな萌え4コマ作品と言えるかもしれない。

しかし、本作で真に注目すべきは、骨董品たちの擬人化である。本作には懐中時計の精霊たるオロだけでなく、望遠鏡、刀、ペアティーカップ、蓄音機の精霊が登場する(さらに、単行本カバー裏にはカギ、ランプ、柱時計、カトラリーの精霊も登場する)。「骨董品の精霊」という設定の彼女たちは、その存在が骨董品と密接にリンクしているため、姿は違っていても同一の存在と見なすことができる。人ならざる者が人の姿として描かれ、「人ならざる者」と同一の存在として眼前に現れる。これはまさに擬人化である。

骨董品たちの擬人化はその外見によくあらわれている。懐中時計のホロは頭のてっぺんに竜頭のようなアクセサリをつけ、そこからはチェーンが伸び、チェーンの先端にはリングが付いている。望遠鏡の精霊は長い髪を円筒の道具で束ね、耳には星型のピアスをつけている。刀の精霊の髪型は刃のようにまっすぐで鋭いポニーテールで、着物の帯は柄の模様をしている。ペアティーカップの精霊は二人組で、どちらも腰にハート型の白いリボンが付いた花柄で裾広がりのスカートを身にまとっている。蓄音機の精霊は花丸のような形をした髪飾りを後頭部に身につけている。これらの姿はまさに、骨董品の外見や、骨董品から想像される事物を表したものである。もちろん、外見だけでなく言動にも骨董品らしさが反映されている場面もある(例えば、懐中時計=精密機械であるオロは水や砂に弱い)が、それらはワンポイントで描かれることが多く、外見と比較して前面には出ていない。

本作の魅力は、こういった擬人化がオシャレと結びついている点にある。分かりやすい例は上で述べたペアティーカップの精霊だろう。ティーカップを逆さまにしたような形のスカートでもって擬人化することにより、作者は読者に対して「この精霊はティーカップである」ことを図像レベルで理解させることに成功するとともに、精霊キャラの魅力を大きく引き出しているのだ。あるいは、作者の擬人化手法はビジュアルを第一義にしているとも言えるだろう。これは、作者がイラストレーターとしても活動していることからも納得できることだろう。

作者と擬人化は切っても切り離せない。作者はマンガナビのインタビューで、キャラクターを描くときのこだわりについて「そのキャラのテーマカラーと記号付けでしょうか。常に何かを擬人化するようなイメージで描いています。」と答えている。さらに、擬人化の魅力については「無機物なものに命が吹き込まれる感覚や、その物の特徴をビジュアルにうまく変換出来た時がすごく楽しいです。」と語っている。また、作者は同人活動においても、動物擬人化『Animalia』、果物擬人化『Fleur』、花擬人化『Fiorato』などの擬人化作品を発表している。こういった〈擬人化的想像力〉と擬人化作品の延長線上に本作があるのだ。

本作について惜しむべくは、カラーページが少なかったことだろうか。作者の擬人化は色も美しい。『Fleur』に登場するリンゴ、バナナ、キウイなどの6つの果物は、それぞれに色が異なり、しかしその姿には統一感があって、作品に対して確固たる彩りを与えている。ただ、本作は骨董品というテーマ上、色栄えさせるのが難しかったのかもしれない。単行本の表紙やキャラ紹介のページを見ても、カラフルというよりは落ち着いた色使いであることが分かる。次回作があるならば、今度はぜひともカラフルな作品を読みたいものである。

コミカルでオシャレな骨董品擬人化。可愛い服の女の子が好きな、そして擬人化が好きな人にオススメしたい作品である。

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