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インコ愛ゆえの「プリミティブな欲望と女性性」――内村かなめ『羽毛100%』

内村かなめ『羽毛100%』

インコ好きの作者によるインコ漫画の単行本。コザクラインコのサン♀とサクラ♂、オカメインコのひぃ♂とくま子♀、総勢四匹のインコとひとつ屋根の下で暮らす作者自身の日常をショートと4コマで描く。イースト・プレス『ハムスペ』およびそのリニューアルである『あにスペ』にて連載されていた表題作、および作者が直近三回の夏・冬コミにて発行したインコ同人誌の内容を収録。作者による描き下ろしおよび作者のインコ仲間であるみつみ美里・みささぎ楓季両氏によるゲスト寄稿もあり。なお、『あにスペ』自身は2009年9月に休刊している。

本作の楽しさは作者自身に尽きる。それは、作中に登場する作者の言動はもちろん、インコ四匹の行動に対する作者の解釈にまで及ぶ。いくつか例を見ていこう。

作者「な、な、な なによっ さっきまで言うこと聞かなかったくせにっ 魅せにきたのねっ!? 魅せにきたならおさわりOKってことよねっ かわいいわよ ばかばかっ」

(中略)

作者(やだっ 誘ってる!? 俺をつかまえたくば来いと!? このっバカバカ かわいい男めっ 釣られてやろうか!? ああっ 釣られるの 私!?)

内村かなめ『羽毛100%』7ページ

漫画の仕事中に作者のまわりをウロウロしながら自身をアピールするひぃに魅了される作者。緩みきった表情で息を荒げながら「おさわりOK」とのたまう姿は、相手がオスのインコでなく人間の男の子だったら逮捕されかねないレベル。この後にくま子のアピールも加わり、作者は仕事を放り出して二匹に陥落する。

作者「ふ…ふふ… サンちゃんは女の子かあ

だったらサン子ちゃんっ 言っておくことがある

サクラさん(♂)の本妻は私 あんたは2番目

内村かなめ『羽毛100%』48ページ(強調ママ)

サクラと同じケージに住むサンがメスだと判明したときに、彼女にライバル心(?)を燃やす作者。この後、作者はサクラと「室内デート」でスキンシップを取るが、サクラを追いかけてきて彼に毛づくろいをするサンに対して「かわいい」ながらも「浮気相手」という複雑な心境を見せている。

作者(この意味はなんだろ? くま子 女の子だし… そうだっ 人間の女の子にたとえると)

女子高生風くま子「あんたのこと いやだけどっ そばにいないと 気になるのっ いやなのよっ!! そんな気持ちよっ わかるっ? わかるわけないわよねっ あんただもんっ」

作者(これって ツ、ツンデレ!?)「くま子ー ういやつー♥」

そう勝手に解釈するとめっちゃラブリーなくま子♥

内村かなめ『羽毛100%』39ページ(強調ママ)

作者の肩に乗るも作者と目を合わせずに「キョヒ」の態度を取るくま子にツンデレを見出す作者。「勝手」な「解釈」だと自覚的でありながら、それでもインコの行動に人間のようなキャラ性を見出してしまう作者のインコラブっぷりが可笑しい。

こんな感じで、この作品では作者がインコ愛ゆえのストレートな欲望を随所で見せており、さらにそこには「かわいい男」「浮気相手」と言った女性的な面が垣間見える。そう、この作品においては、作者自身が「プリミティブな欲望と女性性」を体現しているのだ。ここに、作者の他の4コマ作品と、動物系実話である今作が接続される。掲載誌は萌え系4コマ誌と動物系実話誌という風に遠く離れているように見えても、それぞれの作品の魅力を支える基礎はその全てにおいて貫かれているのだ。これを作者4コマ作品の本質と言わずして何と言うのか。

インコ愛ゆえの「プリミティブな欲望と女性性」。雑誌がなくなっても、単行本が単巻完結でも、引き続き同人誌で、作者のおもしろおかしいインコな日常を追いかけて行きたいと思う。

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