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終わるお茶会・新たなお茶会――あるいは私の好きな「浮遊感」と「かしましさ」

スクウェア・エニックス『ガンガンWING』2009年3月号 p.507

茶道部4コマ,大川マキナ「アリスのお茶会」が,1月末に発売された『ガンガンWING』3月号で連載終了となりました。昨年末発売の2月号の終わりに「次号、アリス最後のお茶会。」とあったので「まさか……!?」とは思っていましたが,実際に最終回を目の当たりにすると,やはり残念でなりません。

WING2008年3月号のゲスト掲載でデビュー。可愛らしい表情のキャラとやわらかい空気,そして茶道へのおおらかさに,私は衝撃を受けました(当時の記事)。その後,5月号のゲスト掲載を経て,10月号から連載化。「アリスも高校生になったから いよいよ茶道部に入ります!」と,カメセンセとともにアリスの茶道部活動が本格的に始まり,まだまだこれから活躍を見せてくれるはず……,と思っていたところにこの最終回。あまりに,あまりに早すぎる最後のお茶会となってしまいました。

連載を通じて,この作品はいわば「少女4コマ漫画」だと感じました。最近読んだ他の4コマ作品の中では,真城ひな「ややプリ」に近い印象です。主人公の女の子が,自身の夢見がちなキャラでもって,そして絵本に登場するようなマスコットキャラに囲まれながら,毎日を楽しく送る。おっとりなアリス,快活な弥々という性格の違いはあれど,それぞれにどこか幼なさを持った女の子が過ごす日常の落ち着かなさ=「浮遊感」が,これらの作品の魅力でしょう。そしてこの浮遊感が,私が「アリス~」に魅かれた理由でもあります。

私はここに感謝の言葉を書きとめておきたいと思います。それは,作者はもちろん,この作品に携わった全ての方々への感謝です。特に,この作品の魅力を見出し,雑誌連載という場を設け,単行本発売まで漕ぎつけ(3月27日発売),今日まで作者と共に歩まれたであろう編集の方には,この作品を私に出会わせてくれたことに深く感謝します。ありがとうございました。次回作も是非よろしくお願いします。

http://comics.yahoo.co.jp/magazine/blood/otixyaka01_0001.html より

さて,こうして終わってしまうお茶会もあれば,新たに始まるお茶会もあります。それがYahoo!コミックに読み切り掲載中のショート作品,来瀬ナオ「お茶会さくらいろです。今作の主人公・侑以も,先の作品のアリスと同じく,茶道初心者の茶道部員で新入生。部室の窓から見える散りゆく桜に,新生活の忙しさでお花見に行けなかった侑以のため,茶道部員の彩子と萌黄が桜の木の下でのお茶会を提案して――という話です。

「ゆったり茶道部ストーリー」,確かにその通り。今作では平和な茶道部の日常が,透き通った絵で爽やかに,そしてゆるやかに描かれています。しかし同時に,この作品には「女の子の爆発力」があります。侑以の固さを和らげようと動く萌黄は,茶道が持つ静かなイメージとはかけ離れた元気さで場をにぎわせてくれます。着物姿で茶道部員らしい彩子も,お茶会のお菓子にハートを飛ばしてうっとりしたり,萌黄の作法に「めそめそ」したりと,要所でオーバーな動きを見せてくれます。そして侑以自身は,飛躍した言葉遣いでしょう。「趣のある…!」なんて言葉,茶道という舞台を考えても,彼女たちの年齢からすればなかなか出てくる言葉ではありません。

別の言葉を使えば,制御されていない(かのように見える)飛躍こそが爆発力と言えます。男子諸君ならば覚えがある方も多いはずです。学生時代に,教室の隅の方で女子たちが集まっていると,それまで何ともない彼女たちが突然黄色い声で騒ぎだすという光景を。そして,その光景を傍目から見ると,なぜ騒いでいるのか全く理解できないということも! 「女三人寄ればかしましい」とはよく言いますが,まさにこのような爆発力こそが「かしましさ」と言うべきものでしょう。そして,私はこのかしましさが,たまらなく好きなのです。

この作者は他の作品でもかしましさを見せてくれます。S・M・ノーマル三人娘4コマ「ぴりからハニーデイズ」では,三人娘がキャーキャーする様はまさに「教室の隅で騒ぐ女子」でした。グリム童話から現代に飛び出した二人娘を描いた4コマ「ゆきばら」でも,二人のテンションが乱高下しながら,時代錯誤な意識と姿ゆえに現代に戸惑う様が実に騒がしく,見ていて楽しいです。

私は,来瀬氏の今後の活躍の広がりを心から楽しみにしています。特に,Webコミックのみならず,漫画雑誌にも是非登場して欲しいです。作品の雰囲気的に,『ガンガンWING』や『まんがタイムきららフォワード』なら,活躍の場があるのではないかと勝手に思っています。

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