2011年04月の記事

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ヒューマンドラマとファミリードラマの融合――板倉梓『少女カフェ(1)』

板倉梓『少女カフェ(1)』

カフェ・サンフランシスコを切り盛りする、父・一郎と、5歳の双子の娘・つくしとみお。病気で亡くなった母・マチコの代わりにと、つくしとみおはカフェのウエイトレスを買って出る。父の心配をよそに、つくしとみおは「コワいくらい」にしっかり者。マチコの友人・葉月などの常連客に対して、頼りない父の代わりに積極的に営業、営業。そんなカフェでの日常を描いた4コマ漫画。芳文社『まんがタイムスペシャル』連載。本作は作者初単行本。

作者がグラフィックデザイナー出身であることを差っ引いても、これが作者初の単行本とは思えないほど、高いクオリティのファミリー4コマ。親バカな父と明るく・しっかり・おませな二人娘という家族を中心に、訪れる人々の悲喜こもごもをまじえ、カフェでの日々は和やかにテンポよく進んでいく。キャラたちの喜怒哀楽の表情もコミカル。特に、小さく可愛らしく、シンプルな描線で描かれるつくしとみおがキュートである。実にファミリー4コマらしいファミリー4コマと言えよう。

本作はそれでいて、ドラマ的な一面も持ち合わせている。妻を亡くした夫、母の代わりにならんと健気な二人娘、亡き彼女の友人にして常連客、そして想い出の地の名がついたカフェという舞台。作品の設定だけ取り出してみても、描かれる人間たちの生き様が否応なく想起される。その意味で、本作はファミリードラマとヒューマンドラマが融合した作品と言えるだろう。

元々、作者作品はヒューマンドラマ志向が強い。作者のそれは特に「断片的ヒューマンドラマ」とでも言うべきものだ。作者はある人間の連続的な「一連の人生」ではなく、断片的な「今現在を生きる姿」と「そこにつながる過去」を描く傾向がある。そして、過去が解消された現在の姿は「これからも生きていく予感」を感じさせてくれる。デビュー初期のショートストーリー作品「わすれもの」を見てみよう。古い絵本を大切にする、故郷に戻ってきた少女。絵本のタイトル「わすれものはなに?」、そして彼女の元に現れた青年に、彼女は苦い過去を思い出す。その過去は解消され、彼女は故郷に真に受け入れられる=幸せな未来を感じさせてくれる。16ページと短いながらも、この作品には少女の過去、現在、そして未来が詰まっている。

そんな作者がファミリー4コマを描いたらどうなったか。ヒューマンドラマをファミリードラマと見事に融合してみせたのだ! 作者はカフェの何気ない風景の中に時折、一郎や葉月の記憶の中にあるマチコの過去を織り交ぜる。マチコが確かに生きていたという過去は、今を生きる者たちの姿に接続され、その者たちがこれからも生きていく予感を感じさせてくれる。それがよく現れているのはサプライズ誕生日の話だろう。 カフェで彼女の誕生日にプロポーズを目論む男性客。彼はマチコがまだ生きていた時にもカフェに来ていた客であり、一郎の記憶のマチコは彼らカップルを「あたしたちに似ている」と言う。そして彼女を見た一郎が心に浮かべた「…ああホントだ」の言葉は、一郎がマチコと出会えたことの幸福さと、件のカップルもきっと幸せになるだろうという予感を同時に感じさせてくれるのだ。

このようにドラマ志向の強い作品を描く作者を、私は小笠原朋子の正当継承者に位置づけたい。小笠原はいわゆる「人並み」や「普通」とはちょっとズレたキャラやキャラ間の関係性を主軸にドラマを駆動する。代表作「ウワサのふたり」を見てみよう。主人公は売れっ子二枚目俳優の男とその隠し子の娘。母亡き「世界一不幸」な娘は、父との間柄を事務所やご近所の人々に後押しされながら、父と亡き母の想いを知り、最後は「世界一幸せ」な娘になる。設定といい展開といい、実にテレビドラマ的である。この点において、作者は小笠原に通じるものがある。しかし、小笠原がそのドラマにおいて重視していたのは、ヒューマンドラマ性というよりもむしろ男女間の関係である。すなわち、作者は小笠原と同じくドラマ性を志向しながら、小笠原とは異なるドラマを描いている。作者が本作を含めて、今後どんな新しいドラマを生み出していくのか、期待せざるを得ない。

ヒューマンドラマとファミリードラマが融合した、ハイクオリティなファミリー4コマ。作者はこの4月16日にも単行本『あかつきの教室(1)』が刊行される。「少女カフェ」が4コマ作品なのに対して、「あかつきの教室」はストーリー作品であり、作者の原点により近いヒューマンドラマが見られることは期待していいだろう。いずれにせよ、作者が描くドラマに、今後も注目して行きたい。

おとなり感想

この作品はホントにホンワカとしてますねー・・・ おませで小悪魔的なつくしに、天然だが毒があるみお・・・この二人がホントに面白可愛いw つくしは5歳とは思えない発言が多数あって、管理人は汗がダラダラと出ましたわ・・・将来大丈夫か・・・?と(;´∀`) 「ビジネスチャンス」とか「お触りはちょっと」とかちょwwwおまwwwwって感じw そしてみおは素直ないい子かと思いきや、発言に毒があったり、地雷があったりとかなり恐ろしい子ですねww

徒然なる一日 ~プチAA遊戯場~ 少女カフェ 第1巻

この漫画は、妻を亡くした夫と、母を亡くした子供たちと、そして友人を亡くした女性の物語でもあるのですね。明るく振る舞っている、そうした人たちの姿、その笑顔の向こうに悲しさが隠されてる。折りに思い出されるお母さんのこと、マチコさんの思い出、それはちょっぴり切なくて、けれどとても穏やかで、それが穏やかであるがゆえにたまらなかった。涙が次から次から溢れてきて、容易に読み通せなかった。途中、休み休み読み進めて、ああ、この人たちは、大きなものを失って、大切な人とお別れして、そうした欠けてしまったものを埋めあわせんとして、ひとつ場所に寄り添うようにしているのかも知れないな。

こととねお試しBlog: 少女カフェ

絵日記に店の売り上げ目標を書くほどおしゃまで(?)甲斐甲斐しいみおが回し、純真でちょっぴり(?)ドジなつくしが"きょとん"とした目で回され、まっとうな人柄だけれどもそんな娘たちが目に入れても痛くない一郎。つつがなくのびやかに展回してく4コマは、屈託を感じさせない彼女たちの愛らしさと、不意にじんわりきてしまう大人たちの泣き笑いとがブレンドされて、もどかしいほどにやさしい。

森の路はずれ - 「少女カフェ」(1) 板倉梓

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