2010年06月の記事

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

インコ愛ゆえの「プリミティブな欲望と女性性」――内村かなめ『羽毛100%』

内村かなめ『羽毛100%』

インコ好きの作者によるインコ漫画の単行本。コザクラインコのサン♀とサクラ♂、オカメインコのひぃ♂とくま子♀、総勢四匹のインコとひとつ屋根の下で暮らす作者自身の日常をショートと4コマで描く。イースト・プレス『ハムスペ』およびそのリニューアルである『あにスペ』にて連載されていた表題作、および作者が直近三回の夏・冬コミにて発行したインコ同人誌の内容を収録。作者による描き下ろしおよび作者のインコ仲間であるみつみ美里・みささぎ楓季両氏によるゲスト寄稿もあり。なお、『あにスペ』自身は2009年9月に休刊している。

本作の楽しさは作者自身に尽きる。それは、作中に登場する作者の言動はもちろん、インコ四匹の行動に対する作者の解釈にまで及ぶ。いくつか例を見ていこう。

作者「な、な、な なによっ さっきまで言うこと聞かなかったくせにっ 魅せにきたのねっ!? 魅せにきたならおさわりOKってことよねっ かわいいわよ ばかばかっ」

(中略)

作者(やだっ 誘ってる!? 俺をつかまえたくば来いと!? このっバカバカ かわいい男めっ 釣られてやろうか!? ああっ 釣られるの 私!?)

内村かなめ『羽毛100%』7ページ

漫画の仕事中に作者のまわりをウロウロしながら自身をアピールするひぃに魅了される作者。緩みきった表情で息を荒げながら「おさわりOK」とのたまう姿は、相手がオスのインコでなく人間の男の子だったら逮捕されかねないレベル。この後にくま子のアピールも加わり、作者は仕事を放り出して二匹に陥落する。

作者「ふ…ふふ… サンちゃんは女の子かあ

だったらサン子ちゃんっ 言っておくことがある

サクラさん(♂)の本妻は私 あんたは2番目

内村かなめ『羽毛100%』48ページ(強調ママ)

サクラと同じケージに住むサンがメスだと判明したときに、彼女にライバル心(?)を燃やす作者。この後、作者はサクラと「室内デート」でスキンシップを取るが、サクラを追いかけてきて彼に毛づくろいをするサンに対して「かわいい」ながらも「浮気相手」という複雑な心境を見せている。

作者(この意味はなんだろ? くま子 女の子だし… そうだっ 人間の女の子にたとえると)

女子高生風くま子「あんたのこと いやだけどっ そばにいないと 気になるのっ いやなのよっ!! そんな気持ちよっ わかるっ? わかるわけないわよねっ あんただもんっ」

作者(これって ツ、ツンデレ!?)「くま子ー ういやつー♥」

そう勝手に解釈するとめっちゃラブリーなくま子♥

内村かなめ『羽毛100%』39ページ(強調ママ)

作者の肩に乗るも作者と目を合わせずに「キョヒ」の態度を取るくま子にツンデレを見出す作者。「勝手」な「解釈」だと自覚的でありながら、それでもインコの行動に人間のようなキャラ性を見出してしまう作者のインコラブっぷりが可笑しい。

こんな感じで、この作品では作者がインコ愛ゆえのストレートな欲望を随所で見せており、さらにそこには「かわいい男」「浮気相手」と言った女性的な面が垣間見える。そう、この作品においては、作者自身が「プリミティブな欲望と女性性」を体現しているのだ。ここに、作者の他の4コマ作品と、動物系実話である今作が接続される。掲載誌は萌え系4コマ誌と動物系実話誌という風に遠く離れているように見えても、それぞれの作品の魅力を支える基礎はその全てにおいて貫かれているのだ。これを作者4コマ作品の本質と言わずして何と言うのか。

インコ愛ゆえの「プリミティブな欲望と女性性」。雑誌がなくなっても、単行本が単巻完結でも、引き続き同人誌で、作者のおもしろおかしいインコな日常を追いかけて行きたいと思う。

スポンサーサイト

芳文社『まんがホーム』2010年4月号-7月号

さすがにそろそろ積みを崩さねばマズいと思ったのでまとめ読み。

6月号では「第4回まんがタイム新人4コマまんが大賞」の結果が発表。植田まさし賞に城戸みつる、まんがタイム賞にG3井田、奨励賞に三浦芳野、内美まどか、石神キサラが選出。この他、最終選考通過者の一覧もあり。受賞者よりも最終選考通過者の方がまだタイム系列誌のゲストで見かけるよなあと思った。新たな才能、特に受賞級の才能であればすぐに系列誌で露出させていくものだと思ってたけど、一概にそうとも言えないのかな。

安堂友子「天子様が来る!」
4月号にクラクラきた。サービス「券」と手裏「剣」を組み合わせた漫画家は史上初じゃなかろうか。じいちゃんのヒップホップもちゃんと韻を踏んでて美しい。そしてどちらの4コマも、4コマ目のネタバレによって、初読では意味不明な1~3コマ目の理路が組み直されていく感覚がエキサイティング。この感覚はいつかちゃんと言語化したいところ。単行本『プレミアム天子様』が発売中。
カワハラ恋「東京!」
5月号では秋葉原くんの妹が登場。メイド喫茶のメイドさんも勤める可愛い妹に秋葉原くんリア充じゃねーかギギギと思いつつ実は妹は腐女子で吹いた。そして彼女にデレデレながらも秋葉原くんに絡んだせいでその片鱗を見てしまった渋谷くんの報われなさにブワッ。この男二人の関係は安心して楽しめる。
仙石寛子「三日月の密」
4月号でキス→5月号でデート宣言→6月号でベッドシーンとか「女同士」とか。この作品を受け入れるホームは「ファミリー4コマ誌」の枠を越えつつあるよなあ。7月号では、口では「杉さんが好き」と言いながらも、心の奥では桃子さんを想っている、そんな歪な感情を抱えた佐倉さんにグッと来る。
【ゲスト(4月号)→隔月新連載(6月号)】水谷フーカ「うのはな3姉妹」
豆腐屋一家4コマがホームでも連載開始。三姉妹のキャラ見せがうまいなあと思う作品。梅乃姉の無敵さと桃子姉の怠惰が、桜の純粋素朴さと対になって対比されて描かれるものだから、それぞれのキャラがよく映える。特に桜はその純粋素朴さで以って南田くんを(そうとは知らずに)たぶらかし続けて欲しいと思った。
【ゲスト(4月号・5月号・7月号)】火ノ鹿たもん「こむぎみっくす」
飲んで帰った旦那さんを迎えるツンデレ奥さんごっこや、酔ったフリして想い人(=男保育士のよっしー先生)に迫るごっこに勤しむこむぎがおしゃまで可愛い。女としてガチで向き合う母と「高校生までオフロを一緒に入りたい」父がこむぎの子供さを感じさせるものだから、ちょっとした背伸びでもとても生き生き見えてくる。
【ゲスト(6月号)】高野うい「はっちぽっち」
犬好きの新人ペットシッター・ポチ子さんと愛犬・ハチの日常。ポチ子の時々鼻血な犬デレっぷりと店長の秘めたるハチデレっぷりに和む。作者の4コマ作品も増えてきたことだし、そろそろ共通点を見出していきたいところ。不思議と「キャラをひとりずつ見せる」印象があるのだけれども。
【ゲスト(6月号・7月号)】しんやそうきち「あなたなんか大嫌い」
女子高に通うももとちきりは幼なじみ、だけどちきりは男の娘。うっとうしい、男だとバラすぞ、という意識のももと、それを意に介さずももをいじり、しかもその見た目の可愛さで女子たちに人気なちきり。そんなちきりに、ももはムカついたり、でも不意の優しさに照れてしまったり。二人の歪な関係はもちろん、ももの歪な感情も見せてくれるなあ。楽しみ。8月号もゲスト。

神堂、永緒、高野、しんやと並んでいると、ついぱれっとを意識する。ファミリー4コマ誌と萌え系4コマ誌の「壁」を考えた場合、最近のホームやくらぶを見る限り、きらら系よりもぱれっと系の方が低いよなあと思うことはある。

8月号から山名沢湖「恋に鳴る」が隔月連載再開。久しぶりの作者商業誌連載にワクワクですよ。

よつぎりポテト内を検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。