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怖がりと怖いもの知らず・極端なキャラによるドタバタなコメディ - 吉村佳『どろんきゅー(1)』

吉村佳『どろんきゅー(1)』

果歩は怖がりなのにオバケに好かれてしまう霊感少女。友人のアキは果歩の怖がっている姿を見るのが大好き。そんな二人のドタバタコメディ4コマ。芳文社『まんがタイムスペシャル』連載。

二人の掛け合いの面白さとオバケのおどろおどろしさが光る作品である。写真には写り込まれ、トイレや寝室は覗かれ、通学路では追いかけられ、街ではナンパされる。年がら年中・四六時中、オバケにつきまとわれて涙目になってしまう果歩の姿が哀しくも可笑しい。怖がる果歩をケータイのカメラに収めつつ、彼女にあえてオバケの存在を知らしめてさらに怖がらせるアキも笑いを誘う。二人の日常を彩る(?)オバケたちは赤黒い血にまみれてリアルに描かれており、二人を描く可愛い絵柄とのコントラストが映えている。

そんな二人の掛け合いの面白さを支えているのは、言わば二人のパワーバランスである。二人の関係はともすれば、怖がらせるアキが怖がる果歩を追い詰めるような歪なものに陥ってしまいそうに見えがちである。そこを、作者は二人を穏やかに調停するのではなく、むしろ二人のキャラを徹底的に振り切ることによって、その関係のバランスを絶妙に保っている。すなわち、果歩をとにかく怖がりな天然霊感少女に、アキを何に対しても怖いもの知らずにすることによって、二人の関係性に嫌らしさを持ち込むことなく、可笑しさを巧みに見せているのである。

吉村佳『どろんきゅー(1)』 p.42 右3・4コマ目

(図:吉村佳『どろんきゅー(1)』 p.42 右3・4コマ目)

例えば、プリクラの一本(上図)を見てみよう。自身のプリクラに大勢の幽霊が映り込んだことを嘆く果歩と、その姿を笑顔でケータイに収めるアキ。ここには、アキのことを怒る余裕がないほどに怖がりな果歩のキャラと、その言動を軽いノリで楽しむサディスティックなアキのキャラがよくあらわれている。キャラを中途半端に――果歩がアキの言動に冷静に怒ったり、アキが果歩に救いの手を差し伸べたり――することは決してない。果歩はどこまでも幽霊を怖がり、アキは幽霊に対しても友人に対しても怖いもの知らずである。こうした徹底的なキャラ付けによって、作者は二人の関係がこのまま確固としてあり続ける安心感を読者に与え、同時に二人のキャラの差異によって可笑しさを生み出しているのである。

怖がりと怖いもの知らず・極端なキャラによるドタバタなコメディ。作者初単行本作品にして、キャラ付けのセンスがキラリと光っている。雑誌連載ではビジュアル面も日々進化しており、二人はよりコミカルに、オバケはよりおどろおどろしくなっている。キャラとビジュアルの両方を獲得しつつある作者がいかなる作品を生み出していくのか。引き続き注目していくべき作品、そして作者である。

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極道さと平凡さの対比、そして可笑しみと物語性の両立 ― 火ノ鹿たもん『花の任侠物語しずか(1)』

『花の任侠物語しずか(1)』

静花(しずか)は普通な生活に憧れる、極道の一人娘。家庭の事情で小中学校にはほとんど通えなかった彼女はついに高校に通えることになった。ただ、彼女が思い描く「普通な生活」はどこかズレていて――。芳文社『まんがタイムジャンボ』連載作品。作者・火ノ鹿たもんは今作が初の単行本作品となる。

この作品の面白さはまさにしずかにあろう。友達とやりたいことは花札、盃事、拳銃の見せっこ。交わす会話に時々にじみでるドスの効いた言い回し。自身を襲う野球ボールやチョークは弾丸のごとく避け、射的は百発百中、仮装での着物は完璧にに着こなす。思考、発言、行動のそれぞれにあらわれるしずかの極道の娘としてのキャラは、堅気の級友や教師からは特異なものとして受け止められる。しかし、しずか自身はそれが当然のこととして染みついているのだろう、他者から特異だと受け止められていることに気づかない。ここにおいて示される、極道の普通とカタギの普通の対比、そしてしずかの自己像と他者が捉えるしずかの像との対比が、しずかの学校での言動を面白可笑しく演出しているのである。

しずかは家庭の中でも異彩を放つ。コワモテの舎弟に指を差し出させてネイルアートをし、刺青には少女漫画風の落書きをし、盃や日本刀はビーズでデコる。加えて、組の親分でもあるしずかの父はとても親バカで、しずかの言動を全肯定する。そんなしずかと親分に舎弟たちは振り回されつつ、しかし親分のお嬢たるしずかを支え、見守り、また組の紅一点たる彼女にいい格好を見せようとする。極道に囲まれた中でしずかが普通の女の子のように振る舞うことによって極道と堅気の差異が示され、その差異が可笑しみを生んでいるのである。同時に、しずかの周囲の人々は彼女の振る舞いを肯定していると言える。

ここで強調したいのは、しずかの「私は普通の女の子だ」という自己像は高校でも家でもブレていないこと、それにもかかわらず差異による可笑しみが生まれている点である。これを色に例えれば、高校は青、家は赤、そしてしずか自身は紫といったところだろう。そして、しずかは高校の級友から見れば赤っぽく見え、家の舎弟から見れば青っぽく見え、しかし自身のことは常に紫だと思っている、と言えるだろう。すなわち、作者はしずかのキャラを状況に応じて変えるのではなく、高校および家庭という複数の状況を用意することによって、同じキャラからいくつもの可笑しみを引き出していると言える。

こうして、周囲から肯定され、そしてブレることのないしずかのキャラが礎となって、彼女の日常物語は可笑しくも安心した読後感となっている。初めてのハンバーガーショップに友達の家での勉強会、そして風邪なのに無理して登校した日。普通のお作法を知らず不安を感じるしずかは、しかしこうした出来事を通じて普通とはどのようなものであるかを獲得していく。その過程において、しずかの行動が咎められることはあれど、人格(=キャラの原義!)が否定されることは決してない。極道の娘と普通な生活に憧れる女の子。作者はしずかの持つ二つの対極的なキャラを、可笑しみと物語の両方から巧みに描いているのである。

極道さと平凡さの対比、そして可笑しみと物語性の両立。キャラが立っている4コマ、そしてストーリー4コマが市民権を得た昨今において、本作はそのお手本とでも言うべき丁寧な作品である。ぜひ、その巧みさ、そして面白さに触れてほしい。

おとなり感想

普通じゃないからこそ普通に憧れる。静花さんほど浮世離れした環境で育ってきていると、やはり一般的な学校生活とか家庭環境とかは相当珍しいようで、それが故の反応が色々と初々しくて微笑ましくも可愛らしく見えてきます。

極道の娘(おんな)は可憐にて候 『花の任侠物語しずか』 1巻 - 謎鳥

箱入り娘というジャンルはどうにも我々の心をかき乱す何かがあるようで、そういうキャラというのは枚挙に暇が無いレベルですが、それでも893の娘で箱入り、というのは中々類を見ない存在です。そのせいで一般生活でも893的勘違いをすると言う場面も多く、それを見るにつけこの子、ちゃんとやっていけるのだろうか。と思わされますが、周りの暖かい感じでなんとかやっていけているのが印象的です。

感想 火ノ鹿たもん 『花の任侠物語しずか』1巻 - オタわむれ-日々是寝言-

ヒューマンドラマとファミリードラマの融合――板倉梓『少女カフェ(1)』

板倉梓『少女カフェ(1)』

カフェ・サンフランシスコを切り盛りする、父・一郎と、5歳の双子の娘・つくしとみお。病気で亡くなった母・マチコの代わりにと、つくしとみおはカフェのウエイトレスを買って出る。父の心配をよそに、つくしとみおは「コワいくらい」にしっかり者。マチコの友人・葉月などの常連客に対して、頼りない父の代わりに積極的に営業、営業。そんなカフェでの日常を描いた4コマ漫画。芳文社『まんがタイムスペシャル』連載。本作は作者初単行本。

作者がグラフィックデザイナー出身であることを差っ引いても、これが作者初の単行本とは思えないほど、高いクオリティのファミリー4コマ。親バカな父と明るく・しっかり・おませな二人娘という家族を中心に、訪れる人々の悲喜こもごもをまじえ、カフェでの日々は和やかにテンポよく進んでいく。キャラたちの喜怒哀楽の表情もコミカル。特に、小さく可愛らしく、シンプルな描線で描かれるつくしとみおがキュートである。実にファミリー4コマらしいファミリー4コマと言えよう。

本作はそれでいて、ドラマ的な一面も持ち合わせている。妻を亡くした夫、母の代わりにならんと健気な二人娘、亡き彼女の友人にして常連客、そして想い出の地の名がついたカフェという舞台。作品の設定だけ取り出してみても、描かれる人間たちの生き様が否応なく想起される。その意味で、本作はファミリードラマとヒューマンドラマが融合した作品と言えるだろう。

元々、作者作品はヒューマンドラマ志向が強い。作者のそれは特に「断片的ヒューマンドラマ」とでも言うべきものだ。作者はある人間の連続的な「一連の人生」ではなく、断片的な「今現在を生きる姿」と「そこにつながる過去」を描く傾向がある。そして、過去が解消された現在の姿は「これからも生きていく予感」を感じさせてくれる。デビュー初期のショートストーリー作品「わすれもの」を見てみよう。古い絵本を大切にする、故郷に戻ってきた少女。絵本のタイトル「わすれものはなに?」、そして彼女の元に現れた青年に、彼女は苦い過去を思い出す。その過去は解消され、彼女は故郷に真に受け入れられる=幸せな未来を感じさせてくれる。16ページと短いながらも、この作品には少女の過去、現在、そして未来が詰まっている。

そんな作者がファミリー4コマを描いたらどうなったか。ヒューマンドラマをファミリードラマと見事に融合してみせたのだ! 作者はカフェの何気ない風景の中に時折、一郎や葉月の記憶の中にあるマチコの過去を織り交ぜる。マチコが確かに生きていたという過去は、今を生きる者たちの姿に接続され、その者たちがこれからも生きていく予感を感じさせてくれる。それがよく現れているのはサプライズ誕生日の話だろう。 カフェで彼女の誕生日にプロポーズを目論む男性客。彼はマチコがまだ生きていた時にもカフェに来ていた客であり、一郎の記憶のマチコは彼らカップルを「あたしたちに似ている」と言う。そして彼女を見た一郎が心に浮かべた「…ああホントだ」の言葉は、一郎がマチコと出会えたことの幸福さと、件のカップルもきっと幸せになるだろうという予感を同時に感じさせてくれるのだ。

このようにドラマ志向の強い作品を描く作者を、私は小笠原朋子の正当継承者に位置づけたい。小笠原はいわゆる「人並み」や「普通」とはちょっとズレたキャラやキャラ間の関係性を主軸にドラマを駆動する。代表作「ウワサのふたり」を見てみよう。主人公は売れっ子二枚目俳優の男とその隠し子の娘。母亡き「世界一不幸」な娘は、父との間柄を事務所やご近所の人々に後押しされながら、父と亡き母の想いを知り、最後は「世界一幸せ」な娘になる。設定といい展開といい、実にテレビドラマ的である。この点において、作者は小笠原に通じるものがある。しかし、小笠原がそのドラマにおいて重視していたのは、ヒューマンドラマ性というよりもむしろ男女間の関係である。すなわち、作者は小笠原と同じくドラマ性を志向しながら、小笠原とは異なるドラマを描いている。作者が本作を含めて、今後どんな新しいドラマを生み出していくのか、期待せざるを得ない。

ヒューマンドラマとファミリードラマが融合した、ハイクオリティなファミリー4コマ。作者はこの4月16日にも単行本『あかつきの教室(1)』が刊行される。「少女カフェ」が4コマ作品なのに対して、「あかつきの教室」はストーリー作品であり、作者の原点により近いヒューマンドラマが見られることは期待していいだろう。いずれにせよ、作者が描くドラマに、今後も注目して行きたい。

おとなり感想

この作品はホントにホンワカとしてますねー・・・ おませで小悪魔的なつくしに、天然だが毒があるみお・・・この二人がホントに面白可愛いw つくしは5歳とは思えない発言が多数あって、管理人は汗がダラダラと出ましたわ・・・将来大丈夫か・・・?と(;´∀`) 「ビジネスチャンス」とか「お触りはちょっと」とかちょwwwおまwwwwって感じw そしてみおは素直ないい子かと思いきや、発言に毒があったり、地雷があったりとかなり恐ろしい子ですねww

徒然なる一日 ~プチAA遊戯場~ 少女カフェ 第1巻

この漫画は、妻を亡くした夫と、母を亡くした子供たちと、そして友人を亡くした女性の物語でもあるのですね。明るく振る舞っている、そうした人たちの姿、その笑顔の向こうに悲しさが隠されてる。折りに思い出されるお母さんのこと、マチコさんの思い出、それはちょっぴり切なくて、けれどとても穏やかで、それが穏やかであるがゆえにたまらなかった。涙が次から次から溢れてきて、容易に読み通せなかった。途中、休み休み読み進めて、ああ、この人たちは、大きなものを失って、大切な人とお別れして、そうした欠けてしまったものを埋めあわせんとして、ひとつ場所に寄り添うようにしているのかも知れないな。

こととねお試しBlog: 少女カフェ

絵日記に店の売り上げ目標を書くほどおしゃまで(?)甲斐甲斐しいみおが回し、純真でちょっぴり(?)ドジなつくしが"きょとん"とした目で回され、まっとうな人柄だけれどもそんな娘たちが目に入れても痛くない一郎。つつがなくのびやかに展回してく4コマは、屈託を感じさせない彼女たちの愛らしさと、不意にじんわりきてしまう大人たちの泣き笑いとがブレンドされて、もどかしいほどにやさしい。

森の路はずれ - 「少女カフェ」(1) 板倉梓

田川ちょこ『ひかるファンファーレ(1)』/まんがタイムコミックス/芳文社

田川ちょこ『ひかるファンファーレ(1)』

芳文社『まんがタイムジャンボ』連載。トランペットにあこがれて吹奏楽部に入った小さい女の子・ひかる。しかし彼女に与えられた楽器は最重量級の金管楽器,チューバだった――。

大きくて目立つけど知名度は低い。演奏時は女の子なのに大股開き。重くて運ぶのも大変。音は重く低く,吹奏楽の花形たり得ない。そんなチューバゆえのひかるの苦労と哀愁が,この作品の楽しさの源である。一例として,チューバの音と姿に向けられた言葉をいくつか集めれば「改造バイク」「除夜の鐘」「魔王」「バズーカ」などという有様。その言葉を受けるひかるの表情と言ったら,不憫で滑稽なことこの上ない。

一方,この作品では,ひかるの音楽への真摯さと喜びも描かれている。友達の部員の幾人かがオシャレや見た目に走る中,ひかるは楽器拭きのハンカチは楽器を傷つけないようにという思いで選び,演奏会ではちゃんと音楽で目立とうと意気込む。なんと真面目な姿だろうか。

そしてこの真摯な姿は,ひかるの音楽への喜びにつながっている。幼い子供たちが吹奏楽,そしてチューバへ向ける憧れのまなざし。彼女に向ける「カッコイイ」「吹奏楽やってみたい」の言葉。これでご機嫌になる彼女は現金と言えるかもしれないが,それも彼女の苦労,そして真摯さゆえと思うと,その喜びは自然に響いてくるのだ。

それぞれに少しずつ異なったスタンスの吹奏楽部員たちとの語らいは,日常シーンを楽しく演出してくれる。真紀はひかると対照的なイマドキな性格と態度でひかるを茶化し,場をにぎやかにする。努力家の黒田くんは,ひかるが目標とする姿,そして憧れの対象として,要所でひかるの真摯さを引き出している。ブリっ子腹黒の結衣は,読者からは表裏が見えてしまって嫌に見えてしまうキャラではあろうが,表裏こそ彼女の〈理〉であると気づかせてくれる「その一言」は強烈はインパクトでもって読み手に受け止められよう。

絵にも言及すべきだろう。くっきりはっきりなキャラの喜怒哀楽は軽快なストーリーの源でもある。特に女子キャラは,くりっとした瞳とピンクほっぺが,低めな等身と相まって実にキュートである。背景に目を向ければ,花・星・ハート・音符や太&短な効果線が,コマ内を楽しく,そして生き生きと演出する。私の好きな言葉を使うならば,実に〈かしましく〉にぎやかで,女の子らしい元気さにあふれている。

最近の4コマ誌では「音楽を題材にした4コマ漫画」が目立ち始めている。その中で「ひかる~」の特徴を一言でまとめるならば「吹奏楽部,そして音楽の楽しさを混じりっけなくストレートに伝えている」ことだろう。演奏会という目標に向かって,時にふざけあい,時に真面目に,部員同士で語り・励まし・協力する様そのもの。そしてその到達点としての演奏会での達成感。両者を自然に接続し,そして楽しく演出するセンス――あとがきにもある通り,それはチューバ経験に裏打ちされたものであろう――が,今作が作者の初単行本ということも忘れさせる力強さでもって伝わってくる。今後の活躍も非常に楽しみな作品,そして作者である。

おまけ

[2009年3月7日] 田川ちょこ『ひかるファンファーレ(1)』3冊

特典が付くとらのあなで3冊。NFK(日本複数買い協会)会員は息を吸うように複数買いをするのです。

おとなり感想

『ひかるファンファーレ』は、吹奏楽の世界に夢をともに飛び込んできた女の子が、一度は夢を壊されながらも、配属された楽器を相棒として新たに夢を育んでいくという、実に吹奏楽部的な面白さを描いている漫画であると思います。それはまさにスクールバンドの典型であって、それはすなわちスクールバンドの青春そのものといっても過言ではありません。

こととねお試しBlog: ひかるファンファーレ

そんな彼女の頑張りや楽器への愛情が、僕にとっては馴染みの無いはずのチューバを、何となく身近なものであるかのように感じさせてくれます。読み進める内に、触れた事も無い無機質な巨大金管に愛着すら湧いてきちゃったのは不思議。

漫画メモとか。 ひかるファンファーレ(1)/田川ちょこ

後半はチューバのネタも尽きてきたのか今度は演奏そのものに話題が移る。基本的に完全なギャグ指向には持っていかず、話の流れからの自然なギャグを織り込むので好感度が高い。

起承転々 【単行本】まとめて3冊【冬コミ終了】

キャラ重視になりがちな4コマですが、こちらは題材を上手く使っている模様。特にチューバネタは、意外と言っては失礼ですが結構笑えます。個人的には部長の登場回数が増えてくれないものかな、と。黒髪キャラが足りんのですよ。

オトコでも読める少女マンガ *新作レビュー* 田川ちょこ「ひかるファンファーレ」

吹奏楽部の知識が無い人でも楽しめるように、非常に丁寧に楽器などの説明がありつつも、 キャラクターを上手く掘り下げているので、非常に読みやすく、面白い作品に仕上がっています(^^ゞ。

『ひかるファンファーレ 1巻』の感想|まんが栄養素

佐野妙『Smileすいーつ(1)』/まんがタイムコミックス/芳文社

佐野妙『Smileすいーつ(1)』

今年の4コマ単行本第1巻で最もオススメしたい1冊。

芳文社『まんがタイム』『まんがタイムファミリー』連載。二人暮らしの姉妹,色っぽくてオヤジキャラなOLの姉・塔子と,キュートで世話焼きな女子高生の妹・果歩の日常。作者初単行本。

今作は実にファミリー4コマ的である。日常・キャラ・笑いの三点が揃っており,情報量も抑えられていて分かりやすくて読みやすい。

甘い姉妹模様がゆるやかに,そして徹底して描かれる。中でもスキンシップは特筆。手握り・抱きつき・添い寝・背中合わせ,そのいずれもがふんわりと柔らかく,そして微笑ましい。これは太く丸い線の力によるところが大きい。線が細い単行本前半に比べて,線が太い後半の方が,より柔らかい印象を受けるだろう。

ゆるやかな日常描写を支えるのはコミカルな手法。コマの情報量は抑えられており,キャラと日常風景が分かりやすく頭に入ってくる。一方で,見せ場ではネガポジ反転と点トーンを使い,ゆるやかに流れる日常を一瞬だけ止めてアクセントをつけている。

さて,ここからが本題。この作品は姉妹だけ見ている分には幸せだろう。しかしここに男性キャラが入ると,幸せな世界は遠くなる。控え目に言っても,作者は姉妹の世界が遠ざかるような読みへと読者を誘導している,と言うことはできる。

塔子の後輩・中津くんは塔子さんの近くでもんやりしてるのに,塔子さんは彼の気持ちに気づかない。中津くんが缶ジュースの間接キスにドキドキする一方で,塔子さんは「デリケートな事じゃな」いように他のOLにも缶ジュースを手渡す。雨の日に塔子さんと相愛傘で帰れると思ったら,塔子さんは彼女を迎えに来た果歩と相愛傘を始めてしまい,中津くんは一人傘。

果歩はぽっちゃりな彼氏・飯田くんとラブラブだが,飯田くんからは「男」がごっそり抜け落ちている。常にたれ目でにこやかな,そして甘いもの好きな飯田くんは,果歩にお腹をむにむにされて悶絶し,甘い香りを嗅がれて赤面する。この二人だけ見ていると,飯田くんの方が女の子のようだ。

上記ふたつの場合は「女々しい男たち」と言えば済む話かもしれない。読者が感情移入先をコントロールできれば「幸せな日常」を確保できる可能性が残されている。

しかし,中津くんが姉妹の家にカニ鍋をおよばれに来る話ではそうはいかない。この話では,作者が読者を中津くんに移入させようとしていることが,キャラ関係の描写のみならず視点の置き方からも強くうかがえる。

佐野妙『Smileすいーつ(1)』 p.109 2本目 1・2コマ目

果歩が中津くんを「あ 中津さん いらっしゃい」と迎えるコマに写っているのは果歩であり,この時点で読者に「私は中津さんだ」ということを意識させている。

佐野妙『Smileすいーつ(1)』p.110 2本目

その後に来る食事シーンはもっと露骨だ。食事を勧める果歩と塔子が単独で写る二コマの後に,中津くんが写る「ああ…いいなぁ」という三コマ目がやってくる。しかし四コマ目で,姉妹が視線を向けていたのは中津くんではないと知らされる! その一方で,姉妹視点から中津くんを見たコマは,この話には一切用意されていないのだ!

女性キャラの世界の外にいる,傍観者としての男性キャラ。実は,これは今作に限ったことではない。作者の別の連載作「森田さんは無口」でも,主人公の無口女子高生・森田さんの近くに男子は誰もいない。いるのは,森田さんとその周囲のかしましい女子たちを傍から眺め,「俺 生まれ変わるなら女子がいい」とつぶやく男子だけである。

こうしたキャラ描写を鑑みるに,同じく最近の姉妹もの作品であるが男性キャラの使いどころが異なる東屋めめ「L16」とは性質が異なる作品であると言える。むしろ東屋氏は「すいーとるーむ?」や「ご契約ください!」の方が,強い女性キャラ・弱い男性キャラという関係性を押し出しているという点で,今作に近い印象を持った。

「Smileすいーつ」,そして佐野氏は,男女キャラの描写と傍観者移入への誘導が面白い作品であり作者である。シンプルな日常描写の裏にあるその技は注目に値するだろう。来月には2冊目の単行本『森田さんは無口(1)』も発売される。佐野氏には今後も注目していきたい。

おまけ その1

作者サイトお仕事ページには単行本購入者へのお礼ページが用意されています。問題のヒントは単行本にあります。

おまけ その2

[2008年11月8日] 佐野妙『Smileすいーつ(1)』2冊

ペーパー特典がついてくるとらのあなゲーマーズで複数買いしてきました。

おとなり感想

男性キャラやキャラ関係に触れている感想を。

この漫画は自分をどの位置に置いて読むか、その位置取りを工夫することで、様々に楽しめると思うんですね。積極的にはまり込んで、誰かのポジションに収まってしまう、あるいは傍観者に徹するなど、距離感の違い、関係性の違いから生まれてくる感情の濃淡、グラデーションが面白みを増さしめます。

こととねお試しBlog: Smileすいーつ

塔子と中津君はそういった甘い関係には至っていませんが、そのうち発展したりしないかなーと期待。中津君は、基本的には頼りなく、人畜無害なキャラなんですが、やや勝気っぽい塔子には合ってると思うんですよね。

Smileすいーつ(1)/佐野妙 - 漫画メモとか。

確かにオビのアオリ文や漫画の通りの内容だし、内容的にも姉妹ラブラブで悪くないのだがこの漫画は「妹に彼氏がいる」(しかも結構出てくるしウザイ)という致命的な欠点があり全てを台無しにしてしまっている。

廃刊ダメゲーマー - 11月11日のニュース

オザキミカ『だてまき。(1)』/まんがタイムコミックス/芳文社

オザキミカ『だてまき。(1)』

まき「ごちそう様でした」

店員「あらー 残さず食べてエライね~」

まき(また子供扱いされた トホホ…)

マサムネ「さっきの店員さー ちょっとわかってないよね」

まき(マーくん… 怒ってくれるの? いい人…)

マサムネ「まきちゃんがごはんを残すはずないのに」

オザキミカ『だてまき。(1)』 p.16 「残さずこぼさず」

タイトルに偽り無し。何気ない日常を描くことを通じて「だてまき」そのものを描いた作品と言っていいだろう。

オザキミカ「だてまき。」は,芳文社『まんがタイムスペシャル』連載の4コマ漫画。身長差40cmの夫婦,伊達マサムネくんとまきちゃん。まきちゃんは子供と間違われるくらいに体は小さいけど,食べる量は一人前以上のハラペコさん。こんなまきちゃんにマサムネくんは感心したり呆れたり? そんな二人の日常を描いた作品。今作は著者初の連載作にして初の単行本でもある。

のほほんとした日常系の作品。まきちゃんがそのちびっ子&ハラペコキャラでもって,ある時は小学生と間違われたり,またある時はマサムネくんのおやつまで食べてしまったりと,奇をてらわないストレートな言動でもって楽しませてくれる。インパクトはないが変に凝ったところも無く,安心して読める作品である。

私が今作から連想する作品は,たかの宗美「有閑みわさん」だ。両作品とも奥さんのキャラ性――ハラペコ主婦とスーパー主婦という違いはあるが――で,そして,そのキャラ性を見せてくれる作品だからだ。この意味で両作品のタイトルに偽りは無い。何気ない日常を描くことを通じて「だてまき」を「みわさん」を描いた作品と言える。

今作について言えば,「有閑みわさん」よりもはるかに登場キャラが少なく,そこから生み出されるマサムネくん・まきちゃん空間の安心感が心地いい。その安心感がまきちゃんネタの安心感を生み出し,それが二人の空間に還元される,というサイクルを生み出しているようにさえ思う。私はこんな二人を読めば読むほど,彼女らの空間にはまっていってしまう。

ドラマを見せる前に,日常を,そしてキャラを見せる。それがファミリー4コマの原点であり,直接的な読みの心地よさの源泉であるように思う。ストーリー4コマに感動する私たちが忘れていた価値がこの作品にはある。私にはそう思えてならない。

おとなり感想

身長差カップル、というのが大きな特徴で、強烈なオチはないが無理な設定は少なく安定安心して読める日常系。のほほんと4コマを読みたい方にぴったり。順調に連載は続いているので2巻以降も順調に出ると嬉しい作品です。

dominoの編集後記 - 『だてまき。(1)』(オザキミカ/芳文社/ISBN:9784832265622)

それは、『だてまき。』という漫画の世界が、このふたりだけで充分に満足させられているからかな、なんて思うのですが、そうなんですよね、読んでいる私にしても、このふたりだけで充分すぎるくらいに満足しています。

こととねお試しBlog: だてまき。

だてまき。はねー、なんでハマッちゃったのか自分でもよくわかんないけど、たぶん、まきちゃんのことがすっごく好きなんだと思う(告白)。彼女の一挙一動にすごく楽しませてもらってます。

under construction... 奥様は大食い

身長差ネタと、ヒロインの大食らいネタが殆どを占める。それでも、季節感のある話題が多いので、ワンパターンな感じはせず案外飽きはしない。

マンガ一巻読破 | オザキミカ/だてまき。

久保田順子『おこしやす(1)』/まんがタイムコミックス/芳文社

久保田順子『おこしやす(1)』

銀二「どこ行くの?」

ゆいな「フリーマーケット行くねん」

銀二「俺も行きたい!」

ゆいな「えーよ」

銀二「――って お寺?」

京都のお寺や神社は時々フリーマーケットが開かれています

銀二「公園みたいな扱いだね」

久保田順子『おこしやす(1)』 p.103

京都出身の作者による,現代の大和撫子4コマ,兼,京都観光案内書。

久保田順子「おこしやす」は,芳文社『まんがタイムファミリー』連載の4コマ漫画。京都の大学に通う3人組,呉服屋のお嬢様で大和撫子・ゆいな,ゆいなと反対の現代っ娘・あこ,下宿生で京都初心者の男の子・銀二の日常を描いた作品。

ありそうでなかった大和撫子4コマ。着物を着こなし,京都弁を喋るゆいなちゃんの姿は古風で奥ゆかしい。かと思いきや,時たま見せる普通の女の子っぽさが若々しさを感じさせてくれ,また,大和撫子のイメージとのギャップでもっておかしみを与えてくれる。見知らぬ文化に触れてとまどう銀二くんの姿も,自分も身に覚えがあるものもあって共感できた。

作中には京都の風俗や習慣が数多く登場する。また,単行本には作者の京都名所エッセイ漫画「京都見て歩記」も収録されている。その点で,この単行本は京都観光案内書でもある。単行本を片手に,3人組が触れた文化を体験し,作者が訪れた地を巡ってみるのもいいかもしれない。

野広実由『パティシエール!(1)』/まんがタイムコミックス/芳文社

野広実由『パティシエール!(1)』

お菓子作りは手順が大事

同級生「頭がこんがらがっちゃう~」

まさこ「慣れないとむずかしいわよねえ 実践しよっか」

同級生「? トイレ?」

まさこ「マスカラをかわかす間にチークをつける!」

同級生(メイクと一緒にしていいのかな~)

野広実由『パティシエール!(1)』 p.8 「手順」

お菓子作りに前向きなキャラたちに好感。安定した面白さ。

野広実由「パティシエール!」は,芳文社『まんがタイムジャンボ』および『まんがタイムファミリー』連載の4コマ漫画。女,森山まさこ,25歳。パティシエールの夢を目指して,大学卒業後に製菓学校に入学した彼女。周囲の若い子たちにアネキと慕われつつ,今日も夢に向けて努力します! という感じの話。

明るく楽しく,そして前向きにお菓子作りに励むキャラたちが好感。学校を離れてもお菓子が頭から離れない姿もらしい。まさこは時にアネキと慕われたり,時に若々しい女の子達の肌が気になったり,時にオバサンくさくなったり,バーゲンセールが好きだったりと,その年齢がネタになることがしばしば。その辺りも含めて安定した面白さ。

野広氏の現在の4コマ誌での連載作品は本作のみ。そろそろ別作品が読んでみたいところ。

カバー裏にはおまけあり。

重野なおき『たびびと』3巻

重野なおき『たびびと』3巻

巴「『末永く』と言っていたが まさか…」

三郎太「うん そう 夫婦なんだ オレ達」

重野なおき『たびびと』3巻 p.112「旅立つ前から」

三郎太とみちるの関係が明らかに。

重野なおき「たびびと」は,芳文社『まんがタイム』にて連載中の4コマ漫画。世界中を旅する二人組,三郎太とみちる。彼らの目的はみつるの生まれ故郷を探すことだった。砂漠,山,大海原を越えて,彼らの旅は続く……,というストーリー。

3巻では,2巻の最後ではぐれてしまった三郎太とみちるの出会いに始まり,旅商人のロイ,風来人の巴が旅仲間に加わる。お金にはがめついけど便利な道具を持っているロイ,凄腕の剣術を持ってるのに眼鏡をはずすとめっぽう弱くなる巴が,二人の旅をダイナミックにかき回す。この作品は,新キャラが登場する度,彼らの活躍ぶりが楽しみでしょうがないけど,今回の単行本もそれを裏切らない内容。

そして3巻の最後では,三郎太とみちるの関係が明らかになる。雑誌の連載では『まんがタイム』2006年10月号に相当。この雑誌の発売の数日後,竹書房の育児実話誌『すくすくパラダイス』Vol.1で,重野氏は藤島じゅん氏との結婚を発表している。この辺,三郎太のセリフには,実は裏の意味があったのかな,と思わずにいられない。

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ひ弱な男「あー きょうも疲れた―― カップ麺でも食べよ――…」

天子「ハロー 私はインスタント食品の精 天子 あなたの願いをなんでもひとつ叶えてあげます」

ひ弱な男「本当!? じゃあひ弱な僕を健康優良児にして!!」

天子「食生活みなおせ!!」 (ひ弱な男にビンタ)

ひ弱な男「ぐふっ その通りですね ごめんなさっ」

(安堂友子「天子様が来る!」1巻 p.3 「天子様の指導」より)

芳文社『まんがタイム』にて連載中の4コマ漫画。天子はインスタントエンジェルの精。カップ麺を食べる人のところに気まぐれに現れては,その人の願いを叶えたり,時には叶えなかったり,願いが叶えられたとしてもその人が迷惑に巻き込まれたり……,という感じの話。

自分のせいで登場人物が厄介ごとに巻き込まれていくのを尻目にしらっとしている天子様や,変な形で願いが叶えられて悶えたりズッコケたりする登場人物たちが面白い。そのネタの豊富さにも驚き。「天子様,何で真面目に願いを叶えてあげないの?」などという無粋なことは言うことなかれ。厚かましいけどどこか一本筋が通ったところが,天子様の最大の魅力なのだから。

今回「天子様」が単行本化されたことで,安堂氏の他の作品についても単行本化を期待してしまう。以前連載していたという作品「青春☆白球会」は,自分は読んだことがないだけに是非単行本化されて欲しいところ。

また,安堂氏は芳文社『まんがタイムオリジナル』でも,女性占い師4コマ「開運貴婦人マダム・パープル」を連載中。こちらも「天子様」と似たノリで面白い。

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