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4コマオブザイヤー2012投票(にかこつけて今年出会った4コマ作品を幅広く振り返る)

レギュレーション(主催サイトより引用)

【新刊部門】

2011年12月1日以降から2012年11月30日までに発売された"1巻の"4コマ漫画単行本から5作品

【既刊部門】

2011年12月1日以降から2012年11月30日までに発売された"2巻以降"の4コマ漫画単行本から3作品

「世界よ、これが4コマだ。」4コマ総決算『4コマオブザイヤー2012』開催のお知らせ - 素晴らしい日々

新刊部門

はりかも『夜森の国のソラニ(1)』(感想記事
心に傷を負った者が迷い込む夜の国・夜森に記憶を無くして迷い込んだ少女・ソラニ。無くした記憶を探す彼女の長い夜が始まる――。神秘的な世界観と登場人物の仄暗さを描く、コマぶち抜きと視線誘導の技法が絶妙。イラスト性と漫画性を高度に融合させた漫画表現に4コマの新時代を見る。
来瀬ナオ『半透明勤務薄井さん(1)』
新社会人の麻生さんが務めるオフィスでは、幽霊で身体が透けている薄井さんが働いている――。麻生さんと薄井さんの仲良き掛け合いが楽しく、非現実的存在たる薄井さんを自然に受け入れる周囲の温かい人々に心和む。いつまでも続くかのような安定した関係性と日常に深い安心感を覚える。
佐野妙『しましま日誌(1)』
離島の高校に採用された新人女性教師。生徒たちと早く馴染みたいが、女子生徒間の冷たい争いになかなか踏み込めず――。ドラマ的なストーリーによる作品の快楽性は『森田さん』のそれと対極にありながら、どちらも女子コミュニティを描いている点が興味深い。作者作品の本質が垣間見える一作。
湖西晶『うしのこくまいる!(1)』
ワラ人形に釘を打つ霊能力者の前に現れたワラ人形の女神。その体に釘を突き刺すと人を呪えるが――。記号的なエロスとミステリアスなファンタジーの合わせ技による読後感が可笑しくも妖しい。『きらら』と『ぱれっと』のそれぞれにおける作者の存在感が合流した集大成的な作品である。
あづま笙子『かてきょん(1)』
おバカな女子高生・らいらの新しい家庭教師は天才小学生のカムイくん。年上の余裕を見せるけど勉強は大の苦手ならいらと、先生として真面目に振舞うけどシャイさゆえにらいらに振り回されるカムイの凸凹な関係が可笑しい。師弟以上恋人未満なエピソードの数々も優しく胸を締め付ける。

既刊部門

荒井チェリー『ワンダフルデイズ(6)』、みなづき忍『ひみつの花園(2)』、カワハラ恋『東京!(2)』。いずれも最終巻。『東京!』は結果的に最終巻になってしまって残念……。同人誌でまとめられるのを待ちたい。

【番外編その1】再録4コマ同人誌部門

ここからは番外編。まずは、印象深い再録4コマ同人誌をピックアップ。COMITIA頒布作品のいくつかは投稿したPush&Reviewへのリンクを。

吉谷やしよ『ゆたんぽのとなり 左』《ヨッシー工房(新)》
芳文社『まんがタイムスペシャル』連載の表題作を収録。昨年12月の冬コミにて頒布。「となり」だから「左」。作者らしからぬほのぼのさと作者らしい破天荒さの同居はファミリー誌連載作品ゆえか。『右』は今年の冬コミにて頒布予定。最近の作者は講談社『月刊少年マガジン』にて歴女4コマ『レッケン!』を連載中。
かたぎりあつこ『ハッピーカムカム 完全版(1)』『~完全版(2)』
芳文社『まんがタイムジャンボ』連載の表題作を収録。『完全版(1)』は5月のCOMITIA100にて、『完全版(2)』は11月のCOMITIA102にて頒布。2009年8月の商業1巻発売とほぼ同時期に連載が最終回となり、その後しばらくして商業2巻が発売されないことが決定し、同人誌化を今か今かと待ち続けてついに待望の頒布。唯我独尊的に女子女子しい女子の鏡的な女子たちの可笑しさよ。
櫻太助『いれいざといっしょ。ぷらす!』《餅助》(Push&Review
芳文社『まんがタイムきらら』掲載の文房具擬人化4コマ『いれいざといっしょ。』などを収録。5月のCOMITIA100にて頒布。きらら掲載が2006年なので実に6年越しの刊行。小学生の授業をネタにした消しゴムさんやシャー芯さんらの擬人化描写が面白可笑しい。
逸架ぱずる『おなじ穴のムジナ・上巻』《ぱずる座》
双葉社『メンズヤング』連載の表題作を収録。8月の夏コミにて頒布。女子高生とマスコットキャラ的なタヌキが繰り広げる児戯的な日常が面白可笑しい。作者は4コマ作品に関しては不遇続きだったけど『こーしょー19さい』でようやく報われたように思う。『下巻』は冬コミにて頒布予定……か?
みなづき忍『太陽くんの受難』《Random 6》(Push&Review
芳文社『まんがタイムジャンボ』連載の表題作を収録。11月のCOMITIA102にて頒布。苦労人な主人公・太陽くんと周囲の自由奔放な女性陣の掛け合いが可笑しく、牧歌的な職場風景にほのぼのとする。最近の作者はG-modeのウェブコミックサイト『COMICメテオ』にて女子高生百合ショート『生徒会のヒメゴト』を連載中。
310『がんばれ!生徒会長さん』《ROOM#310》(Push&Review
芳文社『まんがタイムオリジナル』掲載の表題作を収録。11月のCOMITIA102にて頒布。無防備な生徒会長の愛され感に乙女ゲーム的想像力を見る。現在の作者は芳文社『まんがタイムファミリー』にて『2倍まもります!』がゲスト掲載中。この繊細な感性は評価されてほしい。

【番外編その2】創作4コマ同人誌部門

続いて、印象深い創作4コマ同人誌をピックアップ。

ランドルトたまき『記号のペシミズム』《ルート十二面体》
数学記号、幾何図形、英数字、約物など、様々な記号による4コマ漫画。記号の図像性と意味性が記号の自分語りによって融和し、また、その多義性と差異性が4コマと言う定型反復様式によって暴かれる様には感嘆の一言。高度に言葉遊び的であると同時に批評的でもある。
丼『どうにもこうにも』シリーズ《お天気お兄さん》
アホ、普通、オタクな三バカ男子校生の4コマ。三人がワイワイする様が賑やかで楽しく、端整な描線と相まって青春模様が爽やか。最新巻の5巻は体育祭編。晴れ舞台にはしゃぐ者、テンパる者、倒れる者と、クラス一丸でおバカに進む体育祭の模様が面白可笑しく、また、クラスメイトのミスを責めない空気が温かい。仲の良さに支えられた日常が優しい。

【番外編その3】今年覚えておくべき作品

最後に、単行本化されているか否かに関係なく、今年これだけは覚えておくべき(まさに of the year な)作品として、4224『グレーゾーン』を挙げておきたい(芳文社『まんがタイムきららMAX』2012年8月号掲載・下図は96ページより)。4コマの枠が無いにも関わらず「4コマ漫画として読める」今作は、それが4コマ作品に掲載されていたこと(=4コマとして読まれ得る文脈を有していたこと)、読者が4コマを読むリテラシを有していたこと(=「4コマ雑誌文化」が十分に醸成されていたこと)、そしてフキダシなどの配置により制御された視線流が一般的な4コマ漫画のジグザグな視線流と同じであったこと(=4コマ漫画として読める仕掛けが施されていたこと)、これらの条件の元に成立した壮大な実験作であり、4コマ表現の地平を切り開いた作品として記憶・記録されるべきだろう。

ここで挙げられなかった作品は――

『4コママンガのススメ2012年版』で書けたらいいな。

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2010年の4コマ単行本第1巻マイベスト10

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年に続き、年が明けてから一年を振り返る体たらくです……。単巻完結作品含む。刊行順。

琴久花央『ひよぴよえにっき。(1)』

琴久花央『ひよぴよえにっき。(1)』

芳文社『まんがタイムきららキャラット』連載作品。ちあきとはるは小学五年生と二歳の姉妹。自身もまだ幼いながら、忙しいお母さんの代わりに、ちあきははるのお世話をする、そんな二人の日常。仲良し姉妹が微笑ましく、また、言葉と言葉以外の両方で互いが互いの想いを伝えあう姿に、二人の成長を見守るような温かい気持ちになる作品。(詳しい感想

橘紫夕『ひよわーるど(1)』

橘紫夕『ひよわーるど(1)』

竹書房『まんがくらぶ』連載作品。虚弱で貧弱な守屋ひより。学校の階段は一気に登れず、体力測定はいつもリタイヤ、風が吹けば体を飛ばされ、ついたあだ名が「じゃっく(弱)」。守屋のありえないほどおマヌケな虚弱っぷり、そして心配したり振り回されたりする周囲の友人たちが面白可笑しい作品。シンプルな線も読みやすい。

内村かなめ『羽毛100%』

内村かなめ『羽毛100%』

イースト・プレス『あにスペ』連載終了作品。インコ好きの作者によるインコエッセイ漫画。見どころは作者自身。作中における、インコに魅了されている作者の言動、そしてインコの行動に人間のようなキャラ性を見出してしまう作者が可笑しく、また「プリミティブな欲望と女性性」を体現していて面白い。同人ではインコエッセイを継続中。(詳しい感想

2010年の作者については、『もっと!委員長(3)』の帯コメントも書かせていただき、大変お世話になりました。感謝いたします。

山口舞子『ふたりぽっぽ(1)』

山口舞子『ふたりぽっぽ(1)』

芳文社『まんがタイム』『まんがタイムオリジナル』連載作品。黒井こばとと白井くるりは家がお隣同士の幼なじみ(あるいは腐れ縁)。逃げる黒ぽっぽに追う白ぽっぽ、今日も仲良くケンカしな、的な二人の日常。キュートな絵でいて、くるりのこばとに対するウザさを軸にした二人のやりとりが面白く、二人の母には作者のファミリー性が確かにあらわれている。

楠美マユラ『お母さんは水の中』

楠美マユラ『お母さんは水の中』

イースト・プレス『あにスペ』連載終了作品。卵パックの卵から孵ったひよこ。最初に見たのは金魚鉢の中のきんぎょ。そんな奇妙な「親子」の日常。生物としては親子でないにも関わらず、まさに「親」と「子」な二匹、そしてそれゆえに生まれるドラマ。異端キャラの異端性そのものから見出されるドラマが見どころと言えよう。(詳しい感想

献本を頂きましたイースト・プレスの小林様に感謝いたします。

荒井チェリー『未確認で進行形(1)』

荒井チェリー『未確認で進行形(1)』

一迅社『まんが4コマKINGSぱれっと』連載作品。16歳の誕生日を迎えた小紅。祖父と母の計らいで突然、小紅は許嫁・白夜と一緒に暮らすことになる。そこに小姑たる白夜の妹・真白までやって来て。各キャラクターの過去をほのめかしながら綴られるストーリーに、今ある二人の関係に不安をかき立てられ、読ませる作品。荒井チェリー新境地。

来瀬ナオ『はるかぜ日和(1)』

来瀬ナオ『はるかぜ日和(1)』

竹書房『まんがライフWIN』連載作品。元気で無邪気な男子・村上太郎とクールでちょっと恥ずかしがり屋な女子・森下吏南はクラスメイトで恋人同士。恋人同士だけど温度差がある二人が楽しく、温度差がありながら二人の恋人関係が揺れることなく続いていく様に安心する作品。「幹みたいにずっと」ありつづける恋がここにある。(詳しい感想

作者は『まんがタイムジャンボ』に「半透明勤務 薄井さん」がゲスト掲載中。今年は新作に期待したい。

仙石寛子『三日月の蜜』

仙石寛子『三日月の蜜』

表題作は芳文社『まんがホーム』連載終了作品。好きな男性の好きな女性を取ってやれと、勢いで付き合えると言ってしまった女性。そこから始まる三人の揺れ動く想いを描く表題作、他、ホームなど掲載の読み切り十数編を収録。『背伸びして情熱』にはなかった、人間と人外の想い合いを描いた作品「キラキラ青虫」など、商業誌的に意欲的な作品が目を惹く一冊。

カワハラ恋『東京!(1)』

カワハラ恋『東京!(1)』

芳文社『まんがホーム』連載作品。中央線沿線三人娘、ロリータ原宿ツインズ、若年寄な巣鴨くん、イケメンな渋谷くん、オタクな秋葉原兄妹、元キャバ嬢の新宿先生と六本木先生など、東京の駅名を名前に持つ面々の日常。駅が個性を持つように、自らに由ったキャラをいかんなく発揮する面々が面白可笑しい作品。

作者の2010年単行本では、livedoorデイリー4コマにて連載されていた作品である『学園カラーズ』も面白かった。

葉月抹茶『君と紙ヒコーキと(1)』

葉月抹茶『君と紙ヒコーキと。(1)』

スクウェア・エニックス『ガンガンONLINE』連載作品。圭くんの幼なじみ・鈴は異様な紙ヒコーキ好き。何気ない言葉を紙ヒコーキに書いては飛ばして友人たちとやりとりをする。紙ヒコーキを「カジュアルなメッセージング」の隠喩とし、そのコミュニケーションと二者の距離感をせつな系ガンガン的なタッチと作法で描く作者の感性は特筆すべきだろう。

内村かなめ『もっと!委員長(3)』の帯コメントを書きました

内村かなめ『もっと!委員長(3)』献本

ドM風紀委員長・ちよにもライバルが出現し、風紀委員、生徒会、不良集団が入り乱れる中、欲求不満や妬きもちで悶々とする女子たちがたまらなくおかしく、そして可愛いのです。

内村かなめ『もっと!委員長(3)』帯コメント

3月20日発売の内村かなめ『もっと!委員長(3)』の帯コメントを書きました。連載誌『まんが4コマKINGSぱれっと』連載当初から好きで読み続けており,単行本1巻発売時には感想を書き,その後,作者および担当編集様との様々なご縁があって,今回の帯コメントに至った次第です。

当初はドMちよ・ドSえみの絡みが主だった今作も,登場人物が増えるに従って,女子たちが見せる妬きもちも目立ってきています。そんな彼女たちの人間味あるキャラクターにリアリティがあって魅力的なんですよねえ。今回の帯コメントは,今作のそういった魅力を伝えたくて書いたものです。

現在,作者は入院中とのことです。どうか皆様,作者の無事をお祈りください。そして作者の入院費の為にも,単行本を手に取って下さい……!! なお,とらのあなおよびWonderGOOでは購入特典が付くようです。

また,今回の単行本発売を記念して,以下に作者4コマ作品の紹介&解説的な記事を書きました。よろしければ合わせてどうぞ。

あと,作者がバナーキャンペーンを開催されているので,バナー貼っておきますね。

もっと!委員長 3月20日 3巻発売

プリミティブな欲望と女性性――内村かなめの4コマ作品を読み解く

内村かなめ『もっと!委員長(3)』

女性を描いた4コマ作品は数多く存在する。とりわけ,昨今のいわゆる萌え系4コマ漫画の隆盛により,少女を描いた作品が目立ってきている。ある作者は少女たちのゆるい日常を,またある作者は少女たちの少女性を,さらに別の作者は少女たちの賑やかな関係性を,それぞれ自らの作品で描いている。

内村かなめも,そういった漫画家の一人である。この作者の作品はメインヒロインがひとクセもふたクセもあることが特徴である。ドMな風紀委員長,血を吸われる思春期女子,中身はオカンなメイドロボ――。そして彼女たちの日常は,あけすけで,生々しくて,ともすれば下品とすら捉えられるかもしれない。しかし彼女たちの姿に目を凝らせば,実に人間味を帯びていて魅力的なのである。そしてその人間味は,あけすけで生々しい日常だからこそ,読者に強く伝わるのである。

本記事では作者の4コマ作品を「プリミティブな欲望」と「女性性」という二つの観点から読み解き,その女性キャラの魅力に迫る。取り上げる作品は「もっと!委員長」「限定彼女」「俺とメイドと時々オカン」である。

2009年の4コマ単行本第1巻マイベスト10

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

新年明けて既に2週間以上が経っているのに今更去年の話題って……と思われるかもしれないけれど,せめてこれくらいは振り返っておかないと締まりが悪いので。第1巻完結作品含む。刊行順。

田川ちょこ『ひかるファンファーレ(1)』

田川ちょこ『ひかるファンファーレ(1)』

芳文社『まんがタイムジャンボ』連載作品。トランペットに憧れて吹奏楽部に入った少女・ひかる。しかし彼女に与えられた楽器はチューバだった――。チューバの大きさに苦労するひかるの姿が可笑しく,しかし徐々にチューバ愛に目覚める姿が良心的。合宿やコンクールといった学生的要素も混ぜ,吹奏楽部の日常を楽しく見せてくれる。(詳しい感想

今年は単行本2巻の刊行に期待を寄せつつ,竹書房『まんがくらぶオリジナル』でのMなOLさん4コマ「ももかすいっち」にも期待。

大川マキナ『アリスのお茶会』

大川マキナ『アリスのお茶会』

スクウェア・エニックス『ガンガンWING』連載終了作品。茶道に憧れる留学生・アリスの茶道部での日常。柔らかな線で描かれるつぶらな瞳の笑顔にはそれだけで惹かれる。茶道に対しては良心的。部員たちは作法に戸惑うアリスにも優しく手ほどきをし,彼女の家族は茶道を通じて成長する彼女に気づく。この見守る姿勢が温かく,安心感のある作品。(詳しい感想

作者は芳文社『まんがタイムラブリー』2010年2月号に新作4コマ「ほよほよセキュリティー」が掲載。4コマ誌での完全復活が楽しみ。

仙石寛子『背伸びして情熱』

仙石寛子『背伸びして情熱』

芳文社『コミックエール!』『まんがホーム』に掲載されたオムニバス連載を収録。表題作「背伸びして情熱」は女性教師と男子生徒の恋模様。許されざる関係に揺れ動く二人の想いとその距離が,消え入りそうに細い線で切なく描かれる。その切なさは4コマというリズムに乗って増幅され,読者の心をかき乱す。2009年4コマ界最大の収穫。(詳しい感想

作者は『まんがホーム』でのオムニバス連載が3月号掲載の「三日月の蜜」から続き物になった。次の単行本の表題作はこれになるのか?

内村かなめ『俺とメイドと時々オカン』

内村かなめ『俺とメイドと時々オカン』

一迅社『Comic REX』連載終了作品。一人暮らしの少年・ゴンの元に母から届いたのは,母の現在の性格と若き日の顔がコピーされた母と同じ名前の世話焼きメイドロボ。可愛いけどオカン。息子の全てを知るオカン。彼女の外見と内面のギャップに悶え,オカンらしさにしてやられるゴンが可笑しい。隠していたエロ本を机の上に置かないでくれよオカン……。

2009年の作者単行本1巻では『限定彼女(1)』も面白かった。吸血シチュってエロいよね! ぱれっとのエロ表現の限界に挑め!

須田さぎり『乙女のしるし!』

須田さぎり『乙女のしるし!』

一迅社『まんが4コマKINGSぱれっとLite』連載終了作品。タロット占いにハマる甘梨。友達のモカモカとサティを巻き込んで「占いの会」を作りましたが――。思春期乙女のモカモカと誇大妄想系のサティが占いに対して見せる極端なスタンスが楽しく,三人のかしましき日常をにぎやかに演出する。甘梨の占いに対する現実的なスタンスも好感。

佐伯イチ『今日も待ちわびて(1)』

佐伯イチ『今日も待ちわびて(1)』

スクウェア・エニックス『ガンガンONLINE』連載。ガテン系貧乏少女・茉(18)に熱烈プロポーズを仕掛けるお坊ちゃん・森(10)。彼の母の圧力に屈した茉は森に嫁入り同居することになったが――。母→森→茉,その他想い想われのアンバランスさで見せる日常はドタバタで楽しい。状況に順応して森への想いを大きくしていく茉も魅力的。

橘紫夕『となりのなにげさん(1)』

橘紫夕『となりのなにげさん(1)』

芳文社『まんがホーム』連載。日常の「困った」に颯爽と現れては解決してくれる,彼女の名前はなにげさん。どこからともなく道具を取り出し,予想の斜め上を行く方法で助け,得意げに去っていく彼女の姿がシンプルな線と相まってくっきりと刻まれる。そして,彼女を取り巻く人々の群像劇は「頼りになるなにげさん」がいる日常を読者に強く印象づけてくれる。

今年は竹書房『まんがくらぶ』連載の虚弱少女4コマ「ひよわーるど」の単行本化にも期待。

荻野眞弓『白衣とリボン(1)』

荻野眞弓『白衣とリボン(1)』

芳文社『まんがライムラブリー』連載。白衣でメガネな理系男子・モリソバくんと,白衣フェチかつメガネフェチのロリータファッション・ゆりちゃんが,交差点でぶつかって恋に落ちて。愛にバイアスがあるにせよ,ゆりちゃんは理系男子の女神様。実験や論文といった理系の苦労を受け止めてくれる。そして「僕」だけのことを好きでいてくれる。これほどの安心感があろうか。

やまぶき綾『Sweet Home(1)』

やまぶき綾『Sweet Home(1)』

芳文社『まんがタイムきらら』連載。朝,目覚めた伊織君の目の前には,押しかけ許嫁な幼なじみの陽向さん。彼女の突然の来訪に困惑し,牽制をしかける伊織君の姉二人。そんな彼女たちに板挟みになる日常。これぞ男子の本懐。細く柔らかい線でふんわり描かれる女の子たち,そして彼女らによって演出されるラブ甘な日常に脳が焼けつく。(詳しい感想

櫻太助『毛玉日和(1)』

櫻太助『毛玉日和』

一迅社『まんが4コマKINGSぱれっと』連載。人間と人間の姿をした動物が一緒に暮らす世界での,三組の飼い主と飼われものの日常。可愛らしい服に身を包む飼われものたちがキュート。そして見た目こそ人間だが,彼女たちの仕草や飼い主との関係は確かに動物のそれであり,動物漫画のエッセンスが確かに存在する作品。(詳しい感想

あなたの手は きっと あったかい ―― 「ちょこっとヒメ」における擬人化と意思疎通

カザマアヤミ『ちょこっとヒメ(7)』

カザマアヤミ「ちょこっとヒメ」が完結し、単行本最終巻の7巻が先日刊行された。『ガンガンWING 4コマエディション』掲載時から追い続けてきた読者としては、作品が終わってしまったことをさみしく思いつつも、作品が無事に完結したことをとても嬉しく思う。振り返ると、ここまでハマった漫画作品は生まれて初めてだったように思う。雑誌連載はスクラップし、単行本は三冊買い(最終巻まで複数買いを継続)、その単行本には付箋をつけて何度も読み返したことを覚えている。

作品が完結したこともあり、「ちょこっとヒメ」がどんな作品だったのかということを書き残しておきたいと考え、この記事を起こした。記事のベースは今年7月に開催された同人誌即売会「よんこまスケッチ2」にて頒布した同人誌『四文甘書 第三号』の内容であり、そこに若干の加筆と修正を加えた。同人誌を買って下さった方々には申し訳なく思うが、こうしてウェブに広く公開することで多くの方々に読んでいただきたいという私の想いを理解していただければありがたく思う。

素晴らしい作品を描き続けてきた作者および、作者とともにこの作品を世に送り出した担当編集の方々への感謝を込めて――。

(以下、続きに本文)

4コマ漫画ナツ10 ~すいーとポテトが選ぶ10作品~

夏休みの宿題はいつも新学期直前に片付けてました(挨拶)。

というわけで言いだしっぺがやっと「4コマ漫画ナツ10」を書き終えました。概要は以下の通り。Webコミック1作品,4コマ誌連載6作品,同人発表3作品。

タイトル作者掲載媒体
ゆきばら来瀬ナオWebコミック連載(げっちゅブログ)
Sweet Homeやまぶき綾芳文社『まんがタイムきらら』連載
ひよぴよえにっき。琴久花央芳文社『まんがタイムきららキャラット』連載
魔法少女☆皇れおん(仮)桜みさき芳文社『まんがタイムきららMAX』連載
ちまさんちの小箱ふかさくえみ芳文社『まんがホーム』連載
ふぁみにゅ?夢枕人しょー芳文社『まんがホーム』連載
ひとみとコットンワカマツアツト芳文社『まんがタイムファミリー』連載
さんかくぱんち310Webコミック連載(作者サイト内)+サークル《ROOM#310》発行:2008年8月24日
Fleur和錆サークル《W.label》発行:2009年4月26日
うら★うらら板倉梓サークル《WATTS TOWER》発行:2009年5月5日

各作品の紹介はこの続きに。

終わるお茶会・新たなお茶会――あるいは私の好きな「浮遊感」と「かしましさ」

スクウェア・エニックス『ガンガンWING』2009年3月号 p.507

茶道部4コマ,大川マキナ「アリスのお茶会」が,1月末に発売された『ガンガンWING』3月号で連載終了となりました。昨年末発売の2月号の終わりに「次号、アリス最後のお茶会。」とあったので「まさか……!?」とは思っていましたが,実際に最終回を目の当たりにすると,やはり残念でなりません。

WING2008年3月号のゲスト掲載でデビュー。可愛らしい表情のキャラとやわらかい空気,そして茶道へのおおらかさに,私は衝撃を受けました(当時の記事)。その後,5月号のゲスト掲載を経て,10月号から連載化。「アリスも高校生になったから いよいよ茶道部に入ります!」と,カメセンセとともにアリスの茶道部活動が本格的に始まり,まだまだこれから活躍を見せてくれるはず……,と思っていたところにこの最終回。あまりに,あまりに早すぎる最後のお茶会となってしまいました。

連載を通じて,この作品はいわば「少女4コマ漫画」だと感じました。最近読んだ他の4コマ作品の中では,真城ひな「ややプリ」に近い印象です。主人公の女の子が,自身の夢見がちなキャラでもって,そして絵本に登場するようなマスコットキャラに囲まれながら,毎日を楽しく送る。おっとりなアリス,快活な弥々という性格の違いはあれど,それぞれにどこか幼なさを持った女の子が過ごす日常の落ち着かなさ=「浮遊感」が,これらの作品の魅力でしょう。そしてこの浮遊感が,私が「アリス~」に魅かれた理由でもあります。

私はここに感謝の言葉を書きとめておきたいと思います。それは,作者はもちろん,この作品に携わった全ての方々への感謝です。特に,この作品の魅力を見出し,雑誌連載という場を設け,単行本発売まで漕ぎつけ(3月27日発売),今日まで作者と共に歩まれたであろう編集の方には,この作品を私に出会わせてくれたことに深く感謝します。ありがとうございました。次回作も是非よろしくお願いします。

http://comics.yahoo.co.jp/magazine/blood/otixyaka01_0001.html より

さて,こうして終わってしまうお茶会もあれば,新たに始まるお茶会もあります。それがYahoo!コミックに読み切り掲載中のショート作品,来瀬ナオ「お茶会さくらいろです。今作の主人公・侑以も,先の作品のアリスと同じく,茶道初心者の茶道部員で新入生。部室の窓から見える散りゆく桜に,新生活の忙しさでお花見に行けなかった侑以のため,茶道部員の彩子と萌黄が桜の木の下でのお茶会を提案して――という話です。

「ゆったり茶道部ストーリー」,確かにその通り。今作では平和な茶道部の日常が,透き通った絵で爽やかに,そしてゆるやかに描かれています。しかし同時に,この作品には「女の子の爆発力」があります。侑以の固さを和らげようと動く萌黄は,茶道が持つ静かなイメージとはかけ離れた元気さで場をにぎわせてくれます。着物姿で茶道部員らしい彩子も,お茶会のお菓子にハートを飛ばしてうっとりしたり,萌黄の作法に「めそめそ」したりと,要所でオーバーな動きを見せてくれます。そして侑以自身は,飛躍した言葉遣いでしょう。「趣のある…!」なんて言葉,茶道という舞台を考えても,彼女たちの年齢からすればなかなか出てくる言葉ではありません。

別の言葉を使えば,制御されていない(かのように見える)飛躍こそが爆発力と言えます。男子諸君ならば覚えがある方も多いはずです。学生時代に,教室の隅の方で女子たちが集まっていると,それまで何ともない彼女たちが突然黄色い声で騒ぎだすという光景を。そして,その光景を傍目から見ると,なぜ騒いでいるのか全く理解できないということも! 「女三人寄ればかしましい」とはよく言いますが,まさにこのような爆発力こそが「かしましさ」と言うべきものでしょう。そして,私はこのかしましさが,たまらなく好きなのです。

この作者は他の作品でもかしましさを見せてくれます。S・M・ノーマル三人娘4コマ「ぴりからハニーデイズ」では,三人娘がキャーキャーする様はまさに「教室の隅で騒ぐ女子」でした。グリム童話から現代に飛び出した二人娘を描いた4コマ「ゆきばら」でも,二人のテンションが乱高下しながら,時代錯誤な意識と姿ゆえに現代に戸惑う様が実に騒がしく,見ていて楽しいです。

私は,来瀬氏の今後の活躍の広がりを心から楽しみにしています。特に,Webコミックのみならず,漫画雑誌にも是非登場して欲しいです。作品の雰囲気的に,『ガンガンWING』や『まんがタイムきららフォワード』なら,活躍の場があるのではないかと勝手に思っています。

関連記事

すいーとポテトが選ぶ2008年の4コマ作品10×3 ― [3]この作品に出会えてよかった

2008年に初登場したor連載化された作品から10作品。例によって基本的に一作者最大一作品,各作品紹介文の第一段落はほぼ『四文甘書 第二号』の「4コマ漫画ナツ100」からのコピペ。

私の純粋な「これ好き!」です。趣味丸出しです。ほとんどの作品は万人にはお薦めしません。でも,私と趣味が近い人にはぜひ読んで欲しい,そんな作品です。

――

来瀬ナオ「ゆきばら」

Webコミック連載。グリム童話から飛び出した二人娘「ゆきしろ」と「ばらべに」。「そろそろ近代化すべきよね」と,二人はパソコンを買いにいざ秋葉原へ? あふれ出るかしましさが楽しい作品。二人のメルヘンな可愛さはもちろん,セリフの語尾や背景の花・ハートが演出する女の子らしいテンションの高さが好き。

フレコミの読み切り「ぴりからハニーデイズ」で,その密着的でかしましきキャッキャウフフを見て虜に。「ぴりから~」以降は全く音沙汰がなかっただけに,今作はまさに待望の連載。

作者は他にも,コットンソフトの「四暗刻」に入れ替わりで登場中。また,この1月28日には,フレコミに新作読み切り「お茶会さくらいろ」が掲載予定。今後の活躍の広がりが楽しみでならない。

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大川マキナ「アリスのお茶会」

スクウェア・エニックス『ガンガンWING』連載。茶道に憧れる留学生・アリス。高校生になったから,いよいよ茶道部に入ります――。何よりもまず絵。柔らかな線とつぶらな瞳はそれだけで惹かれる。この瞳で笑顔を見せられたら,もう。茶道に対しては良心的。作法に戸惑うアリスにも部員たちは優しい。作者の茶道へのおおらかな愛を感じる。

上の「お茶会さくらいろ」と合わせて,ついに茶道4コマが来たよ! ……と思ってたら,WING最新号の柱には「最後のお茶会」なる文字が。連載どうなってしまうの……。今はただそれだけが心配。

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佐伯イチ「今日も待ちわびて」

スクウェア・エニックスのWebコミック『ガンガンONLINE』連載。金持ち一家の末っ子・森くん(10)に迫られる極貧ガテン系少女・茉さん(18)。親バカ母・椿さんに屈して嫁入りすることになりました。積極的な森くんと軽くいなす茉さんの掛け合いが和やかで楽しい。椿さんをまじえた嫁姑模様も,椿さんの親バカ駆動なコメディでとっつきやすい。

今作に限らず,ガンガンONLINEは4コマ漫画作品の充実ぶりが半端ない。マジ期待。

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やまぶき綾「Sweet Home」

芳文社『まんがタイムきらら』連載。朝,目覚めた伊織君の目の前には,押しかけ許嫁な幼なじみ・陽向さん。彼女の突然の来訪に困惑し,牽制をしかける伊織君の姉二人。そんな板挟みな日常。これぞ男子の本懐。細く柔らかい線でふんわり描かれる女の子たち,そして彼女らによって演出されるラブ甘な日常に脳が焼けつく。

「今のきらら系で一番楽しみにしてる作品は?」と聞かれたら,躊躇なくこの作品を答える。ふわふわに溺れる心地良さを味わいたければコレ。

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桜みさき「魔法少女☆皇れおん(仮)」

芳文社『まんがタイムきらら』連載。マッドサイエンティストの母に改造され,くしゃみをしただけで魔法少女に変身する能力を身につけてしまったれおん君。なよっとした外見,でも心は男の子,だから女の子の姿になると困っちゃうれおん君。いじる,同情する,告白する,変態認定する周囲の人々と一緒のコメディが楽しい。

4コマ作品にも増えてきた女装少年ものの中でも[1]外見は中性[2]内面は男性[3]無理矢理女装[4]男装と女装を往復,の四点セットで私のストライクど真ん中な作品。れおん君になりたいです。

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内村かなめ「限定彼女」

一迅社『まんが4コマKINGSぱれっとLite』連載。幼なじみの広音くんに告白したちまさん。実は両想いで嬉しい,と思ったら首筋をかぷり。実は広音くんは吸血種でした――。女の子的発想のいかがわしさが楽しい作品。「吸血」が持つエロティックなイメージが,二人の体の触れ合いや,乙女ちまさんのあけすけな妄想によってとことん加速される。

ぱれっと本誌連載の「もっと!委員長」(私の単行本1巻レビュー)や,REX連載終了の「オレとメイドと時々オカン」にも,同じ楽しさを感じてる。一線越える手前で悶々とするキャラたちを眺めるのが楽しい。

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櫻太助「毛玉日和」

一迅社『まんが4コマKINGSぱれっと』連載。ペット猫に憧れるもなかさん。学校帰りに,家の前に着物の野良猫耳少女・小豆を見つけ,彼女を飼うことになりましたが――。ころころキュートな絵とキャラ,そして背景の演出でもって描かれる騒がしさが楽しい。その一方で,ペットとの家族的な優しさも,さりげなく見せてくれる。

きららキャラット連載の前作「鳩町まめっこイグニッションズ」の連載が終了,単行本最終巻が出ることなく,同誌での次回作も無しと言われていた中で,他誌・ぱれっとで始まった新作。何よりまず,作品が読めるということが嬉しい。

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祥寺はるか「僕の彼女は同人腐女子」

一迅社『まんが4コマKINGSぱれっと』連載。オタク女子・雅さんと普通男子・拓くんのカップル。腐りっぷりで見せる腐女子作品が昨今多い中,この作品は雅さんの可愛さを徹底的に見せてくれる。笑顔や泣き顔の色っぽさ,そしてハートが飛び交う悪意のない雰囲気に,拓くんもツッコミを入れる気が失せて,暴走し続ける雅さんの姿が楽しい。

そもそもオタカップル作品が好きで,「はっぴー腐女子」シリーズと「おたケッコン」シリーズは欠かさず読んでいる私。カップルのラブ模様が多めな点に,「となりの801ちゃん」などとは違った楽しみがあると思っている。

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カワハラ「学園カラーズ」

デイリー4コマ連載。女子高生たちのキャピキャピ(死語)な日常。タイトル通り,色鮮やかに「女の子」を見せる作品。ギャルゲーチックにかしましい,とも言えようか。性格もそれぞれな赤・黄・青・緑のリボンの女の子たちが,三頭身モードで夏休みやカレシの話を騒がしくする様は,眺めているだけで楽しい。

一般向け・ファミリー向け作品が多いデイリー4コマの中で,最も萌え系に近い作品という印象。オンリーワンな存在として長く続いて欲しい作品。

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310「さんかくぱんち」

Webコミック連載。高校生たちの日常4コマ。何より女の子の可愛さに目が行く。天然,ツンツン,八重歯,ブラコン,変語尾な女の子の友情模様や恋模様は見ているとハグしたくなる。イチオシは変語尾の「まみの」。友達の想い人(実は勘違い)とデートし,後ろめたいけど切ない想いにぐるぐるする姿が胸キュン。

コミティア会場でまとめ同人誌に出会った時の衝撃は忘れない。同人誌は「よつばの。読書会」でも好評で,持ち込んだ身としても嬉しい限り。

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←[1]この作品の単行本1巻が好き!←[2]2009年はこの作品に注目!

すいーとポテトが選ぶ2008年の4コマ作品10×3 ― [2]2009年はこの作品に注目!

タイトルままの10作品。基本的に一作者最大一作品。各作品紹介文の第一段落は,ほぼ『四文甘書 第二号』の「4コマ漫画ナツ100」からのコピペです。

私の「これ好き!」と,2009年中に単行本発売まで漕ぎつけそう(あるいは既に2009年の単行本発売が決定している)かどうかを加味して作品を選んでます。

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仙石寛子「仙石流 御伽話」

芳文社『まんがホーム』連載。オムニバスで描かれる不思議なお話。人間に恋する青虫,新盆に帰ってきた大切な人,自分を飲んでもらいたい「お酒さん」――。それぞれの愛の距離,または覚悟,あるいは自己犠牲的な姿が,いわゆる「起承転結」を排除した4コマと消え入りそうに儚い線によって切なく描かれる。

作品のwhat+howで見れば,今の4コマ界では間違いなくオンリーワンな存在。同人活動で見せてきたこの作風が,商業誌ではどこまで見られるのかが気になるところ。『コミックエール!』で連載が終了した姉弟恋愛4コマ「赤くない糸」と合わせて,作品がひとつの本にまとまることを切実に希望する。

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橘紫夕「となりのなにげさん」

芳文社『まんがホーム』連載。日常の「困った」に颯爽と現れては解決してくれる,彼女の名前はなにげさん。ただただ彼女のキャラに魅かれる作品。どこからともなく道具を取り出し,予想の斜め上を行く方法で助け,得意げに去っていくなにげさんの姿が,シンプルな線と相まってくっきり刻まれる。

2008年の橘氏は,『ハムスペ』復刊にともなう「でかポメ」復活だけでなく,今作のようにファミリー4コマ誌での活躍が広がっていったのも印象深い。他のファミリー誌では,橘氏は竹書房『まんがくらぶ』にて虚弱女子高生4コマ「ひよわーるど」を連載している。

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ふかさくえみ「ちまさんちの小箱」

芳文社『まんがホーム』連載。小物屋「ちまさんち」を営むちまさんと,そこに集う小物好き少年少女たちの日常。非現実的存在と閉じだ空間が小物屋の中をファンタジックに演出し,ムズムズ落ち着かないのに心地良い雰囲気を出している。キャラたちが狭いコマの中で見せる大きな「動き」も特筆。

マルラボライフ」から入った人間としては,今後もファンタジックな雰囲気と「動き」をどう見せてくれるのかが気になるところ。また,電子コミック方面でも,ワンコミ連載の「よもぎ町パンタグラフ」が楽しみ。

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田川ちょこ「ひかるファンファーレ」

芳文社『まんがタイムジャンボ』連載。トランペットに憧れて吹奏楽部に入った少女・ひかる。しかし彼女に与えられた楽器はチューバだった――。チューバの大きさに苦労するひかるの姿がおバカで,しかし徐々にチューバ愛に目覚める姿が良心的。合宿やコンクールといった学生的要素も混ぜ,吹奏楽部の日常を楽しく見せてくれる。

単行本1巻が3月7日に発売。直近3か月では,私の中で最大の期待作品。

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荻野眞弓「白衣とリボン」

芳文社『まんがタイムジャンボ』連載。白衣&メガネの理系男子・モリソバくんと,白衣フェチ&メガネフェチでロリータなゆりちゃんが,交差点でぶつかって恋に落ちて――。愛にバイアスがあるけれど,ゆりちゃんは理系男子の女神様。理系の苦労を受け止めてくれて,しかも「僕」だけのことを好きでいてくれる。至極のラブ甘。

別作品,腰かけ35歳OL4コマ「たまのこしかけ」は,単行本1巻が2月7日に発売。今作も早く単行本化されないかなあ。

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ワカマツアツト「ひとみとコットン」

芳文社『まんがタイムファミリー』連載。ひとみさんには最近気になる人がいます。その人は……ニワトリの着ぐるみの人? 太く丸い線でひとみさんの可愛らしさを見せつつ,おバカかつコミカルに演出される盲目的な恋模様が楽しい。決して素顔を見せない着ぐるみさんは,謎が深まるごとにキャラが加速する。

竹書房誌での「カエルと若奥様」のデビュー以来,ずっと追い続けている方。最近は竹書房誌では描かなくなったけど,芳文社誌では着実に活躍の場を広げている。今後も楽しみ。

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オザキミカ「日めくり恋模様」

芳文社『まんがタイムスペシャル』連載。惚れっぽい高校生男子・若狭くんの惚れてはフラれる日常。軽い,けど惚れたら全力,それゆえフラれ姿が滑稽な若狭くん。彼のそんなおバカさを,4コマ何本にも渡って徹底的に見せて楽しませてくれる。今後は彼の友人・乃子さんと一直くんの恋模様も気になるところ。

前作「だてまき。」が単行本2巻を待たずに終わってしまったので,今度の作品は大事にされて欲しい。また,最近のオザキ氏はケータイコミック方面も気になるところ。

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東屋めめ「リコーダーとランドセル」

竹書房『まんがくらぶオリジナル』連載。背が高い小学生の弟と,背が低い高校生の姉,そんな二人の日常。外見と内面のギャップによる誤解でもって姉弟のキャラ見せてくれる作品。特に弟くんは,同級生と一緒にいるだけで不審者扱いされたり,その一方で大人のおねーさんを惑わせたりと,上から下まで幅広い絡みが楽しい。

単行本1巻が3月27日に発売

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野広実由「うちの姉様」

野広実由『うちの姉様(1)』

竹書房『まんがくらぶオリジナル』連載。鈴音お姉ちゃんは僕たち兄妹の自慢。カッコいいし頭もいい。だけど時々変なんです――。鈴音の天才肌・マイペースゆえの意味不明な行動に振り回される兄妹で楽しませてくれる。平気でパンツを見せる姿にも,連載誌を考えると「これが新しいスタイルの女性なのか!」と深読みしたくなる。

単行本1巻が1月27日に発売。

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碓井尻尾「店長の憂鬱」

竹書房『まんがライフオリジナル』連載。回転寿司屋の店長・店員たち・客たちの風景。タイトル通り,テンション低めな店長と,暴走する店員たちとの絡みが面白い。演出もダウナー。感嘆符無き店長の叫びからは,ウンザリさと投げっぱなし加減を感じる。ここに店長と客の絡みが箸休めとなり,やる気の無い店内が可笑しく続いていく。

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