芳文社『コミックエール!』VOL.6

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1周年記念号。連載作家ミニ色紙プレゼント企画あり。

7月下旬からYELLコミックスの刊行が開始。第一弾として,秋★枝『純真ミラクル100%(1)』,松沢まり『さんぶんのいち。(1)』,天乃咲哉『御伽楼館(1)』が刊行。さらに8月にはコダマナオコ『あまだれ!(1)』,シギサワカヤ『溺れるようにできている。』が刊行。

コミックス刊行記念フェアとして,上記5作品の特別編とシークレット企画を収録した『別冊ぷちエール!』の発行が予定されている模様。詳細は次号。誌上プレゼントか単行本プレゼントか,はたまたコミケ企業ブース販売か。

ろくこ「リトル・リトル」
2号ぶりの掲載,そして増ページ,しかも鮮やかにカラー表紙。表紙イラストが和むわあ……。ずっと眺めてても飽きない。本編はお嬢様・狐っ娘・メイドさんにウサギくん(さん?)を加えて四つ葉のクローバー探し。一度は四つ葉を見つけたものの無くしてしまったお嬢様。彼女が必死に四つ葉を探す姿が子供っぽく,そして郷愁を呼び起こす。ほら,みんなが素敵な物のを持ってるのに,自分だけ同じ物を持ってないと疎外感,なアレですよ。みんなの四つ葉の差し出しに,逆に悲しい表情をするところなんか特にそう。次号は休載。
秋★枝「純真ミラクル100%」
泥沼の四角関係にな”っちゃうどころか,所長への感謝の気持ちで恋心を封じようとするモクソン。”どこか ズレている”とはオクソンの言葉だけど,傍観者としての彼女が,そんなズレたモクソンと,先の読めない四角関係を見せてくれる一話。モクソンの幸せ笑顔はいつまで続くかしら。次回はあやしいプロデューサも登場するみたいだし。
山田J太「ぎふと」
赤ちゃんの世界と”羊水の記憶”。母を亡くし幼稚園に預けられている赤ん坊・虎太郎が言うように,キーワードは”無償の愛”。母が子の幸せを願う気持ちと,虎太郎が父と女先生の幸せを願う気持ち,二つの気持ちが見開きのシーンで重なる時の感動と言ったらない。その感動を支えるのは,ディスコミュニケーションの演出,水と光の表現,そして言葉。見開きの二重フォントになったセリフにはその全てが集約されている。何だこの作品は。やばいJ太やばい。すごすぎる。
【新連載】宮原るり「恋愛ラボ」
ホーム連載作品がエールでも連載開始。才色兼備ながら恋に恋しておバカな生徒会長・マキとともに「恋愛研究」を続けるワイルドな副会長・リコ。今回は,リコのワイルドさを見せつつ,かしまし生徒会室から離れて,昔の知り合いらしい男の子を登場させてリコとの恋模様的な展開を匂わせてる。ホームが恋愛「理論」ならエールは”実践”なのかしら。その意味で,ホームでは登場しなかった男の子が登場するところにワクワクするわけです。そして照れるリコの姿も悪くないっつーかむしろ良いと思うわけです。
水谷悠珠・かえで透「境界恋愛少年少女」
「好き」はまだよく分からないけど,ウィンセリアを助けたいと強く願い,動き始めた陽彦。そして,おそらくこれから彼に敵対するメルキアデス。敵も味方もそれぞれの思惑で動き出した。ストーリーが進み始めたワクワク感があるだけじゃなく,陽彦くんとの同一感が心地いい一話。「幼さ」は郷愁と純粋さを兼ね備えた記号であると思うのです。あと本筋とは全く関係ないけど陽彦君の崩れた表情に玉岡かがり氏を連想した。
【ゲスト】結桐たかし「その声は彼方に消えて」
近くて遠い幼なじみの二人。少女漫画にはよくある話なんだろうけど,それを表現する感性がよくある少女漫画とは違う。恋する女の子に向けられたのが「少女漫画」なら,「男の子向け少女漫画」はどんな男の子に向けられているんだろうかとか考えた。今回はページ数が少なかったからもう一度読んでみたい。今度は別の作品で。実はフォワードでもいいんじゃないかとか。
ところで,同じく幼なじみ話のたむら純子「こいはじめ」が悲しいほど空気な件について。視点の差か,道具の差か,表現の差か。
【最終回】シギサワカヤ「溺れるようにできている。」
最後までグダグダな二人。シギサワ氏はキャラの感情の起伏を,起伏を抑えめに描いているなあと思うわけです。少なくとも私にはそう読める。いやゴメン,ここまで書いて,むしろ原因は幸薄そうなキャラクターの目にあるのかもしれないとか思った。次回はVOL.8にショート読み切りが掲載。
仙石寛子「赤くない糸」
テレビドラマのラブシーンを反芻し,弟のことを意識してしまう姉。先月号の須田さぎり「ステップアップ」でも書いたけど,恋をして手をつないだ”その先”を,清潔感を保ちつつ意識させるところがエール的だなと思うわけです。それにしても切ない。この方の作品にはいつも「愛すること『が』傷つけること」が見え隠れしているように思うのは私だけでしょうか。そんな,踏み込みたいけど踏み込めない感情が,空白コマによって演出されている。時間を引き延ばし,かつキャラクターの表情を見せない,つまりは少女漫画的な技法が4コマに適用されたひとつの形と言ってもいいかもしれない。

次号から『COCORO-NAVI Another View(仮)』が新連載。原作はQ-Xの美少女ゲームで,コミカライズはぱれっと系列誌にも登場しているしんやそうきち氏が担当。エール公式ブログによれば”エール創刊時から企画自体は上がって”いたらしい。「ギャルゲーのコミカライズは電撃に任せとけ」なんて言うことなかれ。作品の少女性が重要だという観点から見ればエールとの親和性だって高いかもしれないよ。

芳文社『コミックエール!』VOL.5

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2か月越しの前号。

【新連載】山田J太「ぎふと」
ゼンマイ仕掛けの女の子・ぎふと。彼女は近くにいる人の感情と同調し,新たな感情を覚えることができる。彼女は街で出会った少女に尋ねる。”「ドキドキ」って どんな時にするの?――”。これは一風変わった「少女の成長物語」だ,と思った矢先,彼女を観察する博士から同じ発言をされてしまった。人間ではなくロボットの少女を主人公に据えたのは,少女から女になりゆく肉体の話を切り捨てるため,そして純粋に感情の成長のみを描くためなんだろうかとか考えた。
秋★枝「純真ミラクル100%」
工藤さんへの想いに気づいてしまったモクソン。泥沼の四角関係になっちゃうのか。モクソンのつらい想いが救われることを願ってやまない私がいる。
【新連載】仙石寛子「赤くない糸」
同タイトルの同人誌原稿が掲載。同人版はショートだったが,こちらは内容そのまま4コマになっている。”家族で 姉弟で 好きな人”。許されぬ恋に揺れる姉弟の話。同人誌を読んだ時にも感じたんだけど,”死んでしまえそうだなあって――”のくだりが,消え入りそうな線と相まって破滅的で刺さる。そして,この非日常な言葉が,本当に日常的な,例えばスーパーの卵パックの値段の話題と並べられてしまう不安さに心動かされる。
【ゲスト】須田さぎり「ステップアップ」
私と彼は”同じ身長 同じ目線”。”そんなふたりが初めてキスをした――”。背伸びしてチューは少女漫画の基本だったりするのかよく分かりませんが,少なくとも私は憧れます。「キスから先」を意識させ,しかしあくまでも清潔にあるところがエール的だなと思うわけです。最後のシーンでは”同じ高さでキスをすると――”のくだりで,背の差と恋の思い出を結びつけるところがにくい。ああそうか,「ステップ」は掛け言葉になってるのか。

芳文社『コミックエール!』VOL.4

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秋★枝「純真ミラクル100%」
表紙&巻頭カラー。ライバルアイドル・オクソン登場。一緒の楽屋でトゲのある言葉を次々と投げかけるオクソン。しかしモクソンにはその天然&能天気さでことごとくかわさてしまう。このやりとりを通じて二人が近づいていくわけだけど,それを一話の中でテンポ良くきっちり見せてくれるのがうまいなあと思った。
【新連載】黒渕かしこ「ポジティブスター★ポジティブスタイル」
幼い日に夢への約束を交わした幼なじみを追って上京した,ちょっぴりネガティブな少女。彼女は”友達作りのため”,入学する美術学校に一足早く訪れていた。目当ては”不思議なチカラを持ってる”人を募集しているサークルで――。何が不思議かってこの娘,くしゃみをすると頭にキノコが生えてしまう特異体質。「突飛な設定」? 慣れっこなもんでしょ? 今回は有効活用されなかったこの設定が次回以降でどう使われるか。
【最終回】仙石寛子「背伸びして情熱」
先生からも好きだと言われて,でもまだ二人には距離が残っていて,でもとりあえずはほっと一息、という雰囲気。途中まで息を詰めて最後に吐かせる感じ。今回でこの作品は終了。何回も言ってるかもしれないけど,描線とストーリーのダブル儚さはもっと意識されていいと思う。次号から新作開始。
【ゲスト】たむら純子「ひかりコンフュージョン」
二次元オタクな女の子・ひかりが三次元で男の人に助けられて恋に落ちる。彼にまた会いたいと探すも今日は適わず。明日があると家に帰った彼女。迎えてくれたのは兄のお客さんで美人な女の人だった――。オタク少女恋愛ものと思っていたのに,最後の5ページくらいで唐突に「ひとつの体にふたつの心」ものになるなんて! 三角関係の特殊形。でも,作者自身もそう言ってるけど,一話でやる内容じゃない詰め込みっぷりだよなあ。二話にでも分けてじっくり読みたかった。
【ゲスト】豊田アキヒロ「りばぁす!」
4コマ。クール&おバカな女子風紀委員コンビ。おバカっ娘の暴走を楽しむ作品だと思うし,その意味では豊田氏らしい作品か。
【ゲスト】小川ひだり「前略 かしこ」
時は大正,舞台は女学校。学生の間で手紙のやりとりが流行る最中,憧れの先輩に手紙を送りたいと,おてんば女学生がメガネで真面目な先輩に相談を持ちかける――。大正浪漫ってだけで三割増しな俺にこんな作品が突きつけられちゃった日にはもう。女学生たちがキャッキャイチャイチャする百合ものなんだけど,特筆すべきは女の子の肉感。肌の露出は少ないけど服のラインがとても色っぽく描かれていて濃厚な雰囲気。そしておてんば女学生の恋に恋する姿が,くりっとした目で幼さブーストされて可愛らしく描かれる。いいねえ。別の作品も読んでみたい。

芳文社『コミックエール!』VOL.3

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アンケート締め切り前には読み終わったよ! 今号から奇数月発売の隔月刊に。

秋★枝「純真ミラクル100%」
弱さを見せる所長と,飄々としているようで強かな工藤さん。所長の過去をちらつかせてタメて,抱きしめシーンで開放。このシーンの工藤さんのかっこよさと言ったら。モクソンもそのずれっぷりを要所で見せてくれるし。くそう面白い。
仙石寛子「背伸びして情熱」
近づことうしても泣かれて,でも離れようとしても泣かれて,じゃあどうすりゃいいんだという男の子の葛藤。でも俺の気持ちを分かって欲しいと突き進む男の子。青い,青すぎて泣ける。一方の先生はいじめてオーラ出しまくりだよ! ベストショットはラス前3コマ目。
仙石氏は現在,芳文社『まんがホーム』奇数月発売号でも「お酒さん」を隔月連載中。
【集中連載(2/2)】須田さぎり「あいふぉ」
前号からの続編。マフィアのボスたちはことごとく恋に溺れ,仕掛けた娘も期せずして溺れ。こうして恋は全てを狂わせましたとさ。キャラに恋心を強制させるだけでなく,恋の浮遊感を誘う言葉を散りばめて読者をキャラに引きこむ。何とも胸キュンな作品だった。次号は別作品でゲスト登場。

読みきり2作品,芳原のぞみ「ハピ×ハピ」うえだ美貴「恋☆キラリ」はどちらも正統派な少女漫画だったんだけど,私には残念ながらイマイチだった。ぶっちゃけキュンとこなかったわけですよ。”男性向け少女漫画”と”少女漫画”の間にはかなり溝があるよなあということを改めて思ったり。

次号,黒渕かしこが新連載,たむら純子がゲスト。持ってくるところが完璧すぎる。つーかコミハイ&SEED涙目。

これを機にもっと創作少女界隈から登場しないものか。フォワードで描いてる三嶋くるみ,ぱれっとからあぶれた祥寺はるか東雲萌黄,美少女ゲームサイトの4コマを描いている猫野おせろ,商業誌歴はあまり知らないけど水玉すあま,この辺りが熱いんじゃないかと思うわけですよ。

芳文社『コミックエール!』VOL.2

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男のコ向けの少女まんが誌第2号。今号はメガネヒロイン”レンズ越しの恋”と題して,黒渕かしこシギサワカヤ日坂水柯の三氏の特集が組まれている。

また,公式サイトもリニューアルされており,一部作品のちょい読みや壁紙ダウンロードなどのコンテンツが用意されている。

【新連載】松沢まりさんぶんのいち。
おてんば,泣き虫,どんくさだった幼い日の三人。月日は流れ,泣き虫はキレイに,どんくさは頼もしくなっちゃって。そしておてんばの”あたし”は,変わり始めた二人の気持ちにまだ気づいてなくて――,という感じの話。三角関係ものだけどそこはエール,想い想われの向きが一味違う。おてんば娘って男女両方の側面を持っててキャラ的に絶対ズルいと思うのですよ。女の子は可愛く,男の子はかっこよく,そんな絵もいいなあ。
【集中連載(1/2)】須田さぎり「あいふぉ」
須田氏の同人誌作品の模様。大陸を牛耳る組織のボス。その元に突然現れたチャイナ的少女。彼女が持ち込んだ「薬」は,人を恋に溺れさせる薬だった。その薬を飲まされてしまったボスは――,という感じの話。ああ,私は惚れ薬的な小道具に弱い。正確には,そこから導き出される,自分の気持ちが暴走して制御できない,的なシチュエーションに弱い。きゅんときて悶えてしょうがない。VOL.1の「ラブイーブン」よりもこちらの方がはるかに好きだ。後編も楽しみ。
【新連載】水谷悠珠・かえで透境界恋愛少年少女
新しいお屋敷に引っ越してきたお坊ちゃま。広い屋敷のある部屋で,彼は赤い瞳の少女と出会うが,彼女は彼の目の前ですーっと消えてしまう。異世界に幽閉された少女,そんな言い伝えを聞いた少年は,彼女にまた会いたいと願い,そして――,という感じの話。今回は顔見せ程度。今後は何度も出会ううちに憧れが恋心に,的な展開なのかな。こちらの方は中性的な男キャラの絵がいいなあ。この絵が少年の純粋さをブーストさせている気がする。中性的と言えば,「胡蝶ノ姫」はストーリーもかなり衝撃的だった。
仙石寛子「背伸びして情熱」
この作者に活躍の場を与えた,それだけでこの雑誌は十二分に価値があると思う。消え入りそうに儚げな絵,モノローグとコマの間の使い方,それらが紡ぎ出す痛ささえ感じさせるストーリー,そのいずれのセンスも他に類を見ない。これが4コマ”だから”実現したのか,あるいは4コマ”でなくても”実現できるのかどうかは分からないけど,少なくとも「4コマでもここまでできるんだ」ということを感じさせてくれる,そんな作品。この才能を手放すことだけはして欲しくないと切に願う。
さかもと麻乃「リスランタンプティフルール」
VOL.1からの連載作品。とある女学園の中庭の花園「リスガーデン」は色とりどりの花が咲き誇る場所。その花のお世話をする女学生たちの話。設定といいタイトルといい,あの作品を連想してVOL.1ではスルーしたんだけど,今回の話を読んで「あ,これは違うぞ」と感じた。花やフリルや香水といった小道具が生み出す乙女っぽさのせいかもしれない。
あらたとしひら「魔法少女いすずさんフルスロットル!」
VOL.1からの連載作品。転校早々あるメガネ少女が出会ったのは,犬耳でちびっこな先輩・いすず。この先輩が実は魔法使い(ただしへっぽこ)で――,という感じの話。VOL.1ではギャグ要素が控えめだったんだけど,今回はプールでお決まりのあれやこれやが詰め込まれていて楽しかった。この方の作品で読みたかったのはこういうノリなんですよ。あと,いぬみみすとの私としては,いすずさんのふさふさしっぽも見逃せない。
【ゲスト】黒渕かしこ「大なり小なり」
メガネ特集作品の一。幼稚園からのメガネコンビだった大島くんと小島さん。小学校時代にメガネのせいで周囲から冷やかされる日々にうんざりした小島さんは,大島くんと絶縁すべく,中学生のある日にメガネを捨てたが――,という感じの話。小島さんのメガネ批判にも動じず,逆にカウンターの一言をさらっと放つ大島くん。このシーンを作り上げる二人のキャラクターが良いなあ。この方にはまた登場してほしい。
ろくこ「リトル・リトル」
絵が良い。とにかくそこが原点だと思う。少女と狐耳っ娘の表情も,フリルのしわも,ふさふさなしっぽの,背景の木々やレンガも,水しぶきの一滴でさえも。

VOL.1で感じていた不満と不安はどこへやら,VOL.2はかなり私好みの充実した内容だった。中でも仙石寛子,ろくこの両氏が私の中ではダントツ。両氏とも掲載ページ数は少ないけど,長く作品が続いて欲しいと思う。

次号は11月に発売。芳原のぞみ,うえだ美貴山本ルンルンの三氏が新登場。芳原氏はそもそもは『りぼん』系の方らしく,現在はタイム系列誌で4コマ漫画作品をいくつか連載してるけど,ストーリーものを読むのは,私はこれが初めてになりそう。楽しみ。

芳文社『コミックエール!』VOL.1

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芳文社から創刊された男のコ向けの少女まんが誌。キャラットの増刊扱いだけど,4コマではなくストーリー中心。

【ゲスト】須田さぎりラブイーブン
結ばれたばかりの学生カップル。そんな彼らの気も知らず,校内の”恋愛”の平等を徹底させますと,風紀委員長がスーパーマシンで恋愛の持ち込み検査を始めてしまった。二人の恋の行方は? という感じの話。設定の奇抜さは置いといて,委員長の想いの伏線や,最後に二人が恋心を確認しあうシーンなど,キュンとしどころはもっと丁寧に描いて欲しかった。残念で仕方が無い。
【新連載】天乃咲哉御伽楼館〜Märchenturmgebäude〜
美しい人形を揃える双子の姉妹の人形店。この店でお金の代わりに頂くのは,訪れた若き娘の”想い”の詰まった物。そしてこの店にまたひとり,バレエの夢を諦めかけていた娘が訪れた,という話。不思議な人形を通じて主人公が夢を取り戻す少女ファンタジー。努力と挫折の過去,そして再起から成功への道のりが丁寧にまとめられているだけでなく,その美麗なキャラクターたちにも惹かれる。予想外の正統派作品。
【新連載】秋★枝純真ミラクル100%
芸能事務所にやってきた新人の女の子は,おっとりして頼りなげで,世の男が好みそうなタイプ。そんな彼女の姿を見た女所長は,男性関係のやさぐれもあって,眠れるS属性を開放してしまい……,という感じの話。思惑が外れる所長の姿が,純粋な新人の姿も相まって妙に滑稽。きっと新人は今後も奇跡を連発してくれるんだろう。ただ,このままだと所長がただの悪い人になってしまいそうなのが惜しいなあ……。
【新連載】統月剛まよえるグラビーノ
探求の試練のため,天から堕天地(グラベルテ)へと降り立った聖天族(フューゼル)と堕天人(グラビーノ)の姉妹の話。これに限らず固有名詞が多い……。先の3つは「地上」「天使」「堕天使」と脳内置換だ。不思議と波長が合う作品。でもどこに気に入ったのかがつかみ切れていない。とりあえず,今のままだと女の子ばかりなので,強くてかっこいい男の子が出てきて欲しいと思った。
【ゲスト】神堂あらしまいどる
真面目な高校生男子にお熱な小学生女子。彼の裏の顔は,街で一番人気のアイドルだった,という話。変キャラたちによるドタバタ展開は神堂氏らしいノリで楽しかった。ただ,二人のラブコメ要素が少なかったのは,仮にも「少女漫画誌」を標する雑誌の作品としては残念だった。
【ゲスト】むんこ「月〜moon〜
「らいか・デイズ」番外編ショート。ああ……,確かに「月」だね……。
【新連載】かたぎりあつこすいーとりぼん!
メル友の女の子はやさぐれ家出魔女少女? そんな彼女とひょんなことから一緒に暮らすことになった女の子の話。この方は普段は4コマでしか見たことがないのでストーリーは新鮮。魔法少女と現実主義の融合……なのかな? 顔見せ程度にしか話が進んでないからよく分からない。ただ,主人公は女の子じゃないと「分かり合う」という構図は出来ないよね,とは思った。
【新連載】ろくこ「リトル・リトル」
今号ぐっと来た三本指その1。庭でひとりお茶を飲む病弱そうなお嬢様。彼女の元に,どこからか狐の耳と尻尾を持った少女が迷い込んできた,という話。全編サイレント。言葉なんて俗なものは狐っ娘を愛でるのには必要ないのですよ。可愛いで閉ざされた世界の心地良さと言ったらない。お布団シーンの柔らかさと温かさには脳が溶けそう。全然知らなかった作者だけに今号一番の発掘。
【新連載】仙石寛子「背伸びして情熱」
ぐっと来た三本指その2。4コマ。男子生徒と女教師の恋模様。起伏と起承転結を極力排除した4コマで,生徒のモノローグと二人の会話の様子が淡々と描かれる。小池田マヤ氏の手法がより純化された,とでも言えばいいのか。儚げなテーマが儚げな絵と見事にマッチしている。先生の困った表情とか,もうね,何とも。ホーム4月号の「桜姫」も素晴らしかったし,この方はもっと評価されるべきだと思う。
【新連載】シギサワカヤ溺れるようにできている。
ぐっと来た三本指その3。って,掲載も連続してるじゃん。遠距離恋愛の幼馴染カップル。でも彼はどうして私が好きなのか分からない,と不安を募らせる彼女。彼は私にとって特別,だから私も彼にとって特別になりたい――,そんな恋模様。普通の少女漫画でもよく見られるテーマだけど,この方が描くとどこか醒めてて少女っぽくない。瞳が大きくないからなのか,それとも女性キャラクターが既に「少女」でないからなのか。過去シーンでは黒の背景に乗せた言葉のひとつひとつが重く痛く伝わる。それでも最後に希望を見せてまとめるところに,『箱舟の行方』とは違った良心があるように思う。
そういえばコミティアで入手した同人誌『ヴァーチャル・レッド』シリーズをまだ読んでいない。早く何とかしないと……。
【ゲスト】土家千明「さくらんぼほーむ」
4コマ。第1回まんがタイム新人4コマまんが大賞最終選考ノミネート作品。忙しい母,母代わりの姉,姉を慕う妹,そんな3人家族。妹の喜怒哀楽の表情がコミカルで楽しい。ファミリー辺りに登場してもいいかも。

「男性向け少女漫画」と聞くと,私の場合,新井葉月氏や山名沢湖氏のような「乙女ちっく」なものを想像するのだけど,雑誌の雰囲気はそれと全く違ってた。いずれにせよ,波長が合う作品が少なかったのが残念で仕方が無い。公式ブログアンケートで主張してくれようか。

まだ言いたいことは色々あるけど,それは近日中に別エントリにてまとめる予定。

次号は8月発売予定。予告新連載陣では黒渕かしこ氏と小石川ふに氏に期待。

『コミックエール!』創刊号執筆陣まとめ&ちょっとした見解

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5月11日に創刊する芳文社の男の子向け少女マンガ誌コミックエール!』なんだけど,4コマ誌の外から来ている執筆陣も多くて,そういう方々についてあまり知らなかったので調べてみた。

公式ブログの執筆陣一覧にある方々について調べた結果を,公式ブログの作品紹介,作家自身の執筆告知と合わせて一覧にする。

秋★枝純真ミラクル100%」(執筆告知
一迅社やエンターブレインのアンソロジーで活躍している方らしい。
天乃咲哉御伽楼館〜Märchenturmgebäude〜」(執筆告知
代表作はスクウェア・エニックス『Gファンタジー』に連載されていた「現神姫」。その他の作品もスクエニ誌連載のものが多い。
あらたとしひら
アンソロ系の方。最近ではアイマスがメインみたい。『やよぴったん!』は最近どこかのサイトで見かけた覚えがある。
かたぎりあつこ「すいーとりぼん!」(執筆告知
芳文社誌では『まんがタイムジャンボ』にて女子高生(だったよね?)4コマ「ハッピーカムカム」を連載中。
コダマナオコあまだれ!」(執筆告知
竹書房のレディコミ『恋愛天国』をメインに,竹書房誌で活躍している方。
さかもと麻乃「リスランタンプティフルール」(執筆告知
芳文社『花音』,幻冬社『Rutile』,大洋図書『Hertz』など,BL系の雑誌や書籍で活躍している方。近著は芳文社刊『冬休みニュース!』。くまちゃんの本棚さんの感想が面白かった。
シギサワカヤ溺れるようにできている。
イラストレーター兼漫画家。水口敬文著のライトノベル『憐 Ren』シリーズのイラストが代表的な仕事なのかな。近著は白泉社刊『箱舟の行方』。
神堂あらしまいどる
一迅社誌を中心に4コマ漫画を執筆。芳文社誌では『まんがホーム』にて武士4コマ「もののふことはじめ」を連載中。
須田さぎりラブイーブン」(執筆告知
4コマ誌にはあまり出てこない上に,作品もストーリーものが多いのに,なぜか自分の中では4コマな方。近著はメディアファクトリー刊『ハニーコスモス』。
仙石寛子
芳文社『まんがホーム』4月号の「桜姫」で商業誌デビュー。4コマ界期待の新人。
統月剛まよえるグラビーノ
アニメ「ゾイドジェネシス」のキャラクター原案や,日本一ソフトウェアの携帯RPG「メト・エーテリアル 〜精霊の住む島〜」のキャラクターデザインを担当された方。
宮原るり恋愛ラボ」(執筆告知
まんがホーム』連載の女子高生4コマが登場。他の芳文社誌では『まんがタイム』でも新人編集4コマ「みそララ」を連載中。近著は新書館刊『となりのネネコさん』。同氏のWebコミックが書籍化されたもの。
睦月のぞみ逢魔ヶ刻の僕と君とアレとアレ。
青/成年誌でいろいろ描いている方っぽい。近著は少年画報社刊『雨のち嵐、処により恋?』。
むんこ「月〜moon〜
「らいか・デイズ」の番外編で登場。来華の秘密のエピソードを描くショートストーリーらしい。
望月ぱすた
代表作は白泉社刊『宇宙の果てからこんにちわ』。アニメ「ココモコ♥ハッピー」のキャラクターデザインも務める。
やまぐち香音執筆告知
同氏製作のボイスドラマ「私立中央学園」が漫画版で登場。今作の漫画は同人誌でも出てるみたい。
山本ルンルンミス・ポピーシードのメルヘン横丁
まんがタイムラブリー』連載作が登場。
ろくこ
詳細不明。

この他,表紙を松沢まり氏が,ピンナップを松沢まりまりお金田佐々木少年倉藤倖の四氏が執筆。

以下,ちょっとした見解

芳文社誌連載作家やアンソロ作家だけでなく,BLという女性向けで活躍する方々も執筆陣にいるのが面白いなと思った。BLと男性向け少女漫画はつながらなさそうに見えて,マンガラブーさんや少女漫画的日常さんの考察を参考にすれば,乙女ちっくを介してつながってしまいそうなところがまた面白い。

同じコンセプトの雑誌では,双葉社『コミックハイ!』やメディアワークス『comic SYLPH』があるけど,どちらともまた違う路線という感じがする。

というか,これ何て『季刊コミティア』? もっと創作少女界隈の方々が出てきたりするのかな。三嶋くるみ氏辺り,『まんがタイムきららフォワード』で次号から連載持つし,エールにも登場するかもしれない。というか登場して。

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