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『まんがタイムラブリー』休刊に寄せて――近年の歴史とリニューアルを振り返る

6月13日発売の2011年7月号をもって、芳文社『まんがタイムラブリー』が休刊した。2011年2月のリニューアルからわずか5号、創刊から数えれば17年間の歴史に幕となった。ラブリーをリニューアル前から購読し、リニューアル後も楽しみにしてきた私としては、この休刊は実に残念である。

ラブリー休刊に寄せて、ラブリーの近年の歴史とリニューアルを振り返りたいと思う。概要をあらかじめ述べておこう。近年のラブリーは、2008年末からのストーリー作品志向、2009年末からの4コマ作品への揺り戻し、そして2011年のリニューアルと、方針転換の連続であった。すなわち、リニューアルは突然のものではなかった。私は、リニューアルは二度の大きな方針転換によって読者離れが起きていたラブリーの最後にとっての最後の賭けだったのではないかと考える。そして、リニューアルの失敗は、想定読者に対するアプローチ不足とコンセプトの不訴求にあったのではないかと想像する。

――

ラブリーは2008年末からストーリー作品志向を強くしていく。元々、ラブリーは他の4コマ誌よりもストーリー作品が多かった。2008年のラブリーでは、山本ルンルン、くぼた尚子、ねむようこ、しおやてるこ、ナントカらがストーリー作品を連載していた。また、現在4コマ誌を中心に活躍する板倉梓のデビューも、2008年8月号でのストーリー作品だった。そんな中、遅くとも2008年12月号の巻末には「ストーリー漫画作品大募集!!!」「プロの漫画家として即デビュー&掲載の可能性もアリ」と、編集部の力の入り具合が伺える告知が掲載される。また、2009年3月号の表紙には「オール読み切り!」と、実話誌やティーンズラブ誌でお決まりの煽りが踊り、編集部が女性読者をターゲットにしたストーリー志向を意識していたことが伺える。そして最盛期の2009年6月号では、ストーリー作品が作品数にして8分の23、ページ数にして104分の200を占めていた。

しかし、2009年末から、ラブリーは4コマへの揺り戻しを見せ始める。2010年1月号では新人作家4名による4コマ作品4作品が一挙に新連載となる。以降、これらの作家を含めて、板倉梓、伊藤彩、浅谷歩、古下えみ、七瀬充、十野七、三好ハツミ、舞奈、めぐみこづえ、名苗秋緒、宮賀暦、森菜すずは、大川マキナ、かまだいつき、NAL=ASK、日路、くりきまる、かがみいち、池尻エリクソンといった新人・準新人作家が連載・掲載される。また、この号から少なくとも2010年9月号まで、大乃元初奈、辻灯子、藤凪かおるなど、芳文社の4コマ誌で実績のある作者らの特集が号ごとに作者を変えて組まれる。それと並行して、ストーリー志向は薄れていく。2010年2月号にて連載再開した江草天仁×いべリコ「ハルの見えない望遠鏡」は、連載中断前のようにストーリー形式ではなく、4コマ形式だった。2010年6月号ではねむようこ「ペンとチョコレート」が連載終了した。この号以降、リニューアル直前の2011年1・2月合併号まで、連載作品としてのストーリー作品は登場しない。せいぜい、「ハルの見えない望遠鏡」のラスト三話がストーリー形式だったくらいだ。

そして2011年2月、ラブリーは大々的なリニューアルを行う。「本格ストーリー4コマ誌」を銘打ち、雑誌ロゴも新しくした。これまでの連載作家を文字通り一掃し、スクエニ・一迅社系の作家を中心に集めた。ボーイズラブ要素、ファンタジー要素、大人の恋愛要素を備えた作品を揃え、また1作品あたりのページ数を8~10ページと通常の4コマ誌よりも若干多めに取り、女性向けのストーリー性を色濃く出してきた。「ストーリー4コマ」自体はラブリーのリニューアルを待たずとも既に存在していたが、雑誌として前面に押し出したのはリニューアル後のラブリーが初めてだろう。その意味で、ラブリーのリニューアルは画期的であったと言えるだろう。控えめに言っても、思い切ったものであったことに疑いはない。しかし、その試みは結局わずか5号で幕引きとなり、雑誌自体も休刊となってしまった。

このようなラブリーの近年の歴史を振り返ってみれば、2011年2月のリニューアルが突然起きたものでないことは明らかだろう。2008年末~2009年末のストーリー志向と2009年末~2010年末の4コマへの揺り戻しという二度の大きな方針転換を経て、2011年2月のリニューアルがあったのだ。そして私はこう考える。ラブリーは度重なる方針転換によって少しずつ読者離れが起きていた、と。そしてリニューアルはラブリーにとって最後の賭けだったのではないか、と。むろん、これは私の想像に過ぎない。しかし少なくとも、方針転換に至るまでの期間が短すぎるということは言えるだろう。告知や誌面にあれだけ力を入れていたストーリー作品志向は1年しか続かなかった。4コマへの揺り戻しも、1誌連載の4コマ作品は単行本がおよそ1年半に1冊しか出ないことを考えると、1年という期間は単行本を待たない方針転換ということになり、利潤の重きを単行本に置く芳文社としてはこの期間は短いと言える。そして、こうした短い期間で雑誌の方針転換が何度も起きる時には、往々にして読者離れが起きているものだ(漫画雑誌ではないが、そのような例に『ゲーム批評』が挙げられよう)。ただ、リニューアル後に1年どころかわずか5号で休刊というのは、さすがに期間が短すぎると言えなくもない。しかし、これには東日本大震災による紙とインク不足の影響も少なからずあったのかもしれない(連載作家の堤妙子が震災の影響の旨をブログに記している)。

ラブリーのリニューアルは、成功か失敗かと問われたら、失敗だと言わざるを得ない。私はリニューアル失敗の理由はふたつあると想像する。ひとつ、想定読者へのアプローチが不十分だったのではないか。連載陣からするに、リニューアル後のラブリーは、例えば『Gファンタジー』や『ZERO-SUM』といった雑誌を好む女性を想定読者としていたことが伺える。しかし、リニューアル前のラブリーにこうした色はほとんど全く見られず(せいぜいHEROと内村かなめがゲストとして数回登場していた程度である)、ノウハウはほとんどなかったと考えられる。すなわち、新しい想定読者は言わば「未知の読者」だったと言えるだろう。そんな読者に対して、編集部がリニューアルしたラブリーの存在を届けられていたかどうかは疑問である。もうひとつ、よしんば届けられていたとしても、「本格ストーリー4コマ誌」という煽りが想定読者に訴求しなかったのではないか。想定読者――おそらく普段は4コマを読まないだろう――が本当に知りたかったのは、ラブリーが推す「ストーリー4コマ」作品からどんな快楽が得られるのか――ドキドキなのか胸キュンなのかキャラ萌えなのか――ということだったのではないか。この煽りが響くのは、むしろ以前から4コマ漫画を読んでいた層だろう。ファミリー4コマ誌で萌え系4コマ誌でもない「ストーリー4コマ」誌からどんな作品が飛び出すのか、気になった読者は相当数いると思っている。少なくとも私がそうだし、新しいラブリーに期待もしていた。しかし、こうした旧来の読者の多くが大々的なリニューアルによりラブリーから離れてしまったことは、想像に難くない。

【追記(6月19日 17時45分)】――と、前の段落および概要では書いたのですが、色々な話を総合すると的外れだったようなので削除しました。想定読者へのアプローチはうまくいっていなかったというわけではないようですね。ただ、編集部の現場では、私の想像をはるかに越える苦労があったようです。ふたつ前の段落で書いた「震災の影響」も、現場にとって最悪の形で現れてしまったようです。その意味で、ラブリーはリニューアルの成否が判断できる前に休刊となってしまった、と言うのが適切だろうと思いました。現場の編集者にはただただ、お疲れさまでした、ありがとうございました、そして前の段落のようなことを書いてごめんなさい、という他ありません。【追記ここまで】

――

以上、駆け足ではあるが、近年のラブリーの歴史とリニューアルを振り返った。冒頭の繰り返しになるが、ラブリーをリニューアル前から購読し、リニューアル後も楽しみにしてきた私としては、この休刊は実に残念である。せめてこの休刊が多くの人の記憶にとどまることを願って、このように記録をとどめてみた次第である。

加えて、一読者として、いくつかの作品についての思い出も記しておこう。HERO「はじめのちひろ」は、作者らしからぬ比較的軽いノリと、作者らしい〈結〉の位置をずらす手法が印象的な作品だった。四ツ原フリコ「恋とはどんなものかしら」は、ひどく重い恋の話を、4コマから4コマへの連続性を大切にし、ストーリー性強く主張する作品だった。菊屋きく子「ココロナヤミに小鶴堂」は、小鶴堂を訪れる客の過去に確かなストーリー性がありつつも、小鶴堂メンバーは淡々と仕事をこなすという、非〈日常〉と〈日常〉が合わさった面白い作品だった。玉置勉強「うみそらノート」は、〈緊張〉(対義語は〈弛緩〉)の連続と自由度の高いコマ割りにより、友愛の瞬間を強く印象づける、興味深い作品だった。ハラヤヒロ「帰宅部活動中!」は、帰宅部という最も「青春」から遠い位置にありながら、登場人物たちの「今」を大事にする姿は実に青春的であり、作者4コマ作品の「括弧書きの『青春』とは無縁な私たちの青春」という点が好きだということを私に認識させてくれた作品だった。他にもいくつか好きな作品はあるが、「ストーリー4コマ誌」のストーリー4コマ作品として、私は以上の作品を特筆しておきたい。

最後になるが、連載作品が救済されることを願ってやまない。今であれば、2日の筋の雑誌=ホーム・ジャンボ・タイスペ辺りが、雑誌の色的には比較的受け入れやすいのではなかろうか。しかし、現時点で移籍が明言されているのは内村かなめ「ひとりじめ弟イズム」のみであり、しかも芳文社他誌ではなく他社への移籍である。より多くの作品について良い知らせが聞こえてくることを祈りながら、この記事の締めとしたい。

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芳文社『まんがタイムラブリー』2011年5月号・6月号

7月号では悲しいお知らせがあるみたいですが、それは7月号に回すとして……。

佐伯イチ「サンタはじめました!」
5月号は借金取りに追われる二人。誰一人として危機感の無い様が可笑しく、可愛い顔してスゴ腕の魔法使い・モカとの聞く耳持たない様がいいキャラしてる。こういうコミカルなやり取りこそ、作者作品の良さだよなあ。
四ツ原フリコ「恋とはどんなものかしら」
5月号は撫子先生の恋のトラウマ。「色恋に縁がなさそうなのが」→「あの人もそれを知っていたのだ」の流れがグサグサ来る。自分と同じニオイを感じていたのに別世界の人間だったということに落胆するという、相手のことを全く知ろうとしなかった人間の、身勝手だけどそうでも思わないと自分を保てなくなる感情。この作品が好きだということを自覚してしまったじゃないですか。
堤妙子「君と朝まで」
5月号は新担当の鬼辺さん。そのイヤミさにタジタジになるけど自分のために戦ってくれると知って徹夜で頑張る遅井さん。その動機が「この人のために!!」という辺りが可笑しい。即効で惚れて即効でフラれる様がもうね。てかタイトルの「朝まで」ってそういうことなんですね。
ハラヤヒロ「帰宅部活動中!」
6月号は放課後ハンバーガーショップで不良の高橋くんと。帰宅部という設定は「何も起こらない日常」の極北であり一見「青春」とは無縁に思うのだけど、その日常を全力で過ごそうとする佐藤くんとか、その日常にまだ踏み込めないでいる渡辺さんの迷いとか、迷う彼女を一歩引いた立場から励まそうとする高橋くんとか、そういう今を大切にするスタンスは実に青春的であるなあと思うわけです。一言で言えば、括弧書きの「青春」とは無縁な私たちの青春、という感じ。俺のハラヤヒロ4コマ好きっぷりが言語化できてきた気がする。
内村かなめ「ひとりじめ弟イズム」
6月号は山田兄妹宅にお泊まりのカンナ。カンナ→桜←楓という桜総受けっぷりはもとより、カンナと楓のケンカっぷりが可笑しい回。お風呂でバッタリ後のセリフとか互いの憎々しさがよくあらわれていてもうね。そして最後の二本がこれまた秀逸。桜目線から二人を描くことにより全てを桜に回帰させる様は見事というしか。

芳文社『まんがタイムラブリー』2011年4月号

リニューアル第二号。

HERO「はじめのちひろ」
先月号では「いつもの作者作品と違う!」と言ったけど今月号ではいつもの作者作品になってた。具体的には4本目や6・7本目。時に露骨なまでに「結」の位置をずらす作者の手法は特筆されるべき。この手法と「ストーリー4コマ」の関係についても考察してみたい。
四ツ腹フリコ「恋とはどんなものかしら」
虎彦くんのクラスメートの女子・ミカさんの嫉妬に巻き込まれる撫子先生。「面倒くさい」「これからだってしない」などの言葉から垣間見える、撫子先生の「恋」に対する強い拒絶がグサグサくる。
菊屋きく子「ココロナヤミに小鶴堂」
記憶を殺す毒薬を求めて夜の小鶴堂を訪れる客。客の辛い思い出には確かにストーリー性がありつつ、しかし小鶴堂メンバーは淡々と自身の仕事をこなしていく、という構造。その意味で、本作はショートストーリー的であり、かつ〈日常〉的な要素も含んでいると言えるか。その辺りが私の好みとマッチしてるのかもしれないとか考えた。
【新連載】堤妙子「君と朝まで」
「彼氏いない歴=年齢」の新人少女漫画家・遅井さん。新しいアシスタントの「芦田ひろみ」さんは同じ女性だと思ってたのに実は男性で。芦田さんを警戒しつつも油断して寝ちゃったり、最後は「運命の出会い……っ!?」なんて考えちゃう遅井さんがチャーミング。芦田さんのプロアシっぷりもカッコいいわー。ところで絵のシンプルさと表情のコミカルさは割とファミリー4コマ的だなあとも思ったり。ともかく、今後も楽しみ。
内村かなめ「ひとりじめ弟イズム」
カンナから桜に向けられる弟ラブの視線に抗えず引き込まれていく俺がいます。「ごめん…入らへん…」とか桜のショタ性と相まって頭がフットーしそうです。次回はお泊まり回なんですね!?
玉置勉強「うみそらノート」
(おそらく難聴の)美音くんのセリフ「俺の聴こえない方に立ってくれて」と、自然体でそれをこなした翔空くんにグッときた。明に言わずとも互いを理解し思いやり合う二人。これぞ友愛。そして自由なコマ割りは、件のシーンにおける二人の空間的位置を「ひとコマ」でシンプルに表現し、その瞬間を印象づけるための効果的な手法なのだ、うんぬん。

芳文社『まんがタイムラブリー』2011年3月号

リニューアル号。執筆陣と掲載作品とロゴを一新し、ボーイズラブ要素、ファンタジー要素、大人の恋愛要素などを備えた合計23作品が掲載。そのほとんどが、「ストーリー4コマコミック誌誕生」という表紙の煽りの通り、ストーリー性の強い4コマ作品。ストーリー性の強さは、各作品の4コマ一本における4コマ目の「結」の弱さや、一作品あたり概して8~10ページ(通常のファミリー誌だと6~8ページ)という多めのページ数から伺える。こうした雑誌の色は、旧ラブリーと比較してももちろん、今までのどんな4コマ誌とも似ていないと言っても言い過ぎではないだろう。

掲載作品は、4コマとしての成立の是非はさておくとして、確かにストーリーとして読ませる作品が揃っている印象。多くの作品の第一話が、登場人物の過去や未来、あるいはその関係性の変化や進展をほのめかしている。別の言葉を使えば、最初からキャラクターを描くことを志向している作品が揃っているとも言える。

一読者としては、普段の4コマ誌ではあまりお目にかかれない執筆陣が揃っていること、そして読み応えのあった作品が多かったことから、新しさと期待を感じた。これは、個々の執筆陣はもちろん、それらをひとつにパッケージングした編集の力があってのことだと思う。自分が好きな作者がちゃんと数人いるというのも大きい。購読するモチベーションは高い。

一読者ではなく読者として思うのは、これだけ旧ラブリーを破壊して新しいことに挑戦しているのだから、届くべき読者に届いて欲しいなあと。具体的には、スクエニ作品や一迅社作品を好む女性とは親和性が高そうに思える。事実、表紙にHEROを据えていることからも、そういった読者を狙っているのではなかろうか。古くからのファミリー4コマ誌を好む読者に本誌が受け入れられるかと聞かれたら、さすがに懐疑的にならざるを得ない。

以下、個々の作品の感想をよりぬきで。

HERO「はじめのちひろ」
表紙・巻頭作品。表紙には「WebStar登場!!!」なんて煽りもあったり。作品は学生姉弟のはじめとちひろの日常。第一印象は「いつもの作者作品と違う!」。普段は色濃く出ているコミュニケーションという主題はどこへやら、いわゆる「ゆるい」日常作品に仕上がっている。そんなわけで私の中では「こういう作品も描けるのか」という思いと「せっかくのストーリー4コマ誌なのにもったいない」という思いがバトルしているのだけど、雑誌の巻頭作品ということを考えると、これくらいの軽さの方が雑誌に入りやすいのかもとも思う。
内村かなめ「ひとりじめ弟イズム」
義母が連れていった兄・さくらの転校で、彼と久しぶりに再会した弟・カンナ。さくらがショタ顔だったりにカンナにベッタリだったり、カンナもさくらにドキっとしたり独占欲出しちゃったりと、ボーイズラブチックな作品。さくらのピュアな笑顔に抗えない自分がいる……。さくらの妹・楓も含めた三角関係にも期待。
四ツ原フリコ「恋とはどんなものかしら」
婚約を破棄された過去を抱える、化学教師の鈴木撫子。準備室で彼女の寝顔を見た、「ホスト」があだ名の男子生徒・山田は、彼女に「先生のこと好きになっちゃったみたい」と告げる。しかし、鈴木は「恋なんて生まれてこの方したことがない」と思うのだった――。恋愛を描いた4コマ作品は旧ラブリーからあったが、ここまで重々しく描いたものは珍しかったように思う。そして、新ラブリーのストーリー性の強さを象徴するかのような作品でもある。それは、主題はもちろんのこと、4コマの描き方にもあらわれている。p.58右3コマ目から左3コマ目は特にそう。このコマ列がひとコマずれて4コマ目~4コマ目になっていたら、右の4コマから左の4コマへの連続性が薄れてしまう(代わりに4コマとしての締まりは良くなる)。作者が意図的に行ったか否かはさておき、結果としてこうなっていることは特筆していいだろう。
桑原草太「ココロ君色 サクラ色」
タイスペからの移籍作品。今回は番外編的に、小春の父(漫画家)のアシスタント・山口くんの卒業式。第二ボタンを想い人に渡せなかった過去を「良い話風にまとめて」他者に語りながらもまだ「苦い思い出」と意識している彼に、辛い過去を客観視することによりそれを自分から切断しようとするもしきれない、そんな葛藤を見出してしまって私の心も動かされてしまうのでありました。単行本1巻が4月22日に発売。
菊屋きく子「ココロナヤミに小鶴堂」
漢方薬局店「小鶴堂」の求人募集に応募した柿岡もろこ。その植物毒への耐性を買われて合格したものの、薬局の「夜の」主人・雛ノ助は妙に若いし、毒草や毒薬を扱うという仕事内容も怪しくて――。第一話からキャラが立っている作品。食い意地ゆえに毒耐性がある、というもろこのキャラがコミカルで、それが薬局の非日常的や環境や面々の中で異質な存在感があって(interestingという意味で)面白い。ストーリーは、タイトルからするに、心の悩みと薬が関わってくるのかなあと思うけど、はてさて、その辺りは次号を待つことにしよう。
都波みなと「カフェは今日もにくきゅう日和」
猫カフェ、というか肉球カフェを切り盛りする兄弟と、二人を見守る幽体の姉(ただし猫の姿)の日常。この雑誌で最もファミリー誌的な作品。とはいえ、猫ラブ・肉球ラブ要素ではなく、三人の過去にストーリー的な重きが置かれている点が、ファミリー誌の色とは異なるか。しかし他作品と比較して太・丸な線も相まってか、息抜き作品として実にいいポジションにいると言えよう。掲載位置もほぼ真ん中だし。
ハラヤヒロ「帰宅部活動中!」
陸上部への夢を断たれ、「退屈な高校生活が始まる」と自嘲する少女・渡辺。いわゆる帰宅部を選んだ彼女だったが、「帰宅部」なる部活を本当に作ってしまった帰宅部部長・佐藤に巻き込まれてしまって――。言葉遊びと日常系が融合してしまったようなシンボリックな作品のように見えて、背景の情報量の少なさ・もの寂しさと相まって、どこか非日常的なノスタルジーをかき立てられ、佐藤の「青春」という言葉に妙に共感してしまう。

『まんがタイムラブリー』のリニューアルと『コミックPASH!』の創刊は女性向け4コマ誌の「若返り」である

『まんがタイムラブリー』はリニューアルに伴い、既存の連載作品は全て連載終了か他誌に移籍し、リニューアル後は1作品を除き全て完全新作に。これまでのラブリーは事実上休刊したと言ってもいい。ラブリーを本当に休刊にしなかった理由には、既存の雑誌コードや販路をそのまま活用したかったということが考えられる。

リニューアルの煽りには「本格ストーリー4コマ誌へ!!」とある。ところで、ラブリーは2008年末頃からストーリー作品志向の動きを のだけど、いつの間にかその動きは立ち消えしていた(今月号におけるストーリー作品は1作品)。結局、ストーリー作品志向がうまくいかなかったのではないかと考えられるのだけど、ストーリー志向そのものは、コマ割りを4コマにすげかえて、まだ捨てていないように見える。

リニューアル後の執筆陣を見ると、一迅社やスクエニといったスクエニ系出版社の漫画雑誌に掲載歴を持つ方々が半数以上を占めていることが分かる。スクエニはかつてギャグ王やドラクエ4コマを出していたことを考えると4コマは不得意ではなかろうし、一迅社はぱれっとのノウハウを現在進行形で蓄積しているはずである。なぜこのような雑誌がこれら二社からではなく芳文社から出ることになってしまったのか。二社に対しては少し残念な気持ちだ。

リニューアル予告を見ると、線が細くカッコいい男子が複数人登場する作品が散見される。いわゆるボーイズラブ要素(もしかしたら本当にボーイズラブなのかもしれないが)を感じさせるこれらの作品は、これまでのラブリーでは、そして芳文社の4コマ誌ではほとんど全く見られなかった新しい傾向の作品である。そして、芳文社はボーイズラブ誌『花音』も刊行している出版社である。もしかしたら、そちらで培われたノウハウをラブリーにスライドさせてくるのかもしれない。

さて、ラブリーのリニューアルと合わせて見逃せないのが、11月に主婦と生活社から創刊された「女性専用4コマ誌」、『コミックPASH!』である。表紙に鉄道擬人化4コマ「ミラクル☆トレイン」を据え、中にも男子がたくさん登場する4コマ作品を取り揃えたこの雑誌は、女性向け4コマ誌の新しい形(にして極端な形)であろう。

私は、ラブリーのリニューアルや『コミックPASH!』の刊行といった動きを、女性向け4コマ誌の「若返り」と見る。リニューアル前後を比較すると、これまでは恋と仕事に勤しむ若い女性を主役に据えた現実的な作品が多かったが、リニューアル後のタイトルには現代ファンタジーと見られる作品が多いことが分かる。そして、『コミックPASH!』も含め、ボーイズラブも言うまでもなくファンタジーである。これらのファンタジー要素を抵抗なく受け入れるのは、えてして若い世代である。

この動きが吉と出るか凶と出るかは、フタを開けてみなければ分からない。リニューアル後のラブリーは2月13日に発売される。また、『コミックPASH!』Vol.2は2011年春に発売予定とのことである。女性向け4コマ誌の行方を占う動向として、今後も注目していきたい。

関連ページ

テン年代の4コマ雑誌(特に芳文社あたり)のヴィジョンって、本当に勝手な考察なんだが、3つに分かれると思うんだ。

  1. さらなる新規開拓
  2. きららグループ誌で確保した読者の維持
  3. 旧来のファミリー系(特に女性層)の維持

まんがタイムラブリーのリニューアルから見る、テン年代の4コマのヴィジョンを勝手に考察。なんちて。 - 全てがFARCEとは言えない日々

芳文社『まんがタイムラブリー』2011年1・2月号

リニューアルに伴う合併号。掲載陣情報は を参照。

【最終回】古下えみ「視界良好」
メガネを壊した秋奈。つい先日メガネを壊した自分のようだ……と一瞬思ったけど俺はメガネに名前をつけたりはしない← 秋奈は最後までメガネ愛を貫き通して、小松くんは最後まで報われなかったけど、それでこそこの二人らしいのかもしれない。単行本はぜひ出てほしい。
【ゲスト】内村かなめ「ピュアせんぱい」
何回目のゲストだろう? ちっちゃい先輩OL。ちっちゃさと笑顔と関西弁にやわらかチャーミングなキャラだ。レディースがお肌や体重をあけすけに気にする様もこの作者らしい作品。好き。作者はリニューアル後にも掲載されるがこの作品とは別作品。

リニューアル語りは別記事にて。

芳文社『まんがタイムラブリー』2010年1月号・2月号

ふじのはるか「僕は泣く。」
予想通り,「おっとり系の美人さん」は司の兄・逞の元カノ・柊子だったとさ。柊子に浮かれる司と,逞の結婚にショックを受ける柊子と,司のことがムカつく奈江。奈江が最後に見せた「ムカつ」きの表情が意味ありげだなあ。あと3回くらいでこの人間関係をどうまとめるんだろう。
【新連載(1月号)】板倉梓「少女カフェ」
父と双子の娘が営むカフェの日常。「ビジネスチャンス」「ご一緒に~はいかがですか?」と,現実的でしたたかな娘たちが可笑しい。この作者は可愛い顔してひとくせある女子キャラが実にいいよなあ。2月号のバレンタインの話も感動的に締めるかと思ったらそれかw 3倍と言わないだけまだ可愛さがあると思っておこう。
【新連載(1月号)】古下えみ「視界良好」
遂に連載化ですよ嬉しいですねえ。2月号はメガネをかけ始めた小松くん。成田さんの視線の先には小松くん……のメガネ。小松くんがメガネを外せば成田さんの視線は外されたメガネへ。全くぶれることのないそのメガネ愛が可笑しい。
【ゲスト(2月号)】十野七「放課後のピアニスト」
合唱部漫画「すみれの唄」でアフタヌーン四季大賞を受賞した作者がピアノ部4コマで登場。本番だけはめっぽう強いピアノ少女・レミとピアノ部の面々の日常。練習時の音のひどさと,それを気にしない自身満々なレミがいいキャラ。そしていつもながら,描線といいキャラ見せといい,すっきりあっさりした作風だよなあ。不思議な読後感。また読んでみたい。
【ゲスト(2月号)】三好ハツミ「ふたりぐらし」
すっげえ久しぶりの登場な気がする。「儚げキャラ」と体育の三人。「乙女」に憧れるどりぃのキャラに惚れそう。マイペースなミヤコと見事に波長が合った会話も楽しい。まだまだ読みたい。
【ゲスト(2月号)】大川マキナ「ほよほよセキュリティー」
竹書房誌よりも先にラブリーでの復活に超たぎる。アンドロイドなホームセキュリティ・ミトと彼女の主・タカトの日常。この作品はタカトが良い。ほよほよなミトの言動に戸惑ったり苦労したりする表情が楽しい。男子がいる作品は締まりがあるね。是非また読みたい。

芳文社『まんがタイムラブリー』2009年12月号

【新連載】ふじのはるか「僕は泣く。」
たぶん6回くらい?」の短期連載開始。「こわい女子」に目をつけられてはハッキリしない人と思われてフラれてしまう弱気な司くん。彼の理想の彼女は兄・逞の婚約者のようなおっとりとした女性。新しい営業先のお客さんには「おっとり系の美人さん」がいると聞いて喜ぶが――。仕事に対する真摯さを描き続けてきた作者の新作は恋と仕事がテーマ。初回から若干重めのストーリーが大人な感じ。仕事とプライベートをうまく切り分けられていない主人公は作者作品にしては珍しいかも。「おっとり系の美人さん」の正体は兄の元カノ・柊子かな? 待て次号。
【ゲスト】古下えみ「視界良好」
独り上手で若干ヘタレな小松くん。掃除のおばちゃんのメガネを直して「小松株 急上昇」でも成田さんは「メガネへの誠意」と受け取る辺りは流石のメガネ愛。先は長いぜ小松くん。
荻野眞弓「白衣とリボン」
ゆりちゃんドールを作ってしまったモリソバくんの同級生・サンちゃん。「D.T.によるD.T.のための恋人補完計画!」 D.T.言うなwww とりあえずサンちゃんはその技術力でオリエント工業に就職すればいいと思った。
柚月もなか「カフェらった!」
ケータイメアドを交換するらったのおなごたち。成瀬さんとメール交換して浮かれるユーリ(最後にオチあり)と微妙にケータイを使いこなせていない春那っち。実にらしいなあと思った。次号から休載入り。復活を信じて楽しみに待ちます。
【ゲスト】三国桃子「アイムホームあかり」
扉の大家さんが肌色多めで眼福です。さて今回はみんなで銭湯へ。やっぱり肌色多めで眼福です。だが温水さん,アンタはダメだ。

芳文社『まんがタイムラブリー』2009年11月号

荻野眞弓「白衣とリボン」
戦隊ショー司会のお仕事なゆりちゃん。ゆりちゃんで「ホアアーッ!!」的な姿を見せるモリソバくんはヒドいのだけど初仕事なゆりちゃんを助ける彼はカッコいい。オタクらしく彼氏らしく。いいねえ。
【ゲスト】古下えみ「視界良好」
秋。フレームがひんやりしたり,マスクでメガネが曇ったり。徹底的なメガネネタで成田さんを徹底的にメガネキャラに仕立て上げるまっすぐさが楽しい作品だよなあ。早く連載化されないものか。

芳文社『まんがタイムラブリー』2009年10月号

荻野眞弓「白衣とリボン」
先月号からの連載。声優に自信を無くすゆりちゃんを優しい言葉で慰めるモリソバくん……のではなく,言葉は優しいけど正論をずばずば突きつけるモリソバくん。世間一般の女性からは絶対にモテないモリソバくんの姿を通じて見せるているのは,その姿の可笑しさだけでなく,自分の仕事に真摯な二人だよなあ。
【ゲスト】古下えみ「視界良好」
「伴侶」やら「ずっと一緒」やら,本来であれば対人用の言葉がメガネに対して出てくるメガネ愛の可笑しさよ。秋奈さんがメガネでなく人間を「見る」日はいつになるのだろうか。
【ゲスト】三国桃子「アイムホームあかり」
「ひとつ屋根の下」ものは家族ものであれ疑似家族ものであれ恋人ものであれ,今作のように集合住宅ものであれ,家族を志向するのかなあということをふと思った,「おばぁちゃんのヒザまくら」の一本。
大井昌和「四季を食べる女」
「九月の鯨~前編~」。かつての捕鯨の町に流れ着いた一匹の鯨と一人のフリーのカメラマン。「群れ」という言葉がこのカメラマンの孤高と孤独を意識させる。カッコいい。次回掲載はいつだろう。
よつぎりポテト内を検索
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