竹書房『まんがくらぶ』2008年8月号

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サブタイトル:「新・自虐の歌」を最後まで読んだけど未だに面白く読める読み方がつかめていない

【最終回】業田良家「新・自虐の詩」
先月号で感じた気持ち悪さは,ジャンヌダルクのごとく人々を導く小雪の姿を見て吹き飛んだ。小雪を作った拓郎母の「人間はいらなくなる」の言葉からも読み取れるように,そもそも小雪は人間を超えた存在として描かれようとしていたわけだ。
だけど,それでも,ロボット(ここでは小雪)が美しい心を持ったが故に「人間はいらなくなる」としている部分だけは理解できない。先月号で言ったことの繰り返しになるが,ロボットは人間が作り出した存在であり,それ単独で存在できるものではない。人の心を持った小雪ですら「本来の人間」程度の存在に過ぎないはず。
ロボットが人間を超えた存在になるには,ロボットは人間ができることに加えて「人間にはできない何か」ができなければならないはず。さらに,その姿が説得力をもつためには,作品内で「人間にはできない何か」がリアリティをもって描かれなければならない
小雪はどうだったか。確かに彼女は人間が為し得ないことをやってきたが,その過程には全くと言っていいほどリアリティが感じられなかった。少なくとも私には。
小雪は厳しい警備をかいくぐり,単身「向こう岸」に乗り込んだ。単身で並みいる警備をねじふせ,貧しい人々を解放へと導いた。コンピュータを駆使し,富める者たちの不正を暴こうとした。
だがその描写はどうか。「向こう岸」へ渡る直前の4コマでアクション映画を見ただけで,小雪は警備をかいくぐるアクションを身につけてしまった。単身で立ち向かうなんて,人質を取られたら瞬く間に動きを封じられるはずなのに。「世界の銀行のコンピュータシステムに侵入」? いつの間に,どこから,どのようにして? こういったディテールは作中で全くと言っていいほど描かれていない
小雪の振る舞いはまさに「機械仕掛けの神」と言えよう。本来の意味はもちろん,作中で「マリア様」と半ば神格化されているロボットの彼女にぴったりだとは思わないか。
さて,上記の解釈は,作品から最大限の楽しみを引き出せていないという意味で「悪い」解釈である。「良い」解釈の手がかりとしては第二のテーマ「貧困と格差」が考えられそうだが,私の中では考えがまとまらず結論が出る段階にはない。それ以前にいつまでまとめようとする気力が残っているかどうか。日を改めて書かないかもしれない。

竹書房『まんがくらぶ』2008年7月号

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業田良家「新・自虐の詩」
次号最終回。あれこれ考えたけど,私の中ではこの作品の解釈は「小雪を作った者ですら予期していなかった,小雪の『人の心の芽生え』を描くことで,人間が人の心を失いつつあることを逆説的に描いている」というところに落ち着いた。
上で強調したように,今作ではロボットに芽生えた意思とロボットを作った人間の意思が異なる点が重要であり,この時点で「ロボですら人の心を持つのに人間は――」という解釈はさくっと却下される。ただ,このテーマと「現代社会の貧富」というテーマ,どちらが目的でどちらが手段かは,まだ議論の余地がありそう。
それでもなお残る違和感は,小雪が「マリア様」と称されていること。ロボットは人間が作り出した存在であり絶対的存在ではない。人の心を持った小雪ですら「本来の人間」程度の存在に過ぎないはず。にもかかわらず,神を連想させる呼称を用いている点が,端的に言って気持ち悪い。「マリア自身は神ではないのでこの解釈は穿ち過ぎ」と言われたらそれまでですが。

竹書房『まんがくらぶ』2008年6月号

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山野りんりん「ちこりん日記」
おじいちゃん登場。この祖父にしてこの孫あり,とは前にも言ったような気がする。年齢に似合わない行動力と,セイジとの絡みで見せてくれる。プレゼントで”ありがとう”の言葉をちこりから引き出しハイタッチする二人は息が合いすぎている。何も気づかずはちこりなり。最後に警察のお世話になるのも二人一緒。見事な予定調和。
【ゲスト】鯨岡ノブヨシ「ヒトモノ不動産にオマカセ!」
不動産屋で働く方々。イケメンなお客さんに自室の鍵を渡そうとするお姉さん,などなど。独女らしい黒さと自虐で見せてくれる一方,不動産ネタも忘れない。間取り図と弁当,なるほどなあ。また読んでみたい。

竹書房『まんがくらぶ』2008年5月号

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たかの宗美「有閑みわさん」
みわさんと北見主任のコラボが実現。山のり&主任もそうだけど,最近たかの作品のコラボが多いよね。みわさんも主任もスーパーウーマン同士で親和性が高いなあ。それでいて主婦&キャリアウーマンという立場の違いで一辺倒でないネタを繰り広げているところが,山のり&主任コラボとはまた違った面白さ。
【新連載】秋吉由美子「アパートの部屋貸します」
乙女部屋アパート暮らしの青年。ある日,彼は同姓でお隣さんの女性に部屋を貸してほしいと頼まれる。彼女の話の聞くに,自分の汚部屋には憧れの先輩を呼びたくないとのことだけど――。女性が乙女部屋でうまくいくのはもとより,青年の方も汚部屋で図らずもうまくいく,という話が粋だな,理があるなと。持ちつ持たれつだけど互いに想い人がいる男女,という二人の関係もまた面白い。期待。秋吉氏は前作「きらびヶ丘お嬢団」の単行本が5月27日に発売。
【ゲスト】みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス 特別編」
4月〜6月のサボキャン文庫化にともなう特別ゲスト。実はサボキャンってちゃんと読んだことがなかったりするんですが,この機会に文庫でも買ってみようかしら。なお,文庫版刊行を記念したサイン会が4月26日に新宿にて開催。
業田良家「新・自虐の詩」
……えーと,DISってもいいかな? ”向こう岸”が小雪一人にあっさり崩されていくなんて話が軽すぎる。「こちら側と向こう岸」ってのが現在の世相の隠喩だとするならば,「小雪」はそれを打ち破るカリスマであるわけだけど,こんなデウスエクスマキナ的な不条理な力を持った存在は現実にはいなくて,だからストーリーに現実味が感じられない。そのディテールを捨ててまで作者が表現したいものが何なのかもまだ見えてこない。作者が今後の話をどうまとめるかが気になるところ。「ロボですら人の心を持つのに人間は――」的なまとめにだけはならないことを望む。

竹書房『まんがくらぶ』2008年3月号

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富永ゆかり「クロジとマーブル」
にゃんにゃんにゃんフェアのアニメで動くクロジとマーブル&声がついてるミヤちゃんに感動した。単行本1巻が発売中。先日行われたサイン会では北条晶氏が整理券一番乗りだったようで。
【ゲスト】袴田真教「猫のどんべえ」
12月号以来の再登場。ダウナーさが弱まってどんべえのキャラを見せるようになってる感じ。俺の中では食いしん坊キャラと認識された。あと直前の「クロジ〜」と比べると線が細いなあと思った。

竹書房『まんがくらぶ』2008年2月号

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【ゲスト】魔神ぐり子「ヘルパーライフ」
淡々と仕事をこなす女性ホームヘルパーさん。エロ旦那&じじいにうんざりな奥さん,そんな一家のドタバタにも努めて冷静に対処。可笑しみを彼らから補給しつつ,一貫として淡々としたキャラを見せてくれて,そのキャラが彼らの滑稽さを強化するという構造。いいサイクルだ。それでいて,ラス前の一本で奥さんに懇願されて冷や汗を垂らす姿に,冷静一辺倒でないキャラを見せてくれるところがまたにくい。魔神氏はMOMOでも女性清掃員4コマを描いてるけど,家事支援系のお仕事ネタが得意なのかしら。続けて読みたい作品。

竹書房『まんがくらぶ』2008年1月号

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業田良家「新・自虐の詩」
小雪が「向こう岸」へ侵入。アクション映画で学習した次の一本であっさり侵入してしまうものだから「向こう岸」の威圧感が私の中で小さくなってしまった。作品的に警備うんぬんのディテールは重要じゃないのかな? しかし生活のディストピアぶりは以前にも増して。

竹書房『まんがくらぶ』2007年12月号

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小冊子『自虐くらぶ』が付録。映画『自虐の詩』レポート漫画,9名の漫画家による「自虐の詩」カバー4コマ,「武士の魂」の再録,などといった内容。「武士〜」は16年前(双葉社の初版で考えるなら20年前)の作品とのことだけど,作品の背景にある世相の厳しさは今にも通じてるなあ。そして常識外れな武士の旦那様の滑稽さと言ったら。

【新連載】そにしけんじ「いぬ会社」
サラリーマンだけど野生な一面が出ちゃう,だって犬だもの,的な犬4コマ。実写メディアミックス企画とのことで,BSフジにて12月7日(金)10時55分から放送開始とのこと。作品紹介のだらだら日常をゆるゆるの笑いでおくるに,saxyun「ゆるめいつ」を連想する。両作品の作風の違いはともかくとして,売る側としては,くらぶも”ゆるゆる”をキーワードにして作品を売り出そうとしているのかなあとか思った。伊藤剛氏と芳文社きらら編集部のインタビューにも年齢が上がると、とにかく何も起こらない話の方がいいらしいとの話があるし。
ふくた伊佐央コンビニ番町
やばい,どんどん面白くなってる。寝不足の想定外番長も温める想定内番長もそうだけど,どこか理屈っぽさがあるネタが好きだ。その理屈を堂々とたどるキャラたちに,各本ついつい「なるほど」と思ってしまう。これもハッタリの一種か。
【ゲスト】佐野妙「森田さんは無口」
MOMO連載作品がゲスト。無口でコミュニケーション下手な女子高生・森田さんの日常。コミュニケーションに悩みながらも,他の女の子たちのおかげでみんなに受け入れられている,そんな姿が幸せ。そして例のごとく女の子同士でふんわりいちゃいちゃ。俺 生まれ変わるなら女子がいいと言っている男子は俺か。
【ゲスト】袴田真教「猫のどんべぇ」
Y-1グランプリ9月期月間賞。猫の「どんべぇ」と犬の「めんたつ」,そして飼い主の一人暮らしの女性の日常。”可愛い”よりも”情けない”という言葉が似合いそうな猫と,同じくご主人様。ダウナーテンションな話に味があっていいなあ。となると各4コマ目で特定のキャラを強調していないのは意図してのことなのか。

竹書房『まんがくらぶ』2007年11月号

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映画「自虐の詩」特集として,監督・堤幸彦氏と原作者・業田良家氏のインタビュー企画あり。映画は10月27日よりロードショー。

山野りんりん「ちこりん日記」
食欲の秋。本当に悪いことしてないのにやっぱり警察のお世話になるセイジくん。マイペースにごちそうを食べてたちこりんがまたセイジくんの哀愁を誘う……。
小坂俊史「せんせいになれません」
池田先生の変態疑惑が深まっていく……。不憫な。でもこの人じゃしょうがないよなあと思わせるところがまた。

竹書房『まんがくらぶ』2007年10月号

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むんこ「まい・ほーむ」が休載入り。

業田良家「新・自虐の詩」
「向こう岸」に行ってしまった友人。こちら側との世界との断絶を印象付ける回。やばい面白くなってきた。
【ゲスト】大城さとし「きじぃ君としぃさん」
沖縄4コマ。キジムナーシーサーの日常。パッと見で大橋ツヨシ「エレキング」を連想した。しぃさんがシーサーに見えない可愛さ。沖縄的な記号があれこれ入ってたけど,折角だからもっと沖縄の雰囲気が出ていたものが読みたかった。漫画の他,作者の沖縄コラムも掲載。
大城氏は沖縄のローカル新聞『沖縄タイムス』におばあちゃん4コマ「おばぁタイムス」を連載している方らしい。そういえば,私の中では,沖縄は漫画が熱いという印象がある。横山隆一記念まんが館が主催した第1回4コマまんが大賞では,ジュニア部門大賞に沖縄の小学生が入賞していた。ウェブには『コミックチャンプルー』という沖縄ウェブコミックがあり,同じくローカル新聞『琉球新報』朝刊で4コマ漫画「がじゅまるファミリー」を連載中のももココロ氏も連載を持っている。
山野りんりん「ちこりん日記」
白だの黒だの。セイジ君が逮捕されないなんて!
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